DDFアメリカ駐在員・トシ渡辺が贈る

超大作 クーパーズタウンへ行こう!

Dday.jpg (4044 バイト)


●野球ファンの皆さんなら、東京ドームにある野球体育博物館の存在をご存知であろう。博物館内には有名選手のユニフォーム、3D映像、記録達成時のサイン入りバット、ボールなど野球ファンならよだれものの数々の貴重な記念品、メモラビアなどが展示されている。なお博物館内には「野球の殿堂」がありプロ、アマ球界から毎年球界の発展に貢献した選手、監督、審判、役員、などから選出される。博物館内には殿堂入りした人達のレリーフが展示されていて後世のファンにその足跡を残している。しかし、東京ドームの一部という事もあってか、その内部は非常に狭く、じっくり見なければ1時間弱で回れてしまう。それに何故東京ドームにあるのかというのも疑問点だ。実はこの野球体育博物館はアメリカ ニューヨーク州にある「野球の殿堂」にならって作られたものなのだ。野茂やその他の日本人選手の活躍により大リーグが大変身近になり、アメリカの野球の殿堂もよく知られる存在になった。しかしながら実際訪れた人となるとそう多くはない。名前は知っていてもニューヨークのどこにあって、どうすれば行けるかまでは知ってる人は少ない。そんな大リーグファンなら一度は行きたいクーパーズタウンへご案内しよう。

●そもそもニューヨーク州は広い。みなさんはニューヨークというとついついマンハッタンのエンパイヤステートビルや自由の女神を思い浮かべて、きっとクーパーズタウンの野球殿堂もそんな摩天楼のビルに一角のあるとお思いだろう。しかしクーパーズタウンはニューヨーク市から北西へ約400キロほど離れた所にある。さすがにマンハッタンから400キロも離れると大きなビルは一つもなく、トウモロコシ畑やのんびり昼寝をしてる牛がくつろぐのどかな牧場風景が広がる。しかもクーパーズタウンには空港がなく、電車も通らない田舎なので交通機関は車かバスに限られている。これでは短期旅行や免許がない人はクーパーズタウンに行くのは難しい。そんな隠れた野球の聖地クーパーズタウンは一体どんな町なのだろうか。

●1785年 ウイリアム クーパー判事はニュージャー州からニューヨーク州北西部のある名前のない町の土地の権利書を得てそこを訪れ、1788年、初めて大通りが作られた。地図作成時に記載される名前を求められた時、彼は自分の名前であるクーパーを取ってクーパーズタウンと名づけ地図にもその名前で記載された。しかしながら何故そんなクーパーズタウンに野球の殿堂があるのだろうか。1839年、アメリカ陸軍のダブルデー将軍がクーパーズタウンですでに子供たちによって遊ばれていた草野球をフィールドで行うことを思い付きベースを埋め込んだいわゆるダイヤモンドをフィールドに埋め込んだ野球場を作った。子どもだちは草原でただボールを投げそして打ち、ルールも無く草原を走っていたが、ダブルデー将軍が作った野球場によりルールが生まれ、よりゲームらしくなった。大人たちがこのルール化されたゲームを楽しむようになり、ベースを埋め込んだフィールドでボールを使ってプレイする所からベースボールを呼ばれるようになり、野球場はベースボールフィールドと呼ばれるようになった。

●1938年大リーグコミッショナー委員会はアメリカ野球誕生の地であるクーパーズタウンに常設博物館「野球の殿堂」の創設を提案、翌年の1939年の野球誕生100周年の一年前である1938年に完成。1900年からすでに選出されていた殿堂入りした人々のレリーフ、銅像、ユニフォーム、バットなどが常時展示される世界で初の野球博物館となった。世界初の野球場ダブルデーフィールドはその後荒廃が進み、野球するのもおぼつかないほど草むらと化してしまったが、地元の有志団体が土地を買い上げ外野を拡張しスタンドを設け1934年に再オープンするまでにこぎつけた。現在は収容観客数1万人弱ながら毎年1回メジャーリーグのチームが奉納試合として野球の聖地で1試合行っている。

