シェルクーフ事件報告書
シェルクーフの発見

 帝國歴71年6の月10日未明、全長2100リオンに及ぶ直方体の飛行物体が、攻性生物や戦艦を伴って国境方面に進行中であることを、メッカニア連邦領土内に侵入していた探索部隊が確認した。皇帝陛下の勅命により、当該飛行物体(現地語に基づき「シェルクーフ」と呼称)の追跡が開始されたが、探索部隊と合流する時点で、メッカニア連邦軍と衝突。全面戦争に発展する結果となった。なお、メッカニア併合後に行われた調査によって、シェルクーフは探索部隊との遭遇前に、飛行コースを突如変更して、エルピス地方の村落を雷撃によって全滅させている事実が判明している。コース変更の理由は不明だが、攻撃の対象となった村落では、クーリアが多数飼育されており、それが何らかの形でシェルクーフを呼び寄せたのではないかとする説が有力である。

捕獲部隊全滅の経緯

 メッカニア軍との戦闘によってシェルクーフの追跡が中断、位置が不明となったため、捕獲部隊はシェルクーフの予測飛行コース上の森林地帯に戦力を展開、監視体勢を整えた。この時、森林上空で新種の攻性生物が発見された。既存の攻性生物の体系のいずれにも属さないこの個体は、辺境の伝承から「ドラゴン」と命名され、調査のため別働隊が編成された。しかし、別働隊の報告を待たずして、シェルクーフとともに確認されていた大型戦艦が出現。捕獲部隊と交戦状態に入った。戦艦はわずか1隻であったが、その戦力は圧倒的であり、数分間の戦闘で部隊の大半が撃破された。撤退した残存部隊の報告に基づいて編成された第2次捕獲部隊は、ゲオルギウス付近でシェルクーフに遭遇、接触を図ったが、その表面に設置されていた雷撃兵器の集中攻撃を受け、全滅に至った。奇跡的に生還した士官の証言によればここでも全滅直前にドラゴンの姿が目撃されている。しかし、その外見は第1次捕獲部隊の報告にあるそれとは著しく異なっており、誤認ではないかとの見方もある。

シェルクーフの失踪

 これ以上の戦力消耗は、メッカニア侵攻作戦に影響を与えると判断した軍司令部は、第2次捕獲部隊の全滅をもって、シェルクーフ捕獲作戦の延期を決定。全兵力を進行作戦に投入した結果、9の月3日、メッカニア連邦は、正式に帝國の属領となった。その後、改めて追跡調査が行われたが予測飛行コース上にシェルクーフの姿はなく、ただ大規模な戦闘跡を無数に確認するのみであった。シェルクーフは、この戦闘によって破壊されたと思われるが、それを可能ならしめた戦力の実体は不明である。


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