帝國の成立と拡大

 帝國の起源は、帝國歴前80数年前、帝都付近に漂着したある部族にまでさかのぼる。彼らは旧世紀の遺物を活用する術を知っており、その大きな力を用いて攻性生物を駆逐した。さらにある旧世紀の遺跡のコントロール権を自分のものにすることに成功し、その遺跡を王宮とした年を帝國歴0年と称したのである。

 攻性生物を退治し、さらに人間の生活圏を広げるために、軍備の増強を迫られた帝國は、旧世紀に関する研究機関「帝國アカデミー」を設立し、主に旧世紀のエンジンに関する研究に力を入れた。その研究は見事に成果をあげ、エンジンを利用した戦闘機や戦艦が次々に建造され、それらの所属する新設の「帝國軍空中艦隊」は存分に威力を発揮した。そんな帝國の姿に、常に攻性生物におびえながら暮らしてきた民衆は狂喜し、そんな民衆たちの支持を得て、帝國は領土を拡大していった。

塔とドラゴン

 一方、帝國の急激な膨張によって、周辺諸国との小競り合いも増え、帝國はこれまで対攻性生物戦に投入してきた空中艦隊をもって諸国を次々と制圧した。反帝國で団結したメッカニア連邦は、旧世紀のレーザー兵器を帝國にさきがけて実用化し、帝國軍を局地戦ながら各地で撃破した。膠着した戦況を打破するため、さらなる力を欲した帝國は、旧世紀最大級で、強大な力を秘めている「塔」といわれる遺跡の探索を急ぐこととなった。

 帝國歴71年、空飛ぶ塔「シェルクーフ」がついに発見された。シェルクーフはメッカニアー帝國国境付近にある村「エルピス」をなぜか破壊した後、国境に沿うように辺境へゆっくり移動していった。帝國軍がシェルクーフの確保に動いたため、結果的に帝國軍とメッカニア軍は衝突、全面戦争に発展することになる。

 シェルクーフを追った帝國軍は、偶然新種の攻性生物を発見した。各地の伝承からドラゴン型攻性生物、ドラゴンと命名された新種は、驚くべきことに人間(型生物)を背中に乗せていたのである。追跡を担当した部隊は、湾曲レーザーによる攻撃により全滅、シェルクーフを追跡していた主力は、黒い悪夢とも言われることになる旧世紀の強襲艦「クオ・パ」や、シェルクーフから発進した機動兵器ヌースの激しい攻撃で甚大な被害を被り、やむなく追撃作戦は中止された。メッカニアとの戦争は大勝に終わり、翌年に帝國に併合されたが、帝國アカデミーは苦渋を飲まされた塔とドラゴンの研究にさらに力を入れた。

<Panzer Dragoon Zwei>
 メッカニアの村エルピスで、乗用獣クーリアの飼育を生業とする「ブリーダー」をしていた主人公ランディ・ジャンジャックは、掟に背いて変種の翼の生えたクーリアを育てることになる。旧世紀の白い船「シェルクーフ」の攻撃で村を失ったランディは、シェルクーフに出会うことでドラゴンとして目覚めたクーリア「ラギ」とともに、何かに導かれるようにシェルクーフを追い、ゲオルギウスにてシェルクーフのガーディアンであるガーディアンドラゴンを激闘の末破り、ラギは自らの身体を石にすることでシェルクーフを封印した。

塔の発見と塔起動実験

 帝國歴89年、帝都の沖合いに塔が発見され、様々な調査が行われることとなった。休眠状態を解除するため、第2機甲連隊の全空中戦艦のエンジンから動力を引き出し外部刺激として用いることで、海中に沈んでいた塔の浮上には成功したものの、休眠状態の打破のためにはドラゴンが必要なことが調査の結果判明し、ドラゴン捕獲のため各地に探索部隊が派遣された。そしてすぐに帝都東方の辺境で2頭のドラゴンが発見され、帝國軍は会敵予測地点の第9発掘所近辺に捕獲部隊を配置、ドラゴンに戦いを挑んだが、ドラゴンの圧倒的な攻撃力の前に惨敗、捕獲部隊と発掘所の全滅という最悪の結果となった。

 発掘所を破壊したドラゴンが、帝都防衛線に接近した時点で、軍司令部はドラゴンの捕獲を断念。帝國軍の総力を結集して迎撃にあたったが、その邀撃部隊も潰滅、2頭のドラゴンは戦いを交えながら帝都に侵入した。ドラゴンの帝都侵入に前後して、ドラゴン接近に呼応するように塔が起動、塔から発生した多量の攻性生物群は帝都に攻撃を開始した。塔は1頭のドラゴンを格納後完全起動状態となり、もう1頭の突入によって塔の動力は暴走、大爆発をおこして消滅した。帝都内におけるドラゴン同士の戦闘、海中から出現した攻性生物の攻撃、さらには塔の自爆によって、帝都の約6割の地域が壊滅的打撃を受けた。