●クーパーズタウンへのアプローチはバスか車しかない。右側通行の道を車でひた走る。道の左右には牧場、森林、湖とアメリカの大自然が目に飛び込んでくる。気を付けて運転しないと鹿の親子とご対面してしまう事もあるので注意が必要だ。クーパーズタウンはそんな森と湖に囲まれた大自然の中にぽつりとある小さな町だ。町に着いたら少し通りを歩いてみよう。両脇にある並木とレンガ作りの町に美しいコンビネーションが車内で見るより鮮やかに飛び込んでくる。レンガ作りの建物は築100年を超えている物がゴロゴロある。温かい季節にはカフェは街頭にテーブルを出していて外で食事を楽しむことが出来る。さながらパリのシャンリゼ通りをほうふつさせてしまう。徒歩で1分くらいのところにはオテサガ湖の美しい風景が広がる。ボートクルージング、ヨットも可能でほとりの芝生にはたくさんのピクニックテーブルが用意されていてお昼時には家族連れが楽しそうに食事を取っている。オテサガリゾートホテルにはゴルフコースもあり美しい湖を背にナイスショットを楽しむ事も出来る。

●しかし、クーパーズタウンはなにか普通のリゾート地とは違う。お腹が空いてレストランに入る。中に入るとここは本当にレストランかと錯覚してしまうほどのおびただしいメモラビアの数が目に飛び込んでくる。店内にあるテレビゲーム、ピンボールなどはすべて野球関係、レジの所にはガラスケースがあり野球カード、サインボールが展示されており眺めていると店員さんがニコニコしながら「お探しの選手はいますか?」と尋ねてくる。よく見ると値札がついてる。これはみんな売り物だった。レストランで食事をしている時も有名選手のグッズに囲まれてしまう。そうクーパーズタウンは野球グッズの店が通りにびっしりと溢れている野球グッズ天国の町なのだ。レストランを出て通りに出ると隣りの店は野球グッズの店だ。中に入ると有名選手のユニフォームが天井に吊るされている。店員に尋ねるとすべて本物の使用済みで販売はしていないという(中には売り出し中の物もある)。サインボール、野球カードはゴロゴロと店にある。日本で買うと高い選手仕様のユニフォームもここだと$80~100と手ごろな値段で買える。楽しいのは野球カードの専門の店に行くことだ。野球カードは値札こそ付いているがすべて時価のため交渉次第ではかなり割引してもらう可能性がある。どの店の店員さんも野球好きが多く、野茂のカードをさがしているんですと言うと「おー野茂は去年ノーヒットノーランもしたしわしも好きなピッチャーじゃよ どれどれ」と一緒に探してくれたり、いろいろ楽しい話をしてくれる気さくなおじさんが多い。話が弾めば弾むほどいろいろサービスしてくれたりして野球好きならショッピングだけで一日費やしてしまうほどだ。

●そんな楽しい野球ストリートを北から南へ下ったいくとレンガ作りの2階建ての建物が目に飛び込んでくる。街のほとんど建物がレンガ作りなのでまったく目立たないがこの建物こそ探し求めきた野球の殿堂ホールオブフェームである。見た目には2階建てに見えるが実は内部は3層作りなっている。今から約60年ほど前に立てられという事もあったか日本人感覚にはどうも博物館っぽく見えない。大きな木製のドアをくぐって中に入るとチケットブースがある。料金は大人が9ドル50セントとアメリカの博物館にしてはやや高めの料金設定だが、あこがれの野球殿堂に入れると思えば野球ファンにとっては安いもの。料金を払うとチケットを渡されて回転ゲートをくぐる。そのチケットは表にホールオブフェームの建物が印刷されたとても美しい物である。ブレザーを着た係り員が「ようこそホールオブフェームへ」と言って手に目に見ない特殊なインクのはんこを押してくる。これでその日に限りホールオブフェームへの入退場は自由である。チケットを差し出すと「それはお土産としてそのままお家にお持ち帰りください」と半券を切らない。ファンとしてはキレイなままでチケットがキープ出来るのはとても嬉しい。

