寿命半分論

 日本の平均寿命は女性で80歳を超えた。男性もほとんど80歳。
ということは約40歳が半分で、その人生の折り返し地点で大人になるというわけです。
20歳なんてその半分。悲しいかな親離れ出来ない子供で当たり前。
50歳が平均寿命の国がアジアやアフリカにまだまだあります。
そんな国では25歳が折り返し地点。25歳で、生きてゆく技術や知識を次の世代に伝えなくてはいけません、それが日本では40歳でいいのです。ゆっくりと大人になってもいいのです。50歳寿命の国より15歳も子供でいいのです。20歳が12.5歳換算になり中学生ですね。
40歳が半分とすれば、30歳ではまだまだ発展途上、現実は子供!
体は十分大人でも心は子供!そんな大人子供が子育てや教育をしているのです。いろいろな問題がでてきて当然です。

 知り合いの名人左官が息子さんをドイツの左官のマイスターに弟子入りさせようとしたら、中学卒業の15歳からでは遅いと断られました。ヨーロッパではいまだに徒弟制度で技術を伝承しています。10歳くらいから一緒に暮らして技術を教えるようです。そこには大きな問題もあるでしょうが、叩き込まれた技術で一生生きていける人も多くいるでしょう。
バチカンのサンピエトロ寺院にあるミケランジェロの傑作ピエタは彼の23歳のときの作品です。その年齢で大芸術家だったのです。ミケランジェロは特別な天才かもしれませんが、多くの職人も20歳では一人前の職人です。日本でも尋常小学校を12歳で卒業し、大工や左官、染や織りの親方に弟子入りした時代はそうでした。20歳では十分に一人前です。
寿命が伸びるといった、いいことのおかげで、重要なことを先延ばしする習慣が付いてしまった。大人になっても、多くの人が自分探しをしている今の日本と比べ、どちらが幸せなのか考えさせられます。
 自分も自分の持っている技術をできるだけ子供の小さい時に伝えたいと思いますが、どうしても厳しく叩き込めません。音楽や伝統芸能の世界では3歳から教えるというのがあたりまえです。子供のときに覚えた技術や感覚は一生使えます。
今の学校はそんな重要な時期に勉強だけを教えようとしています。
父親の思いと学校の思いが一致しません。

  平均寿命が伸びたことにより、技術を覚える重要な時期をどんどん先延ばししてしまった。これによっても日本から技術が消えていきそうです。
ドイツでは職人の給料と大卒者の給料の違いがないと聞きました。
日本でも職人の待遇が良くなれば、多くの人がそこに向かうと思います。
そうしないと、これから先、貴重な技術が消えてしまいます。
100円均一や海外有名ブランドばかりに目の色を変えていないで、日本独自の製品や技術にお金を使わないと!!

  自分探しができるような、今の日本の状況は、不景気とはいえ、まだいい方の状況なのでしょう。生きていくのが精いっぱいの国に旅行して、子供たちの目がキラキラと輝いているといってうらやましがっています。なにが幸せなのか分からなくなります。

  ともかく寿命が長くなると、成長が遅くなるという、勝手な想像です!