失敗した駅西再開発更に16億円の市税投入
用地購入名目の再開発組合の債務肩代りは
許されない
本田市長は、2005年度予算の中に都市再開発費用地購入費の名目で
15億5999万6000円を計上し、破綻した組合の実現不可能なホテルや公益棟の
床を買うことにしています。その敷地3534.97u(1069.32坪)も含みますが、
それでは、時価の3倍以上の高い土地を買うことになります。
この約16億円の用地購入金額は、組合の借入金11億円と未払金1億円に権利者の持分
(ホテルの床の一部)約4億円を精算できるよう逆算して出した金額です。事業を推進した
組合理事者も融資をした銀行も参画権利者も1銭も損しないで、すべて市民の税金で穴埋め
してしまう虫のいい計画です。そしてなによりも、最初から「やってみなければ分らない」
「批判するのは相撲の解説と同じ」「ホテルに税金は一切使わない」「私が責任はとる」と
勝手に事業を進めた本田市長の責任を一切問わずにごまかしてしまうことになります。
すでに、40数億円の税金が投入されていますが、いまだに、敷地の整備すら終えていま
せん。この責任を、裁判の中で明らかにしてゆくことになります。
この支出を差止め、無駄に使った補助金の返還を求める裁判です。訴状の全文を掲載しま
す。
訴 状
2005年6月17日
名古屋地方裁判所 民事部 御中
愛知県西尾市葵町81番地3
原 告 林 浅 吉
愛知県西尾市菱池町池J22番地
原 告 青 山 文 子
愛知県西尾市菱池町池J22番地
原 告 青 山 芳 弘
愛知県西尾市法光寺町西畑42番地
原 告 榊 原 史 郎
愛知県西尾市高畠町1丁目14番地1
原 告 嶋 村 直 彦
愛知県西尾市鵜ヶ池町中屋敷136番地
原 告 冨 永 宣 生
愛知県西尾市米津町宮浦68番地
原 告 野 村 邦 子
愛知県西尾市寄住町柴草26番地20
原 告 畑 中 彫 介
愛知県西尾市高畠町4丁目75番地3
原 告 平 山 良 平
愛知県西尾市富山町元山15番地第1
原 告 牧 野 勝 子
愛知県西尾市本町18番地
原 告 牧 野 次 郎
愛知県西尾市上町北側1番地
原 告 守 山 邦 雄
愛知県西尾市南旭町21番地10
原 告 渡 辺 辰 男
愛知県西尾市寄住町下田22
被 告 西尾市長 本田 忠彦
用地購入費支出差止事件
及び補助金返還請求事件
訴訟物の価額 算定不能
貼用印紙額 13000円
請求の趣旨
㈠ 西尾市長(以下「被告」という)は用地購入費と称する、西尾駅西A地区市街地再開発組合(以下「組合」という)の全資産取得のための15億5999万6千円の支出を差し止めよ。
㈡ 被告は組合に支出した補助金の返還を請求せよ。
㈢ 訴訟費用は被告の負担とする。
請求の原因
第 1 当事者
㈠ 原告
原告らは、いずれも愛知県西尾市(以下「西尾市」という)の住民である。
㈡ 被告
被告は西尾市長である
第 2 事実の経過
㈠ 西尾駅西再開発事業
西尾市は、1999年(平成11年)4月20日、「近年低迷している駅前拠点性の回復をめざして、本事業により商業等の駅前サービス施設立地、交通環境の整備及び都市防災機能の向上を図るため、都市基盤としての交通結節点機能等の公共設備の整備と、商業、業務、宿泊、公共設備及び駐車場等を備えた複合施設の建築によって、都市の防災化、高度化を進めるとともに、市民が安心して楽しめる魅力ある市街地の形成を図ること」を目的(以下「本件事業目的」という)として、西尾幡豆都市計画事業 西尾駅西第一種市街地再開発事業(以下「本件事業」という)に係る都市計画を決定した(甲1号証 「平成17年5月19日西尾市職員措置請求書に係る監査結果について」による)。当計画に基づき2001年(平成13年)12月14日に組合は設立認可された。以後多くの問題点を含みながら、組合施行で本件再開発事業は進められてきた。「三セクホテル建設は税金の無駄遣い」になると大きな世論になり、その建設の是非について住民投票を求める直接請求は15000人の署名が集まり、議会においても商業床、業務床の処分先の見通しや事業の採算性の問題、商工会議所が取得を予定する業務床の費用5億7千万円のすべてについて、市の補助金を当てにしていたことが明るみになるなど、事業は多くの問題を包含していた。そして処分床の購入者が西尾市と権利者しかいなくて、建物を作っても公益棟の半分が処分見込みのないもので、本件事業は2004年になって表面化してきた。組合は2005年8月になって施設建築の変更計画案(甲2号証)を、西尾市に提出した。西尾市は変更計画案について検討したが、@ホテル床や住宅床の売却額が建設費の原価を割り、その差額分が公共床に課せられる計画で、市民に納得してもらえない。A金融機関から融資を受けられず、資金繰りが困難であることを理由に、更に公金を投入しても事業の破綻を危惧することから、事業の継続は難しく、再開発事業そのものと言える再開発ビルの建築を白紙に戻すと発表するに至った。上記@の内容は、西尾市が購入予定の処分床の価格が、ホテル処分床の2.75倍にもなるというものであり、市民に理解が得られないと判断したものである。