●入っていきなり目に飛び込んでくるのがベーブールースの等身大のろう人形である。ゆったりバットを構えるべーブがあたかもヤンキースタジアムのライトスタンドへホームランを狙ってるかのようでとても良く出来ている。場所がニューヨーク州という事もあってか多くのアメリカ人観光客がべーブルースの前で写真を撮っている。道は三つに分かれている、右手に行くとお土産や、正面に進むと殿堂入り者のレリーフがあるホールと野球資料図書館へとつながる。しかしそれらの物は後回しにして左手のエスカレターに乗って2階にあるグランドスタンドシアターへ進もう。

●受け付けの人が次の映画の始める時間を教えてくれているはず。映画は毎60分ごとに上映されるのでさほど待ち時間はないはず。エスカレーターを上がるとすぐベースボールトゥデイという最近起きた出来事やスター選手などをグッズを展示してまとめている場所に着く。95年のハイライトケースには野茂の初勝利のボールとその試合の未使用チケット、96年のハイライトケースには野茂のノーヒットノーランボールがそれぞれ野茂の直筆サイン入りで展示されていてる。なお97年のハイライトケースには日本人初のアメリカンリーグ勝利投手となった長谷川滋利の勝利時に被っていた帽子がサイン入りで展示される事になっている。

●さらに奥に進とロッカールームギャラリーと言う全28球団のホーム、アウェイ用のユニフォームが28個のロッカーにそれぞれ収まっている。カラフルなメジャーのユニフォームがこれだけ一同にそろうと壮観な眺めである。ロッカーの中には帽子やバット、チームのメディアガイドとともにその年の主力選手たちの野球カードが展示してある。お気に入りの選手のカードを捜したりしてると60分などあっという間に過ぎてしまう。係員が映画上映の時間が迫ってる事を鐘を鳴らして知らせる。

●グランドスタンドシアター、日本風に言えばバックネット裏劇場とでもなるのだろうか。シアターにはいると目の前にバックスクリーンが現れる。そうそこは本当にバックネットを模して作られた劇場で、観客席はもちろん野球場のシートの形をしており、周りには外野、内野席で観戦している観客たちの絵がキレイに描かれている。放映時間前からすでに、スピーカーからは本日の試合のお知らせ、観客雑音、歓声などが聞こえてきて雰囲気は球場そのもの。照明が段々落ちて静かに映画が始まる。

●少年達が草むらで野球をしているシルエットがスクリーンに投影される。楽しげにボールを追いかけ回す声が聞こえる。あ〜そういえば私たちの野球もこんな楽しい草むらで夢中になったボールを追っていたところから始まったのではないだろうか。するとお母さんの声が聞こえる。「もう家に帰る時間よ〜」少年達は一人、また一人といなくなる。そういえばあの泥だらけになって帰宅するまでの夕焼けが段々星空になっていく遠い昔の忘れかけていた景色が目の前の蘇ってくるようだ。最後の子供の影が消えると音楽が変わり、メジャーの大球場の画面に変わる。「野球はどんなも所、とんなものでも野球だ。」とメジャー球場から、学生野球、草野球、裏庭での野球といろいろな野球の景色が軽快な音楽とともの次々と現れる。笑顔あふれる画像、子供も大人もみんな野球してる。すると今度はメジャーリーガー達の好プレイ集に変わる。厳選された好プレイ集なので見ている観客の驚きの歓声が大きい。この中でウワサの殿堂入りとよく野球雑誌などでかかれる元阪急の山森雅文の西宮球場の外野フェンス上段よじ登りホームランキャッチが流れると観客は歓声から感嘆のどよめきに変わり拍手をする者さえいる。私は3回同じ物を見たが、3回とも派出好きのアメリカ人が大喜びして歓声を上げるのを見るたびに嬉しくなってしまう。最後に映画が終わると、天井にライトが点り往年の名選手達の巨大野球カードが次々と照明に照らし出されバックスクリーンが派手な電飾と共に元に位置にするすると戻っていき、「Take me out to the ball game」がスピーカーから流れてきてみんなで一斉に歌いはじめ、最高の雰囲気の中映画は終了する。

