2007年4月27日西尾駅西再開発問題第2次住民訴訟
名古屋高裁へ控訴理由書提出
「一人組合で事業完成する」は嘘
破綻した再開発事業へ税金を投入する口実作り
控訴理由書全文を掲載します
平成19年(行コ)第13号損害賠償請求控訴事件
〔原審名古屋地方裁判所平成17年(行ウ)第28号、同第31号〕
控訴人林 浅吉外12名
被控訴人西尾市長中村晃毅
被控訴人補助参加人本田忠彦
控訴理由書
2007年4月27日
名古屋高等裁判所民事第4部御中
控訴人(選定当事者)林 浅吉
控訴人(選定当事者)青山芳弘
控訴人(選定当事者)嶋村直彦
控訴人(選定当事者)平山良平
控訴人(選定当事者)牧野次郎
第1 提訴と一審判決の誤り
西尾市は、西尾駅西A地区市街地再開発組合所有の時価4億5000万円程度の土地を時価の3倍の14億8625万1322円で購入した上、破綻した同組合に対して支出した補助金3億3590万1000円の返還請求を怠った。これは、西尾市民に対し多大の損害をもたらし、地方自治法232条に反し同法2条14項にも抵触する。又地方財政法3条〔予算の編成〕、同法4条〔予算の執行〕にも反する。一審被告である西尾市長は、その不動産売買契約を締結履行し、補助金返還請求を怠った前市長本田忠彦に対して、「合計金18億2215万2322円の損害賠償請求をせよ」との住民訴訟に対し、一審は「原告らの請求をいずれも棄却する」との判決であった。一審判決は、客観的事実に基づく判断を欠き、公平性もなく、到底承服できるものではない。以下のごとく一審判決に反論する。
1 当初より西尾駅西再開発事業は遂行不能であった
(1) 一審判決は、再開発事業の行き詰まりと一人組合への移行の経過について、「2002(平成14)年11月商工会議所が同事業からの撤退を表明、2004(平成16)年1月名鉄東部交通の同事業からの撤退表明に加えて、同年2月組合員間の意見の相違が表面化したので、市は、県と相談し一人組合という方法を検討した。一方再開発組合が、2004(平成16)年8月に提出した事業変更計画案は、住宅棟の追加とホテル階の売却であったが、住宅棟とホテル棟は民間への売却を容易にする為、従来の計画案よりも低い価格に設定されていたのに対し、その分西尾市が買い受ける予定の公共床(保留床)の価格は高いままであったので、西尾市は、西尾市に大きな負担をさせる上記保留床の買取を拒否する結論になった」という趣旨の安藤証言(乙5号証)をそのまま採用している(判決文28頁ウ、エ)。
(2) 商工会議所の撤退は、一審判決も認めるように、この事業を推進してきた商工会議所がその取得に必要な費用の積み立てをしておらず、基本設計、資金計画が2000(平成12)年6月議会で報告された直後の7月西尾市に対し密かに取得費用5億7千万の補助金交付申請をしていたことが市民に発覚し、前市長が、2000(平成12)年9月議会で、その支出の拒否を表明せざるを得なかったものである。
しかし、それは、2001(平成13)年12月の組合設立の前年のことである。判決文28頁ウ(ア)では、商工会議所は2002(平成14)年11月11日の臨時総会で進出断念を議決し、翌12日に西尾市に正式回答をしたとしているが、この記述では、2000(平成12)年7月からの商工会議所撤退問題の重要な経緯を無視している。
商工会議所会頭は、また、2001年11月設立認可申請直後に進出の白紙撤回を表明し、2002年11月、権利変換直後に正式回答をするという策を弄したが、本田前市長は、補助金の支出をしないと表明した2000(平成12年)9月議会以後毎議会で、補助金なしでの商工会議所の去就について明確にし、計画の見直しをするよう求められながら、それを行わなかった。撤退問題の責任は、身勝手な商工会議所にあり、一般の不動産取引であれば、手付流れどころか、損害賠償請求の制裁を受ける立場にあるが、県の事業計画認可、組合設立認可をとるまで、その資力と意思を故意に調査せず、補助金なしでの商工会議所の進出の可能性があるかのように装い事業を進めた組合と本田前市長に重大な責任がある。