ところが、変更計画案で企てられたホテル床と公共床の価格操作は、2001年組合設立時すでになされており、公共床の価格がホテル床の2.56倍になっていた。この変更計画案を、西尾市と組合は2005年1月13日まで公表せず、2005年3月になって、本田市長は、議会において、2001年当時よりこの価格操作の事実を承知していたと発言している。西尾市は「組合の破綻ではなく、仮に組合が変更事業計画案で進めた場合、建物が完成しても経済状況の悪化により、事業採算性は非常に難しくなっているため、市が一人組合で引き継ぐというものである。また、組合が変更計画案通りで事業を継続した場合には、更に公金を投入して事業破綻するのを危惧し、組合が変更事業計画案を断念する代わりに西尾市が組合事業を承継する」と釈明した。市は、用地購入後、一人組合になって施設建設計画について、検討していくと表明している。しかし、被告は、用地購入という方法で市が組合を肩代わりし事業を継続するといいながら、その後の事業は「市民の意見を聞いて進める」というだけで、どのような事業をしていくのかは何も明らかになっていない。
㈡ 用地購入費予算の根拠
平成17年度一般会計予算で市街地再開発費の公有財産購入費、用地購入として15億5999万6000円を計上した。(甲4号証)その根拠は、権利者持分3億6000万円と組合借入金11億円(西尾信用金庫5億5000万円、農協5億5000万円の合計)と、今後借り入れ予定の1億円の合計である(甲5号証)。
㈢ 再開発組合に支払われた補助金
平成11年度より下記の通り西尾市市街地再開発事業補助金交付要綱により、支払われた。
(1)平成11年度市街地整備事業
5100万円
(2)平成11年度市街地整備事業
1200万円
(3)平成12年度市街地整備事業
319万2千円
(4)平成13年度市街地整備事業
198万9千円
(5)平成13年度市街地整備事業
1512万円
(6)平成13年度市街地整備事業
1億440万円
(7)平成14年度市街地整備事業
1億1434万4千円
(8)平成15年度市街地整備事業(平成14年度からの繰越分、上記の一部)
1585万6千円
(9)平成15年度市街地整備事業
1400万円
(10)平成16年度市街地整備事業
400万円
第 3
㈠ 本件用地購入費支出の違法性
本件用地購入費は、組合の資産及び権利者持分すべてを15億5999万6000円にて買い上げようとするものであるが、実際の組合の資産は、再開発区域内1.6haの土地から国、県、市、の土地面積を差し引いた、残り約3535uの土地のみである。この用地を現在の地価で換算すると約4億5000万円程度のもので、時価の3倍以上にもなる価格で用地を取得することになる。市は用地を取得しても建設目的もなく、そのような支出は違法である。
㊀そもそも西尾駅西再開発事業は、2001年事業計画認可時以前からすでに事業の資金計画はホテル棟を安く売却するために、市が買い上げようとする施設に負担が上乗せされ、市の購入する床の坪単価がホテル床の2.56倍にもなるもので、「市民に理解が得られる事業ではない」ことを市長も認識していながら進めてきたものであり(甲6号証)、著しく公共性を欠く事業であった。そのうえ、組合事業の継続が困難なことが明らかになったら、どのような事業になるかも示せないまま、組合資産の買い上げに莫大な公金を支出するもので、市の財政に多大な累を及ぼすものとなり、ひいては公共の福祉の増進を図るべき自治体の責務を阻害して、甚大な損害を市民に及ぼすこととなる。この支出は違法なものである。
本件事業は、事業の採算性に乏しく、その実現が困難であることから、事業施行主体である組合の構成員でさえも離脱表明をした。更に組合から提案された変更計画案も、「市民に理解されるものでなく、金融機関からの融資も難しい」と、市長は組合による事業の継続は難しいと判断した。
破綻した組合の負債を市に肩代わりさせることは、組合法人の負債を市民に肩代わりさせる違法不当な行為である。又市長は自らの責任を回避しようとするものである。
㊁ 西尾市は本件事業計画が立ち上がったときから、組合に対して莫大な税金を補助金などとして支出してきた。補助金の事業目的は「土地の合理的かつ高度利用と都市機能の更新を図り、あわせて公共施設の整備を行う」としている。しかしこの目的が達成されなくなった今日、西尾市市街地再開発事業補助金交付要綱に沿って、その補助金は返還させなくてはならない。