●シアターを出て外に出ると、野球の歴史のコーナーが広がる。野球の起源はエジプト人達が皮の球を投げあったいた所から始まったなど少し本当かなと思うような物がエジプト人の奇怪な絵とともに紹介されている。そこから一気に時代はさかのぼり、19世紀の初期の頃の野球を描いた肖像画のような写真、当時のボールやバットなどが展示されている。ヒゲを生やしてシルクハットを被ってタキシード着ているような紳士たちが当時のメンバーをとして紹介されている。当時のボールもあってとても面白い。さらに進むとその時代を代表する選手には個別にロッカーが展示されていて個人のユニフォームや帽子バットなどが展示されている。昔のちょっと小さ目の帽子と、上げられたストッキング、ユニフォームなどレトロな感覚が妙にカッコイイ。写真撮影OKなので伝説の名選手のユニフォーム、パネル、ロッカールームなど前でドンドン写真を撮ろう。

●野球の歴史のコーナーの中間あたりにまた別のコーナーが二つある。一つはハンクアーロンと500ホーマークラブと呼ばれている500本塁打以上打った選手たちの展示がある。メジャー通算755本のハンクアーロンを称えてのこのコーナーにはひっそりと本塁打世界記録の王貞治の写真も小さく展示してある。日本のファンの方には世界の王はこの扱いでは少々不服かもしれないが、球場の広さ、投手の質を考えると王の世界記録も参考記録になってしまうのは仕方はないのではないだろうか。 その隣りには714本放ったアメリカのヒーローべーブルースの展示がある。日本ではあまり考えられないような事であるが、本名はジョージ ハーマン ルース、その童顔と子供のような行動からべーブルースというニックネームがついた。べーブの生い立ちからメジャーリーグ入り、ヤンキースでの黄金時代などが見れる。べーブルースの人気は今でも絶大で通算ホームラン記録はハンクーアーロン、1シーズンホームラン記録はそれぞれロジャーマリスに抜かれてしまったが、アーロン、マリスよりべーブを取り扱ったグッズ、カードなどは今でも大変人気がある。病気の少年のために打った約束のホームランや、電車にぶち当てた特大ホームランなどべーブに関する逸話は尽きない。

●さらに奥に進むと、70年代、80年代、90年代と時代がドンドン進んでいきなじみに選手たちの展示物も増えてくる。メジャー通算奪三振王のノーランライアンのコーナーもありライアンのルーキー時代のユニフォームなどもある。ほとんどの投手部門の通算記録はローテーション、リリーフ、中継ぎが確立した現代野球ではもう破れないようなとんでもない数字が多いが、ライアンは速球で三振を取りまくり引退までにその記録を5668個まで伸ばした。日本記録が400勝投手金田正一の4490個なのでそのすごさが分かる。

●ノーヒットノーラン通算7回、3球団で永久欠番を持ち46歳まで現役選手としてプレイしたライアンのライアン式トレーニングの本は日本の多くの投手にも読まれ大変なじみが深い。

●ニグロリーグ、ウーマンベースボールの展示もある。ニグロリーグは知っての通り黒人差別がまかり通っていた時代、白人とプレイ出来ない黒人たちが自ら作った黒人だけのプロリーグである。ジャッキーロビンソンの出現により、次第に優秀な黒人選手たちがメジャー球団と契約したため消滅していった。ウーマンベースボールは第二次世界大戦中、選手が不足して面白味に欠けたメジャーリーグに代わって登場したものである。ズボンではなくスカートがユニフォームでスライディングなどすると膝や腿がすり切れてしまったなどとうエピソードある。現在、コロラドシルバープレッツという1Aクラスの女性のみのプロチームが存在し同じ1Aクラスの男子のチームと対戦している。女性の社会進出、人種問題など野球はアメリカが抱える社会問題も色濃く反映している。

