女が腐ると

 以前、仕事がうまく展開せず、愚痴とぼやきの日々を送っていたときがありました。
 そんな ある日、「オレって、オンナの腐ったようなやつだなあ」と自嘲ぎみに言ってみました。ところがその一言から思わぬ展開が始まりました。 “いったい女が腐ると何になるんだ?”ということに心がとらわれるようになったのです。中年のオジサンである私は、それなりに永く生きてきてはいるけど、一度も腐った女が歩いているのは見たことがないぞ。〔マイケルジャクソンのスリラ−ではそのような場面があったけど〕そこで女が腐ったらなにになるかという疑問が脳みそに増殖しはじめました。
 オンナが腐るという言葉はあるけど、オトコが腐るという言葉は聞いたことがないぞ。男はすたるというし、女だけが腐るのか、男は腐れないのか、腐らないのか…… そんなどうどうめぐりをして、腐った状態の自分自信をイメ−ジした瞬間に“女が腐った状態の私→それは私→女が腐ると男になる”という恐ろしい図式を導きだしてしまいました。この結論は男にとっては恐ろしくて寂しいものなのですが、ある種の真実があるような気がしました。
 男、女をオス、メスとしてみれば簡単なことです。自然界ではメスは立派な存在なのです。いやオスが立派だという方もいると思いますが、立派なのはただ一匹のボスだけです。その他のオスはボスの動向を窺っている子分のオスです。メスには種の保存という崇高なお仕事があります。そして優秀なオスだけしかそのお仕事には参加させてもらえません。“飛行機が落ちても、助かるのは女性だけ”という現実が女の偉大さをよく現している思います。
 男である私が行き当たった“女がくさると男になる”という恐ろしい結論は、ほんとうに恐ろしいことに、現実としていま大多数の男が生きている状況なのだいうことです。“男はたくましく、女はやさしく”という昔からの教えには、表裏一体のこんなに恐ろしい真実が隠されていたのです。
 もうひとつ踏み込んで“男が腐ると何になる”という疑問には、もっと恐ろしい事実が隠されていそうな気がするので、もう考えるのをやめます……