それもしないで、負債も含む組合の全財産を市が買い受けることは違法不当である。
㊂ 組合の負債に対して、用地購入の名目で財政の支出を予定している。用地を購入するのであれば、少なくとも用地購入目的を明らかにし、実勢価格を鑑定評価したうえ、適正な価格で購入すべきである。
㊃ 市長は、市議会において、再三「組合の債務保証はしない」ことを明言してきた。ところが、市長は前言を覆し「組合に負担を課すことは無理であろう」と判断して、市が組合のすべての財産を肩代わりすることで組合債務を公費で負担しようとしている。これは市民に対する背任行為である。
㊄ 駅西再開発計画の施設建築計画は白紙になっている。市長は、市で事業を継続させるというだけで、今後の建築計画を示せず『市民の皆さんの意見を聞いて判断する』という。事業の目的や内容がまったく不明な用地を購入することは、違法な支出にあたる。
以上のことから、事実上破綻した組合の有するすべての資産を買い上げようとする平成17年度西尾市一般会計予算の市街地開発費の用地購入費15億5999万6千円の支出は著しく公益性を欠くもので、地方自治法(以下「地自法」という)232条に反し、同法2条14「住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果」の条項にも抵触するものである。又地方財政法第3条予算の編成、第4条予算の執行にも違反するものである。
㈡ 組合に支払った補助金の返還要求
市長が議会で市の一人組合で行うと表明した時点で、権利者による事業は事実上破綻、事業は不可能になった。当初の目的を達せなくなった今、市は組合設立より今日までに支払ってきた補助金を、西尾市市街地再開発事業補助金交付要綱に基づき返還請求すべきである。
第 4 住民監査請求
原告らは、2005年(平成17年)3月25日、西尾市の本件組合に関わる違法な用地購入予算および補助金返還請求について、西尾市監査委員にたいし、地方自治法242条第1項に基づく監査請求を行った(甲3号証)。
ところが、同年5月19日付で、西尾市監査委員は、原告らにたいし、右監査請求を棄却する旨の監査結果(「西尾市職員措置請求書に係る監査結果について」と題する通知書・甲1号証)を通知した。
しかし、原告らは、この監査結果に不服であり、地方自治法242条の2第1項1号および同項4号に基づく請求の訴えを提起する。
第 5 裁判所に求める判断
以上述べたごとく、本件事業計画は、策定時より上記のような問題があり、当初より住民の間には本件計画の必要性、実現可能性を危ぶむ声があったにもかかわらず、被告及び組合は、住民に対する十分な説明責任を果たすことなく、徒に計画を強行した。
実施設計完了後、わずか1〜2年の間だけでも建築物構想を数度にわたり変更したのも、この事業の実現性の無さの表われである。2001年9月施行の西尾市長選挙で、被告はホテルの三セク方式をやめると表明、「ホテルに税金は使いません」と公約したにもかかわらず、市購入の処分床がホテル床に対し、2.56倍もの売却価格を設定し、3年余に渡り隠していたことは、秘密裏にホテルへの税金の迂回投入を企てたもので、市民に対する背任行為である。又本件、土地代金と称し、組合の負債を含む全資産購入は地方自治法に反する違法行為である。
組合の事業者責任も問わず、「行政の責任は重大(本件監査結果3(2))」と考えられながら、それらの責任を不問にするために市民の血税で赤字補填することは、市民に多大な損害をあたえるものであり、税の不正使用である。
被告は「今後の計画は市民の意見を聞いて進める」と言いながら、事業の現状についての説明責任すら果たしておらず、市民の理解もないまま、何をするのか一切決まっていない用地を取得しようとするものである。組合が事業を継続することには破綻を危惧していながら、西尾市の一人組合だと事業が成立つ保証はない。以上のような、使用目的のない本件用地取得は、将来に更なる無駄な税の投入が明らかである。
以上述べたように、本件支出行為は、地自法232条に違反し、同法2条14の条項にも抵触する。地方財政法第3条「予算の編成」、同法第4条「予算の執行」にも反する違法不当なものであり、当該費用の支出の差し止めと、本件事業に支出した補助金の返還請求をすべきよう求める。
証 拠 方 法
甲1号証 西尾市職員措置請求書に係る監査結果について(通知)(写)
甲2号証 西尾駅西A地区市街地再開発事業 変更事業計画案(写)
甲3号証 西尾市職員措置請求書(写)
甲4号証 平成17年西尾市予算書(写)
甲5号証 犬塚建設部長答弁内容 用地購入単価根拠(写)
甲6号証 2005年3月3日西尾市議会3月定例会議事録(写)
添 付 書 類
一 右各甲号証(写) 各1通
以 上