●3階に上がると野球場についての展示がある。もちろん野球場そのものを展示できないので写真やパネル模型で全米とカナダのいろいろな球場を紹介している。面白いのが開閉式のトロントスカイドームが完成するまでの2年半の映像を早送りでまとめてあるビデオがある。特殊に撮影された映像で工事の様子が早送りで流され何も無い所からドンドン球場が出来行き、最後に屋根がついて完成。所要時間は約2分半で壮大な工事がまるで手品なようにスルスル進んでしまうのが楽しい。さらに奥に進むと、ポストシーズンプレイというプレイオフやワールドシリーズの展示がある。球場正面や金網やスコアボードがあり迫力満点。数々の名勝負がパネル展示されている。

●ポストシーズンプレイを過ぎるとユニフォームの歴史としてユニフォームがずらりと展示されていて、ユニフォーム変化を見ることが出来る。緑がシンボルカラーのセイントパトリックデー用に作られた緑色のシンシナティレッズのユニフォームや何故か赤いシカゴホワイトソックスのユニフォームも展示されている。

●そこを過ぎると今度はマイナーリーグとオールスターゲームについての記録がパネルに彫られている。パネルには全米のマイナーチームの名前、主なチームのユニフォームなど、オールスターゲームの所には出場選手、MVP獲得選手の名前、記録などが彫り込まれている。95年ナリーグ先発としてオールスターゲーム出場を果たした野茂の名前も見つける事が出来る。

●最後の展示はベースボールカード、野球ファンの方なら一度は手にした事があるのではないだろうか。ここの展示の目玉はなんと言ってもホーナス ワーグナーのタバコカードであろう。ワーグナーはタバコを吸わない選手で、タバコを吸わない自分のカードがタバコのおまけになってる事が快く思わず、会社にカードの回収を求めた。完全回収し、すべて廃棄処分されたかに思われたが、現在2枚現存する事が確認されている。一枚はNYレンジャースのウエイングレツキーが当時約4600万でオークションで落札したが、その後大手スーパーチェーンのウオールマートがそのカードを買い取り、96年ウオールマートでカードを買うたびにワーグナーカードが当たる応募券がパックに同封されており、ファンはウオールマートにカードを買いに殺到した。有名なCNNラリーキングショー内の生中継で抽選が行われ、ジョージアの郵便局員が当選した。その後、ボストンのオークションで6000万円で落札され、どんどんカード最高値記録を更新している。もう1枚がここクパーズタウンにある。ショーケースの奥に展示されておりぱっと見にはこれが世界最高値の野球カードかどうか疑ってしまうほど小さい。

●これで展示は終わりで階段を使って1階まで降りる。1階まで降りるとベースボールアートとして野球を題材にした絵がある。当時ライフの表紙を毎週描いていたノーマンロックウエルの有名な「3人審判」の絵などもある。力強いタッチで描かれた古き良き時代のアメリカンベースボールを堪能できる。

●再びロビーに戻るがグランドスタンドシアターに行くエスカレーターに上がらず、そのまま進むと記録室にたどり着く。メジャーの主な通算記録がパネルに展示されている。通算最多勝511のサイヤング、755本塁打のハンクアーロンなどは写真付きで展示されている。歴代MVP,新人王、サイヤング賞、ゴールデンクラブなど各賞の受賞選手一覧も見れる。95年新人王野茂の名前ももちろん彫り込まれている。ここのコーナーで圧巻なのは歴代ノーヒットノーラン、完全試合のボールがすべてサイン入りでケースに収められている所だ。どの年誰がノーヒットをやったかすべてわかるようにキレイに年ごとに並べられている。野茂のノーヒットボールはまだ96年ハイライトケースにあるためこのコーナーにはないがいずれは移されると思われる。すごいのが通算7回ノーヒットノーランを達成したノーランライアンのボールはもちろん、ノーヒットノーラン達成時に被っていた帽子7個も展示されている。

●そこを過ぎると野球用具の発展歴史のコーナーがあり、昔の本当に棒のようなバットや単なる手袋のようなグローブなどが現代の野球用具に発展していく様子が実物を交えながら細かく解説されている。昔の用具は今みると形がとても面白い。

●突き当たりには戦争時下の野球のコーナーがあり、人気選手が徴兵される新聞などが展示されている。ジャッキーロビソンなども徴兵されていた。宣伝広告なども戦時色が強く、ワールドシリーズのプログラムも軍服を着た軍人が印刷されている。太平洋戦線で戦いの合間に野球をプレーする米兵の写真なども展示されており、同じ野球好きの日本とアメリカが敵対していた暗い時代を映し出している。