一審判決文27頁20行以降で、「基本設計においては」「商工会議所による公益棟3階部分(業務床)の取得」は「従来どおり維持された」と述べているが、基本設計は、1999(平成11)年度に作成され、2000(平成12)年6月に市議会に提出されたものであり、組合設立前のことである。「維持された」のはここまでである。しかし、2005(平成17)年1月一審原告らが情報公開によって得た組合の変更計画案(平成16年8月9日作成)(甲2号証)の5頁によって、2001(平成13)年12月の事業計画認可時点に至っても、商工会議所の床負担金を6億6500万円に増額した上、西尾市の必要資金として計上していたがことが判った。本田前市長は、2001年6月4日の市議会定例会で、「本件組合認可申請の段階では、公益棟3階は業務床として申請する」と述べながら、あたかも商工会議所が西尾市の補助金で進出できるかのように装って、県の認可をとっていたのである。
(3) また、名鉄東部交通のこの段階での撤退表明については、権利変換後の撤退は、その権利の買い手を見つけない限り不可能であることが、組合と同社との折衝経過を見ても明らかである(甲40号証)。この撤退表明を事業継続が不可能になった理由とするのは、無理である。この事業は、当初から事業遂行不能なものであり、名鉄東部交通の撤退表明は、事業を継続不可能にした原因ではなく、結果である。
(4) 西尾市が拒否した本件組合の変更計画案によれば、2001(平成13)年12月組合認可時に、すでに市が取得する床の単価が権利者床の2.56倍になっており、変更計画案の2.75倍はこれと大差ないことがわかる(甲2号証5頁、甲24号証)。したがって、この事業は、組合設立認可の当初案から、市民の理解が得られるものではなかったのである。この組合の変更計画案を西尾市は検討していながら、一人組合への移行を説明した2004(平成16)年11月の全員協議会にさえ提出せず、口頭ですませようとしたのもそのためである。
上記計画案の拒否が正当と一審は判決したが、一審原告が求める組合設立認可時点で、このような事業計画案をなぜ市は拒否しなかったのか、判断していない。これを正当と認めた一審判決は、当初組合認可時の計画からこの組合による事業は破綻していたことを自ら認めたことになる。
上記理由により、地権者組合による本件事業の破綻の責任は組合と本田前市長にあり、その責任を求めない本件判決は不当である。
2 西尾市が一人組合になった目的は、明らかに組合負債の納税者市民への転嫁である
一審判決は、市の選択した一人組合について、「地方公共団体が組合の権利の一部を取得したり、又は、その権利の全部を取得して一人組合になった上、新たな計画を策定して、その完成をもって解散することは、その合理性、相当性が認められる限り、都市再開発法はこれを禁止していると解するのは相当ではない(判決文37頁23行目以下)」という。しかし、一審判決は、西尾市の一人組合になったその合理性、相当性の見方に誤りがある。
また、一審判決では、「長による契約締結行為が、その政策目的や取得の経緯から明らかに合理性を欠くとか、あるいは、ことさら売主の利益を図る目的に基づくものであったり、なんら合理的な理由なく適正価格を著しく上回る対価を設定するなど、その裁量権を逸脱し、又は濫用して、契約締結行為をしたものと評価できる場合には、民法上の不法行為の用件に従って、これによって生じた地方公共団体の損害を賠償すべき義務を負う(判決文23頁24行目より)」ともいう。
控訴人らは、これについて一審判決に反論する。そもそも西尾市が1人組合になって本件再開発事業を引き継ぐには、都市再開発法の趣旨に従って本件事業を引き継がなければならない。その為には事業の採算性は、最も重要なことであり、最も効果のある事業計画を作成し、その採算に合った購入金額を設定し、組合との交渉を行い、その負の額について責任のある組合や他の債権者にも相当の責任を取らせるのが社会通念上当然であるが、市は何一つ行っていない。この引継ぎを支持した一審判決は、自らが説示していることと矛盾する。
また、判決は、本件土地が、西尾市の玄関口として重要な位置にあり、このように異常な高額での取得が、政策上の裁量権の行使であるというならば、この負債を生じた組合について少なくとも以下の調査をし、交渉すべきと明瞭に判示すべきであった。
