この本の読者の多くは、戦後の朝鮮動乱などの特需があり、その後の日本復興にかかわった方とその次世代の方と思う。
本書は、トヨタの指揮官と仕入先のリーダーの物語であり、その先人たちと支援者の苦労から今と未来への希望を伝える。
また、『あっぱれトヨタ2兆円』への物語とも読める。その背後には社内外の幾百万にも及ぶと思われる方々の献身的な支援があり、現在がある。
現社長の 豊田章男氏も、創業者も複数であり多くの支援者のお蔭という。
半世紀前は、トヨタの社員も、仕入れ先の社長も『泣く子とトヨタには勝てない』といっていた。
トヨタの担当者から仕入れ先に電話があれば、不休不眠で夜行列車で駆けつけて対応した。
社内では、その時々の修羅場を乗り切った多くの先輩、また不幸にして企業戦死となった方々の家族も読むと思う。
多くの方々がこの本を読めば、往時を思い出してそれぞれに、その時々のリーダーの苦悩と自らの貢献を思い出すと思う。
そして、なによりも有益なことは、現役諸氏がこの時期に『トヨタの系譜』を学び、利益2兆円の分けを知り、未来に向けて
謙虚に、一層の社会貢献を期待したい。
2)刈谷・トヨタ挙母工場地区のB-29集中爆撃回避と朝鮮戦争特需、ベトナム戦争特需
トヨタの今は、先人たちの苦労もあったが、戦後のトヨタの復興は、終戦が早まり一週間後に予定されていたB-29による集中爆撃が回避され、
その後の、朝鮮動乱勃発による米国からの軍用車特需による利益のお蔭であることも忘れてはならないと思う。
その間の朝鮮半島では、沖縄からB-29が延べ22,983機が出撃し、日本本土に投下した爆弾に匹敵する197,000ton もの爆弾を投下、
200万人もの軍民が犠牲になった歴史がある。
さらに、その後のベトナム戦争特需は日本経済を潤し、トヨタ発展にも影響した事実がある。この悲惨な戦争の犠牲の上に、今の日本がある。
トヨタは、戦争末期にP-51戦闘機による機銃掃射と終戦前日に5ton の原爆模擬爆弾・パンプキンを1発喰らったが、不幸中の幸いであったといえよう。
おわり、