手術

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激しい痛みも何とか落ち着いてきた頃、手術の時間が決まりました。いよいよ手術です。

なにやら脅し文句がしこたま書いてある誓約書にサインしてくれと言われます。簡単に言えば手術をすることによって何かあっても文句を言うなよってなコトですな。

だからといって「そんなコト言うなら自分でやるからもういいよ。」なんて言う事はできないのが現実です。

ターミネーターは自分で自分の体を直していましたが、生身の体を持つ私にゃそんな芸当はできません。「ひとつ宜しくお願いいたしやす。」と言いつつ全てを先生に託すしかありません。大丈夫ですよね? ちょっと不安だ。

手術までの間、特に何するということも無く手術の時間となりました。まずは処置室に運ばれ、気合を入れるために注射を1本打っときます。ホントは患者をハイにするための注射じゃなくって、麻酔を効きやすくするための注射なんですが。

注射を打った後、時間を見計らっていよいよ手術室に移動となります。

手術室まではベッドに寝かされたまま看護婦さんによって運ばれます。お見舞いの人たちもたくさん来ている病棟の中をベッドに寝かされて運ばれていく私。すれ違う人たちをなぜがよく目があうんだなぁ。これが。

んでほとんどの人たちの目がね、なんともいえない目をしてるんですわ。例えるなら、公園の片隅にダンボールに入れて捨てられた子犬を見るような。もっとこう、「手術か! 頑張れよ! 俺は応援しているぞ! 1・2・3ダー!」みたいな気合の入った励ましの目で見てもらいたいもんです。

手術室に入ると、私と同じように手術待ちの患者がたくさん来ていました。子供は「いやだよ〜。こわいよ〜。」と泣いてます。それを必死こいてなだめる看護婦さん。大変だねぇ。

私も許されるなら看護婦さんの胸の中で「いやだよ〜。こわいよ〜。手術なんかやりたくないよ〜。」と泣きたい。更に「大丈夫だよ。落ち着くまで、このままギュッってしててあげる。」なんて優しい言葉をかけてもらいたいもんだ。

しかしいい大人が泣いて駄々をこねようモンなら優しい言葉をかけてもらえるどころか、冷たい視線にさらされそうなんでぐっと我慢です。ここまでくりゃまな板の上の鯉状態。もうどうにでもしてちょうだい。

途中付いてなきゃいけない名札が無いなどの小さなトラブルはありましたが、それも気合と笑いで切り抜け、漁港のマグロのように機械の上を滑っていき、いよいよ出術台へ。

殺風景な、小さな部屋。患者の緊張を解くためが音楽が流れています。

 

看護婦 「好きな音楽かけますから、選んで下さい。何がいいですか?」

 

何がいいですかって・・・。笑いながら楽しく手術を受けるために落語なんちゅうのはどうだろうか? 漫才やコントってのもアリだな。

しかし手術中の先生がふと落語が気になって気になって、んで大事なトコロで笑われて手術失敗ってのは困る。

んじゃ気分を盛り上げるためにアップテンポな曲ばっかりにしてもらうのはどうだろうか? 思わず踊りだしたくなってしまうくらい、明るい気分で手術が受けられるかもしれん。

しかし先生まで思わず踊りだしたらどうなる。しかもそれが腰を激しく振りまくりのアヤシイ踊りだったり、メスを空中で回転させつつ自分も回転してしまうようなアクロバティックな踊りだったらどうする。ん〜。安心して手術が受けられん。

 

 私  「あの・・・。最近の流行のヤツでお願いします。」

看護婦 「はい、わかりました。」

 

何のひねりも無い選択をし、敗北感を味わっているトコロで先生の登場です。まずは麻酔から。これがなきゃ始まりません。麻酔は背中に思いっきり注射する半身麻酔。腰から下の感覚がなくなる麻酔みたいです。

 

先生 「はい、じゃぁ麻酔を打ちますから。背中を丸くして下さいね。」

 私 「こうですか?」

先生 「はい、いいですよ。じゃぁ打ちますね〜。」

 私「◎△◆×!?※」

 

ちょっと待った! 痛いっていうか、思いっきり痺れてますビリビリって。正座したときの細かなピリピリ感ではなく、電気ショックでも受けたかのようなビックウエーブで襲ってくる巨大な痺れです。耐えられるか、こんなもん!

 

先生 「あ、ちょっと痺れましたか? どっちの足が痺れてますか?」

 私 「思いっきり両方です。」

先生 「そうですか。」

 

そうですかってそれだけかい! それから何回か針を刺されましたが、もうすっかり怯えた子犬状態。マジで看護婦さんの胸の中で「いやだよ〜。こわいよ〜。手術なんかやりたくないよ〜。」と泣きたくなりました。

しかし看護婦さんは「大丈夫だよ。落ち着くまで、このままギュッってしててあげる。」なんて優しい言葉をかけてくれるハズもなく、淡々と処置をされていく私。助けてください。いや、冗談抜きで。

恐怖の麻酔注射が終わった後は、時間が経つにつれて足の感覚がなくなっていきました。最初のうちは足につけられる水だかなんだかの冷たいって感覚があったんですが、そんな感覚もすっかりなくなって。気がつきゃしっかり寝てました。半身麻酔ってより全身麻酔ですな。こりゃ。

目を覚ますと、どうやら手術もフィニッシュが近いらしく、看護婦さんは後片付けらしき事を始めています。

 

先生 「大丈夫ですか?」

 私 「あぁ、はい。大丈夫です。」

 

私が目を覚ましたことに気がついた、助手の先生らしき人が声をかけてくれますが、朦朧とした意識の中で返事するのが精一杯でした。

その後半分寝ボケた状態で病室までつれて戻られ、次第に足の感覚が戻ってくるにつれて、手術が終わったことを実感することになりました。

 

 

んで手術によってボルトを埋め込まれた足。







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