㋑ 転出者に支出した補償額の適、否
㋺ 権利変換額の適、否
㋩ 実施設計、権利変換、建物の撤去、整地などに要した費用の適、否
㋥ 事務経費、コンサルタント料の適、否
㋭ 土地の時価
上記調査をし、新たな計画書を作成した上で、組合との買い取り交渉を行うべきである。本田前市長は上記の調査等何も行っていない。このことを裁判所は知っており、何を根拠に合理性、相当性を判断したか示していない。組合の要求のまま、何ら調査、交渉もせず適正価格を著しく上回る対価で購入することは、判決の言う合理的な理由もなく、地方財政法3条、同4条に違反する。採算性を見るのに必要な調査、設計もせず、また、交渉もせず組合要求のままで購入したのは、明らかに、その負の資産をすべて納税者市民に転嫁するためであった。一人組合は都市再開発法に基づく法人であるが、一審判決はその採算性を述べず、同法に照らして判断していない。判決は、西尾市が一人組合になった目的経緯を誤認している。
3 地権者の利益だけを是認した判決
一人組合に移行する行為を西尾市がとったのは、地権者組合による事業継続が困難であったからと一審判決は断定しているが、しかし、継続を困難にしたのは、時勢の変化ではなく、杜撰な事業計画と権利変換である。その責任は、組合にある。その責任を追及し、交渉するどころか、不当にも先に転出した地権者と同じ待遇にするという口実で、譲渡所得税額分として、不必要な権利者にまで一律に権利金額に20%を上乗せした価格で買取っている。その不当性は、一審原告の準備書面(7)の8頁5、および準備書面(8)などで詳細に述べているが、被告側は、価格の詳細を明らかにせず、「転出権利者との公平性」を繰り返すのみである(一審被告第6準備書面等)。転出権利者(参画権利者も資産の一部を一部転出)には、税法上の優遇のほかに20%加算の権利変換を行なっていたのであろうか。判決は、それを無視し公平ではない。本田前市長は、判決のいう「ことさら売主の利益を図る」ことを目的としており、裁量権の逸脱に当る。
4 土地価格の鑑定評価についての誤り
(1) 一審判決は、一審被告の提出したこの土地の鑑定評価額「8億6500万円」について、正しく理解していないといわざるをえない。鑑定書(乙2号証)は、価格の種類を「正常価格」、対象確定条件を「更地」とし、この土地の最有効使用を分譲マンションの建設とする開発法を用いている。この算出方法は、更地の上に最も効率の良い建築物を建て、最高の価格で完売された時その地価の想定される最高の価格である。この地価は、土地上の不要物や付着する権利を撤去し、整地した後の更地を指しているのは当然である。したがって、「8億6500万円」の中には、整地作業の完成に至るまでの経費が含まれていると解釈するのが正常な判断であるが、一審判決は、本件土地代金額14億8625万1322円は、「本件土地について整地までに必要とした諸経費及び整地後の土地評価額の合計額(判決文38頁19行目)」を超えないとして、更地の土地評価額の他に11億円余の経費、整地作業費を認める誤りを犯している。
1.
さらに、この鑑定評価書の「8億6500万円」の土地価格は、その算出に重大な誤りがあり、つじつまあわせのための過大な金額である。
2005(平成17)年6月10日用地購入費支出後、1ヶ月余を経た7月15日に、土地鑑定評価書は提出されているが、2005(平成17)年6月2日付の市の「不動産売買契約締結について(伺い)」(甲10号証)の2頁で、土地価格を権利変換時の価格を時点修正した8億6430万7500円として説明している。この後で行った上記鑑定評価額は、この数字と完全に一致させたものである。
1.
鑑定書の鑑定者は、土地の売主である再開発組合の設立計画立案に関与した株式会社新日であり、本来、この土地の買主西尾市の依頼を受けるべき立場にないこと、
2.
開発法で想定する分譲マンションには、地域の実情を無視した設計がなされ、駐車場建設費の計上もれなどがあり、その結果、過大な評価額が算出されていること、
3.