<Panzer Dragoon>
 帝都東方の辺境で狩りをしていた主人公カイル・フリューゲは、偶然発見した遺跡内でドラゴン同士の戦いに巻き込まれる。戦闘で致命傷を負ったブルードラゴンの乗り手に後を託されたカイルは、ブルードラゴンとともにもう1頭のドラゴン「プロトタイプドラゴン」を追う旅に出ることになった。途中、ドラゴンを捕獲しようとする帝國軍を蹴散らし、プロトタイプドラゴンの塔への侵入を許すが、巨大化して挑んできたプロトタイプドラゴンを粉砕し、塔を破壊した。

傾国

 翌年、帝都の再建が開始された。同時に、ドラゴンや塔に手も足も出なかった帝國軍の再編と、破壊された王宮の代わりとして旗艦グリグオリグの建造も開始、それら事業のための莫大な費用をまかなうために帝國全土に過重な税が課されることになり、民衆の圧倒的支持に陰りが生じるきっかけとなった。

 ちょうどこの頃、塔とドラゴンの研究にまい進する帝國アカデミーに、民間から登用された人物がいた。彼の名前はKFクレイメンといい、まだ20歳そこそこながら塔やドラゴンに対して並々ならぬ見識を持っていた。皇帝陛下にも気に入られ、帝國アカデミーも彼を必要としたため、クレイメンは猛烈な勢いで出世を重ね、帝國アカデミー上層部に「入閣」することになる。当時、皇帝陛下の側近と帝國アカデミーは、密かに権力闘争を行っており、その両者の微妙な対立も、クレイメンの出世に拍車をかけたといえる。そのクレイメンの研究により、塔を制御するための兵器「ドローン」(後に亞人と呼ばれる)の存在が明らかになり、帝國アカデミーはその発掘に全力を傾け、クレイメンにはそのために必要な特務部隊を編成する権限まで与えられた。

 帝國歴100年を過ぎた頃から、重税に耐えかねた人々による反乱が発生するようになった。帝國はそれを全て武力で制圧、これまで対攻性生物、対周辺諸国に使われてきた帝國軍を、国内の反乱鎮圧に用いることにより、帝國の輿望は急速に落ちていった。ドラゴンは神の使いであり、そのドラゴンが帝國を滅ぼすのではないかという、辺境の東方正教に影響された噂が領内に流れたのもこの頃である。

ドローン・クレイメンの反乱・前帝の滅亡

 帝國歴119年、ついに辺境の遺跡でドローンが発掘された。いち早くその報告を受けた、クレイメン率いる特務部隊は発掘所を強襲し、ドローンとそのドローンが騎乗する「アトルムドラゴン」を強奪した。同時にクレイメンは、帝都地下の遺跡を人為的に暴走させ、大爆発により帝都を壊滅させ、帝國軍の出鼻を挫いた。そうしておいて、反乱軍=クレイメン艦隊は、辺境の帝國軍駐留部隊を撃破しながら、東方にあるといわれる塔を目指したのである。

 対する帝國軍は、皇帝陛下直属の部隊を中心にクレイメン追跡を開始。途中アトルムドラゴンやもう1頭のドラゴンとの戦闘で被害を受けながらもクレイメン艦隊に追い付き、壊滅させた。帝國軍はその後、長年の悲願である塔への侵入に成功し、塔を占拠していたクレイメンを捕らえ、反乱は終結したかにみえた。

 ところが、ドローン「アゼル」が塔を起動させたことによりガード機能も起動、発生した攻性生物により皇帝陛下とクレイメンは死亡。塔外部にも大量の攻性生物群が発生し、帝國軍空中艦隊は成す術もなく全滅。帝國の中核である帝都、空中艦隊、皇帝陛下を失ったことにより帝國は事実上滅亡したのである。

<Panzer Dragoon AZEL>
 辺境の発掘所にて、帝國軍の傭兵として警備の任に就いていた主人公のエッジは、発掘所内で人間の女性の形をした発掘物を見かける。しかし、突如帝國に叛旗を翻したクレイメン艦隊が発掘所を急襲、発掘物のドローン(アゼル)を強奪して去っていった。その際仲間を皆殺しにされ、自らもクレイメンの部下ツァスタバに撃たれ、遺跡に転落したエッジだったが、危ない所を突如現れたドラゴンに救われた。エッジはドラゴンとともにクレイメンを追う旅に出た。シーカーのガッシュや、キャラバンの人々に助けられ、なんとか禁止区域を突破しクレイメン艦隊に追い付くが、クレイメンはすでに塔に辿り着いていた。その時エッジはドラゴン(アトルム)と遭遇する。アトルムの上には、発掘所で見たあの女性が立っていた。当惑するエッジに、彼女はクレイメンのために戦うと言い放つ。

 ゾアの街で、ウルにある遺跡から塔に行けるらしいと聞いたエッジはウルへ。遺跡の封印を解き、遺跡に入ろうとしたその時、またアトルムが登場。激闘のさなか、エッジとアトルムの乗り手は遺跡内に転落してしまい、彼らは一時休戦をして行動をともにする。彼女はエッジに自分の名前はアゼルだということを明かすのだった。

