1.攻性生物の定義

 攻性生物とは、旧世紀のテクノロジー「遺伝基(子)改造技術」で造られた生物兵器である。攻性生物の中には、変異して野生化してしまったものも多いが、そのような種も定義に含まれる。そのような種は「変異種」と言われている。逆に、造られた当時の状態を維持している種は「純血種」又は「原種」という。生物兵器としては当然後者の方が手強い。シーカーの研究によれば、遺跡の中でも塔と呼ばれるものは、環境浄化の役割を担っていたことが分かっている。塔は、浄化した土地を守るため、さらに、増えすぎた人間を減らすために攻性生物を生産・使役していた。それゆえ、攻性生物の多くは塔や遺跡の近くに在り、人間を目の敵にするかのように襲いかかるのである。

2.純血種と変異種

 純血種型攻性生物は、いつも動いているわけではない。普段は死んだように休眠しており、遺跡の庇護の下にあるのだが、有事の際に目覚めて戦闘を行い、戦闘が終了すると再び休眠するのである。そのため、活遺跡や休遺跡の内部に入らなければ純血種に遭遇することはほとんどない。変異種は、休眠したり遺跡からの保護を受けたりできなくなった純血種がやむなく野生化したものであると考えられる。この世界の自然環境は、攻性生物にとっても厳しいものであり、厳しい環境がもたらす強い淘汰圧により進化が促進されるためか、元の純血種からは想像もできないような変異種も多い。また、純血種は外部から遺伝基を取り込み、世代交代をせずに自己進化をしたり、群れの中で自己進化をした個体「キャリア」が、新たに外部から取り込んだ遺伝基を仲間に分け与え、結果的に群れ全体が自己進化する能力を持っている(ヴェロクス→ヴェロキタの自己進化など)。変異種もこの能力を持っていて、環境中に存在する微細菌の遺伝基を取り込んで変異することもある。そのため、変異種は多種多様であり、現在も変化を続けているのである。

3.純血種の特徴

○外見

 一目で分かる特徴は、白い殻で覆われていることだろう。物理的攻撃にも熱にも強い堅固な外殻は、セラミックのようにも見えるがそれよりも軽くて丈夫な物質でできているらしい。その外見は、生物というよりまさに戦闘兵器である。

○生態

 基本的には、活遺跡や休遺跡の内部、もしくはその遺跡の近辺でしか目にすることはない。人間を発見すると、組織的な攻撃を加えてくるのが脅威だが、狙った人間が遺跡(近辺)から退散すればそれ以上追いかけてくることはほとんどない。これは、純血種が遺跡などを人間から守るのを使命にしていることと、前述のようにエネルギー供給面で遺跡に依存していることの2つが理由として考えられる。また、純血種は捕食活動を全く行わない。その代わり太陽光や地熱を取り込んでエネルギーにする機構を持っているが、純血種の攻撃力を考慮するとそれだけでは必要なエネルギーは賄いきれないと思われるので、生体の維持に必要な素材とともに遺跡からエネルギー供給を受けるのだろう。純血種の生殖は、単性生殖であると言われるが、実際に生殖活動が行われることはまずない。頭数が足りなければ、遺跡が再生産すればすむからである。おそらく、遺跡や中軸体制御の元ではそのような勝手な行動(生殖)は禁止されているのだろう。

○攻撃手段

 たいてい、レーザー発振器のような雷撃器官や、生体弾発射器官などを持っている。生体弾は発火性高温粘着弾と思われ、帝國軍の戦艦も数発で沈むほどの威力がある。また、生体素材でできたミサイルを撃ちまくる素敵な種も存在する。それに、体当たりも立派な攻撃手段である。それらの攻撃は単体でも強力だが、純血種は有機的に組織化された集団で攻撃を仕掛けてくる点が本当の脅威であるといわれる。偵察のみを行う種、旧世紀機械群と融合して制御権を奪う攻性生物も存在する。

○移動手段

 普通に歩く種もいるが、大抵は飛行能力を有している。いわゆる旧世紀エンジンと同じ機能を持つ器官を持っているのだろうと思われる。エンジン器官を所持していても、浮上走行や重力軽減程度にしか用いていない種も存在する。

4.変異種の特徴

○外見

 変異種は多種多様で、一口で言い表わすのは難しい。が、純血種の特徴である白い外殻はほとんどの場合失われている。そのため、戦闘兵器だという印象はほとんど受けない。

○生態

 変異種はどこにでもいる、というのは言い過ぎであろうか。ただ、水源や森に多いというおおまかな傾向はあるようだ。つまり、人間の生活域と重なっている、ということである。純血種のように人間を襲うが、変異種の場合、人間を殺す使命(本能)がそうさせるのか、単に「えさ」として考えているのかよくわからないところがある。このように、変異種は捕食活動を行う。理由は前述の通り遺跡から補給を受けられないからである。ただ、純血種にはもともと消化器官がないので、変異種は食虫植物のような簡単な消化方法を用いている(はずである)。そして、変異種は積極的に生殖活動を行うものが多い。相変わらず単性生殖の種や、不老の種もあるが、自然選択によって世代交代システムを獲得した種、雌雄の別が生じた種が数多い。それによって遺伝基の多様性を確保しているのだ。また、純血種のように外部から遺伝基を取り入れ、世代交代を経ずに進化する機能を持っている。

 ガーディアン級を除く攻性生物の大部分は、他の個体や他種とも連携して行動するように設計されているので、変異種も群れで行動するものがほとんどである。共生関係にある異種同士で群れを作る例も珍しくない。一説には、一般的な攻性生物は基本的なロジック以外の思考能力を持っておらず、大集団で意識を共有するか、指揮能力を持つ中軸体や旗艦型攻性生物の統制下に入ることを潔しとする傾向があるとされている。そのため、群れが激しい攻撃を受け、指揮能力を持つ攻性生物が群れから失われたり、群れの個体数の大部分が死滅したりすると、その群れは統制を失い暴走し、逃げ散ったり辺り構わず自滅攻撃を繰り返したりする。前者のように離散する分には構わないが後者は非常に危険であり、人々に恐れられている。また、他の攻性生物群が戦闘を行っている場合、それに連携するかのように戦闘地域に向けて大規模に移動し、途中にある集落を全滅させることもある。

○攻撃手段

 体当たりや噛み付きのような物理的な攻撃と、生体弾による攻撃が中心。生体弾といっても、純血種と違い酸や神経毒であることがほとんどであるし、雷撃器官は失われるか、残っていても威力は微少である。エネルギーや器官を維持する素材の不足により、強力な武装が維持できなくなるためだが、変異種は「えさ」を取らなければならないので、強力な攻撃力を誇る種よりも、獲物を弱らせて(獲物を消し炭にならぬように殺して)えさにできる種の方が生存上有利であることも大いに影響しているだろう。

◯移動手段

 純血種と同じく飛行するものが多い。変異種になってもエンジン器官は失われずに受け継がれるものらしい。

5.新しい攻性生物像

 攻性生物は攻撃力も強く、人間を狙うため、人類の天敵である。しかし、変異種の中には、攻撃衝動が通常の生物並の個体が登場している。トビタマやコナナあたりはもはや攻性生物とは言えないのではないか。クーリアは、ブリーダーの品種改良を受けているとはいえ、人間を乗せてその指示に従うのである。そしてワームライダーは、攻性生物を見事に乗りこなす。旧世紀の意志とは関係なく、人類と攻性生物は新たな関係を築きつつあるようだ。

攻性生物リスト


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