公示価格を基準とした価格を算定するにも、時点修正の下落率、地域比較の適用を取違え、開発法による評価額につじつまを合わせた過大な評価額が算出されていることなど、
一審原告は、その準備書面(1)(3頁以降)、準備書面(5)(1頁以降)で詳しく述べているが、一審被告は、これに答弁せず、一審判決はこうした矛盾点をなんら究明していない。
5 「25億円以上の更なる出費」について
一審判決は、西尾市の一人組合での事業継続が、25億円以上の更なる出費を予防するとの一審被告の主張を肯定するが、その内容を的確に把握していない。今後の市の負担は、権利者組合の変更案では、公益施設(18億2700万円)、駐車場(4億9100万円)、公共施設管理者負担金(4億8700万円)、一般会計補助金(2億2100万円)である(甲24号証)。
一審判決は、事業代行による事業の完成よりも、西尾市が権利者の権利を全部買取って、一人組合として本件事業を引き継ぎ、事業計画を見直ししたほうが損失が少なくなるというが、安藤証言の鵜呑みであって、裁判所はいかなる根拠に基づいて、節減できるというのか。事業計画が容易に変更できるというだけで、事業計画、採算性も示せない一人組合に節減ができるわけがない。
6 裁量権について
一審判決は、裁量権の範囲について、「他の選択肢の見通し、利害得失の比較、金額の算出根拠、公共性の程度、進行経過、将来の見込みを総合勘案した上で範囲の合否を決定する」というが、大きな見落としがある。当該自治体の多くの住民が納得できるかどうかである。長は自治体住民から行政を付託されてはいるが、多くの住民の反対を押し切って、しかも、住民に負債を押し付けるまでの裁量権はない。本事件での選択肢は、いろいろあるとしても、どの方法が西尾市にとって最良かを調査し、一審判決の言う利害得失の比較、金額の算定根拠を示し、議会にもその内容を詳細に提案し、市民にも納得いく様に情報公開すべきであった。市は何一つせず、単に一般会計予算に、用地購入費として計上し、議会にも議決権のない全員協議会で組合施行が困難になったから、市が一人組合で事業を継続したいと説明した程度である。
公共性の程度は、駅前と言うだけであり、この土地を絶対に自治体が購入しなければならない理由はない。将来の見込み、予定は全くなく、組合との買い取り価格の交渉もせず、その上、組合要求のまま不必要な人にまで譲渡所得税分を加算して支払う、この様な行為は市長の裁量権の濫用である。
7 不動産売買契約について
1. 一審原告は、その準備書面(8)−1において、参画権利者7名に一律に譲渡所得税分としてその権利金額に20%加算したのは公共の利益に反した補助であり、また不必要な支出にあたり、地方自治法232条の2及び同法2条14項に違反していると述べている。一審判決では、権利変換時に転出した地権者らの取り扱いとの公平性や取引上の配慮観点を加えれば、これが不当とは認めがたいというが、事業を破綻させた組合の責任を不問にした上に、収用法で5000万円控除の対象にならない地権者にまで一律に20%加えている点だけ見ても、公平性があるとは認められない。その損失は何ら責任の無い納税者市民が被ることになる。
また、原告は、同準備書面(8)−2において、参画権利者の権利変換金額は、従前の土地坪当たりが128万4000円にもなっていることを明らかにしている。転出した権利者もこれと同等であったというのであるから、この事業は、当初から正常な収支のバランスはとれず、公共施設床の単価を売却予定床の2.56倍にもする計画としたものであり(甲24号証H13.12事業計画認可時)、それが破綻の原因にもなったといわざるをえないが、被告側は反論もせず、個人情報の保護を理由にして、権利変換計画の全容を明らかにする資料の提出もしていない。
また、甲10号証2枚目;の表からは、参画権利者の老朽化した建物実測延べ床面積167.81平uの価額が92,183,102円で、平均坪当たり181万円という法外な額になっていることがわかる。
一審判決は、これらを当然のごとく認めており承服できない。
1. 一審原告らは、本件不動産売買契約は、約3535uの土地以外に、2000万円以上の未完成建物(不動産)を含む契約であり、地方自治法96条1項8号に定める単行議案としての議決を要すると主張し、準備書面(7)の13頁「7 議会の単行議案審議について」で詳しく述べているが、裁判所はそれを無視して、5000u未満の土地売買であるからその必要はないとしている。建物は売買目的でないというのであれば、残留権利者から、わずか101.18坪の土地を3億6千万で購入したことになり、その整合性は無い。判決文別紙は「売買契約目録」として、甲9号証1〜8の「不動産売買契約書」の概要を載せているが、いずれも、施設建築物の敷地および建物の共有持分を売買の目的物としている。