●展示コーナーを見終えたら、正面玄関に戻り、殿堂入りレリーフがある「ホールオブフェイム」に行こう。96年現在総勢228名の殿堂入りした人たちのレリーフが壁に所せましとぎっしり飾られている。ホールは天井が高く広々した作りで木の木目と重厚なレリーフが伝統感じさせれる。ホールを抜けるとやはりここはニューヨーク州という事で特別展示としてヤンキースの優勝の歴史がある。通算23回のワールドチャンピオンのヤンキースの栄光の歴史が展示されている。

●そこを抜けると野球図書館などのコーナーにあたる。残念ながら野球図書館はあらかじめ予約を取らないと入場できない。しかしすぐ隣りの土産物屋には野球関連の本がたくさん売り出されておりそこでいろいろな本を購入する事ができる。ブルペンシアターでは過去の名勝負が放映されており、この日はヤンキースの過去のワールドシリーズなどが上映されており自由に見る事ができる。そのとなりは今まで扱われた野球映画のコーナーでケビンコスナーが出演した有名な「フィールドオブドリームス」で使われたユニフォームなどが展示されており、野球映画ファンには楽しいコーナーだ。図書館に通じる通路にはプロのカメラマンが撮った野球写真が壁にかけられており、決定的な躍動感溢れる物から、ボールを取ろうとしてスタンドに落ちそうな子供などユーモアに溢れる物もありセンスの高さが伺える。

●図書館の左手には「Take me out to the ball game」( 野球場に連れって行って)のコーナーがあり楽譜や当時にポスターが飾ってある。この曲は100年ほど前に作られたもので、元々はケディーケーシーという女の子が彼氏に普通のデートの場所ではなく最近流行の野球場に連れって行ってとおねだりするという可愛いミニドラマみたいな内容の歌だった。これをブロードウエイミュージカルで流してるうちにどんどん有名になり今では7回の表のあとセブンス イニング ストレッチといってこの曲の後半のコーラスの部分を球場で流しているが前半の部分もとても良い内容なのでみなさんにもぜひ聞いてもらいたい。

●これで全ての展示物は終わりで、あとは入り口近くの売店にいってお土産を買おう。ジャッキーロビンソンメジャーデビュー50周年という事もあって、ジャッキーロビンソン関係のグッズもかなり買える。今年はメジャー全球団がジャッキーロビソン50周年というパッチをユニフォームの肩口に付けているが、それもここで買える。注意しなければならないのが、このパッチは3種類あって、ドジャース用、エクスポズ用と残り全26球団用に分かれている。ドジャース用はパッチに「ドジャース」と書かれておりドジャースの選手だけが付けている。エクスポズ用はフランス語で書かれており、ジャキーロビンソンは最初にドジャース傘下の3Aチームモントリオールロイヤルズでプロデビューした事からエクスポズ用も特別仕様になっている。

●野球グッズは野球帽、ユニフォーム、コップ、野球カード、キーホルダー、本、ビデオなどたくさんあり見てるだけで楽しくなってしまうが、ユニフォーム、帽子、コップなどは外の店の方が安い所があるのでここではホールオブフェームだけしか手に入らないグッズを買おう。

●ホールオブフェームを出てメインストリートを進むと世界で初めて野球場「ダブルデーフィールド」にたどり着く。試合が無い普段はスタンドに入る事が出来、世界初の野球場をしみじみと実感できる。少年野球や1Aリーグの試合、1年一度殿堂入り表彰の週にメジャーの試合が1試合行われる。もちろんアメリカの球場なので内野にも外野にもきれいな芝が植え込まれており、係員の人が毎日手入れをして次の試合に備えている。世界の野球の夢はここから始まった事を思うと感動は隠し切れない。そんな野球聖地クーパーズタウン、みなさんも一度訪れてください。温かなアメリカのハートが詰まった夢が溢れる街です。

by Toshi Watanabe