 結局ウルから塔へ行けなかったエッジは、ゾアの街神聖区にある旧世紀構造物から、塔を守っている旧世紀の船の情報を得て、その船(メル=カヴァ)を破壊しに行く。首尾良く破壊したところでアトルム登場、エッジとドラゴンはついにアトルムを倒した。アトルムは最後の力を使ってアゼルを墜落から救う、まるで自分の主人をエッジに託すように。エッジはアゼルを抱えゾアに戻ろうとするが、旗艦グリグオリグ率いる帝國の大艦隊が来襲、ゾアはグリグオリグ主砲「皇帝砲」の一撃で灰燼となった。帝國軍相手に戦うエッジたち。それを好機と見たクレイメン艦隊は帝國軍に決戦を挑むがあえなく全滅、帝國軍の塔への進撃を阻むものはこれでなくなった。

 戦死したツァスタバからクレイメンの手紙を受け取ったエッジは、アトルムの死後目を覚まさないアゼルを連れて塔へ行く。クレイメンは、この世界は塔の環境浄化機能によって支えられており、塔を兵器としてしか考えない帝國に塔と、塔を制御する能力を持つアゼルを渡すのは危険すぎると主張する。その時帝國軍が塔に侵入してきた。クレイメンの考えに賛同したわけではないが、かといって帝國軍を野放しにできないと考えたエッジは帝國軍と戦う。死兵と化して襲いかかる帝國軍を蹴散らし、戦術揚陸母艦バリオーを撃沈するが別働隊にコントロールルームを占拠された。皇帝に捕まって殺されそうになったクレイメンをみて、アゼルは塔を起動させた。それにより攻性生物が登場し、皇帝とクレイメンは攻性生物に殺された。エッジは気絶したアゼルとともにドラゴンに乗って塔を脱出、塔の周囲を取り巻いていた帝國空中艦隊は、塔から発進してきた攻性生物群の猛攻の前に全滅した。

 エッジは、シーカーのガッシュの使者に手紙をもらう。手紙が指定した場所に行ってみると、そこはシーカーの里であり、ガッシュがエッジを出迎えた。ガッシュは、塔が放った攻性生物は、人類が増え過ぎないように人間を殺しており、その塔を止めるためにシーカーは活動していると告げ、そのためには、塔を破壊する唯一の存在であるドラゴンを、アゼルの塔を制御する能力を使って、全ての塔を統べるといわれるセストレンへ送り込み、セストレンを破壊するしかないと言う。

 その時、塔から発生した攻性生物群と、暴走したグリグオリグが里に接近してきた。アゼルの回復をシーカーに任せてエッジは迎撃に向かう。何とか暴走グリグオリグを沈め撃退するが、シーカー側も死者を出すなど大きな被害を受ける。エッジとアゼルはガッシュたちの退去を助けるため、自分の意志としてセストレン破壊を決意、再び塔へ向かった。塔のガードシステムを突破し、アゼルは塔を操作してエッジとドラゴンをセストレンに送った。ドラゴンはセストレンの支配者を倒し、ほとんどの塔は活動を停止した。

前帝の滅亡から帝國の再興まで

 前帝が帝國歴120年に滅亡した後、大陸の環境は激変した。攻性生物の数は減り、その襲撃も激減したものの、自然環境は塔の活動停止により不安定になり、それは以後数十年続いた。さらに帝國という「重石」が取れたことにより、様々な勢力が勃興する結果になった。旧帝國軍の地方駐留部隊などの生き残りは、ある者たちは軍閥となり、ある者は被支配者と妥協し国家を興し、帝國に支配されてきた部族の中にも、かつてのオアシス国家を再興する者たちが多く現れた。これら新興諸国は旧帝國軍の軍事ノウハウをある程度受け継いでおり、諸国間の紛争は大規模で、かつ頻発した。前帝滅亡後の急激な環境の変化と戦乱で多くの命が失われ、「アゼル事件」の、帝都消滅と塔の完全起動による死者と合わせると大陸の人口は半減したともいわれる。この時代はのちに「大崩落」と呼ばれることになった。

 旧帝國アカデミーは旧帝都から南遷し、大陸西岸に本拠を置いたと思われる。さすがにアカデミーと言うべきか、技術レベルでは他国を圧倒していたが、いかんせん人員が足りず、他国を制圧するには至らなかった。アカデミーは南方からの流入民や、大陸南方沖の列島に存在した海洋民族国家からの渡来民を積極的に受け入れた。南方民族のマンパワーと、旧帝國アカデミーの技術力を融合させることで強力な軍隊を作り上げた旧帝國アカデミーは、周辺諸国を次々に武力制圧していった。長い戦乱に厭きていた民衆も諸国を統一するような強大な力の登場を欲しており、その時流に乗る形で諸国は次々に旧帝國アカデミー勢力に帰順していったのである。新たに発見した巨大遺跡を首都の土台とし、第7代皇帝の血筋を引く者を第8代皇帝に奉り、帝國の再建を宣言した。帝國歴142年、帝國は再興したのである。


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