原初日の書
 

かつて、

世界は、神とともにあった。

人は、神の栄光のもとにあった。

万象は、幸いをなすものであった。

 

原初の朝、

神は、すべての人を創造した。

みずからにかわって、

世界を創造させるためである。

弱き人にそれを可能ならしめるべく、

神の持てる知恵は、

ことごとく人の魂に注がれた。

 

原初の昼、

人は、世界を創造した。

いかなる人の道具より強い道具と、

いかなる人の火より熱い火が、

万象にかたちを与えた。

 

我らの目に映るものは、ただひとつを

のぞいて、この時に創造された。

水や草や獣は、人の糧として、

遺跡は、人と神の家として、

攻性生物は、人のしもべとして、

それぞれの役割を果たした。

 

原初の黄昏、

人は、争いを始めた。

闇を知らぬ人は、黄昏を恐れ、

心乱して殺しあった。

 

このとき、神の知恵は、

ことごとく争いに用いられた。

神の火は、地を焼きつくし、

神の道具は、命あるものを打ち殺し、

攻性生物は、人を喰う軍勢となった。

 

原初の夕べ、

神は、人にかけたのぞみを捨てた。

神は、人の世を去り、

神の知恵もまた人の魂から去った。

人の作ったすべてのものと、

人自身とともに打ち捨てられた。

 

水や草や獣は、人からその姿を隠し、

遺跡は、人に扉を閉ざし、

攻性生物は、人を喰い続けた。

かくして、

神は、人の世とともになく、

我らは、神の栄光からへだたり、

万象は、我らに災いをなす。
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