一審原告らのこの主張に対して、判決は、故意に触れていない。
(3) 土地を取得するには、具体的な利用計画、政策目的も必要であり、本件のように何も示せない土地購入は緊急性もなく、また組合が他に売る計画もなかったことから判断すれば違法な行為である。
8 補助金返還請求を怠る事実の違法性について
一審判決は、ビル建設にかかる事業は中止されたものと認めるが、各補助金は既に完了した作業のために支出されたもので、「本件事業が事後的に中止になったことによって、さかのぼって返還を要すべきものとは解されない」「補助金交付要綱16条3には該当」しない、というが元々補助金はその事業計画の完成を前提に交付されるものである。仮に建物設計に、補助金を受領し建築物が完成できなかった場合も、その返還を要さないと裁判所が認めるとなれば不当である。本件は、過大な実施設計費、過大な権利変換額、杜撰な事前調査、バブル崩壊後であるにもかかわらず楽観的な見通しで、入居者が全くない事実を隠蔽して事業が行われたことが、一審原告提出の各証拠類で明らかである。補助金対象の建築物を建てると申請し、過大な設計見積もりをし、それに基づく補助金を得、建築物は中止したことによって、誰が利を得、誰が害を負ったか、裁判所は、そこまで踏み込んだ判断をすべきである。都市再開発法122条(費用の補助)は、上記のような事を認めるものではない。その事業完成を前提に支給された補助金は、返還請求すべきである。本件判決はきわめて不当である。
第2 一人組合の解散
西尾市の一人組合は、当初計画事業の完成を見ないまま、2006(平成18)年11月13日組合の解散、清算を決め、同年12月19日付けで、愛知県から組合解散の認可を得た(甲49号証)。
一審判決は、都市再開発法の規定で、事業完成まで組合は解散出来ないとし、何ら事業計画、採算性も示せない西尾市の一人組合を認め、市が一人組合になったのは事実上破綻した組合の多額の負債を市が肩代わりする口実作りであったという一審原告の主張を認めなかったが、今回の一人組合解散の事実は、これを覆した。一人組合は、何ら組合事業としての完成見通しを持っていなかったこと、再開発組合は、事業未完成のままでも解散、清算はできることが証明された。
西尾市が、用地購入費と称して、権利者組合が多額の債務超過になっている事実を隠しながら、その全資産を引き継ぎ一人組合となったのは、事業破綻の責任を明らかにしないまま、生じた大赤字を、納税者市民に転嫁するためのものであるとの一審原告らの主張の正しさが裏付けられた。
第3 結論
公金支出は形式的な手続が整っていても、厳正かつ明確な根拠が無ければ適法とは云えない。一審判決は、この点に付いて、土地はその評価額が4億5000万円にせよ8億6500万円にせよ、他に更地にするための経費を要しているから14億8625万1322円の支出は適正であると言うが、何一つ経費支出が正当であったことの具体的な根拠を示していない。地方自治法221条(予算の執行に関する長の調査権)1項、2項は、長の調査権を認めているが、本田前市長は、当然なすべき調査結果の報告や、審議を尽くしていない。一審判決はその点に付いても何も判断せず、回避している。また、本田前市長は、本件での、買い取り価格が世間一般的にいって経済的にありえない高額であることを知っており、組合に対して異議を申し立てる義務を負っていたというべきである。これを行わなかった不作為は、地方財政法3条、4条に明確に違反する。例え議会の承認が得られたとしても、財務会計上違法な行為が違法でなくなることはない。
また、都市再開発法119条では「市街地再開発事業に要する費用は施行者の負担とする」と明確に述べている。判決は、これを無視し、事業継続を困難にした組合の実態と責任を追及していない。西尾市が1人組合になった真の目的を見あやまって判決している。
また、一審判決は、「土地代金として組合の資産を西尾市が全部買い取り、一人組合として事業継続をするのだから違法とはいえないと述べるが、大きな矛盾がある。土地代金だけというなら適正価格の3倍以上での購入となり、組合の資産を含めての購入というなら、土地のみでなく、地権者の権利変換分の未完成建物(2000万円以上の土地以外の不動産)も買ったことになり、明確に地方自治法96条1項8号に違反し、西尾市市議会の議決に付すべき契約及び財産取得又は処分に関する条例3条(甲17号証)に違反している。
以上述べたように、一審判決は、誤った判断をしており、一審原告らは受け入れることが出来ない。
口頭弁論において、必要に応じて証拠を基にさらに詳細を論じるものである。
証 拠 方 法
甲49号証 西尾駅西A地区市街地再開発組合の解散について(認可)(写し)
添 付 書 類
1 甲号証(写し) 1通