プロとアマチュア

 今から34年前の20歳の時、名刺にイラストレーターと入れました。
イラストのファイルとそれをもって出版社にイラストの売り込みに行きました。
なにも仕事はしてないのに名刺にはイラストレーター。出版社の方はプロとして対応してくれました。
そして徐々に仕事は来ましたが、印刷のこともレイアウトのこともなにも知りませんでした。それでも仕事はしてギャラもいただきました。だんだん発注も多くなりイラストを描くだけで暮らせるようになりました。税金の申告でもイラストレーターです。
回りからはプロとして認識されました。
でも修業を積んだわけでも、免許を持っているわけでもなく,のれん分けや名前を襲名をしたわけでもありません。学校の生徒はDTP検定(編集・印刷)や色彩検定の免許を持っていますが、私はなにも持っていません。
ただ長くイラストレーターとして稼ぎ、家庭を存続させてきたという事実だけ。
ですから、本人だけはいつまでたってもアマチュア気分。
 話は変わりますが、先日ネットショップでアクセサーを買いました。
でも数回使用で壊れました。
原因は金属のバリが磨いてなく、それで石が割れてしまうという内容でした。
修行も経験もなく趣味で作った物がネットショップですぐに売れる時代になりました。
ネットショップを開き、商品が売ればプロ。
でも商品の作りはアマチュア。
 私も経験も何もないのに勝手にプロとして宣言し仕事を始めました。
売ればプロか?
今思えばひどいものでした。
描きたいものを勝手に描いて、編集の人や読者のことなんかあまり気にしていませんでした。
自分の描きたい絵がいい絵でした。
では編集や読み手のことばかり考えているのが良いのかといったらそうでもないから話は難しくなります。
買い手のことばかり考えて作ったら売れるのか!・・・・決してそうではありません。
わがままに作った物には魅力があります。
 プロより余程丁寧な仕事をされるアマチュアのかたもいらっしゃいます。
やっぱりプロだとうならせるプロもいらっしゃいます。
お金をいただくからプロなのか・・・・。
今プロが下手になり、アマチュアが上手くなって、プロとアマの境が無くなってきました。
特にネットの世界ではもう入り乱れています(私もそうかも)
昔は10歳くらいから修行に入り20歳で一人前というプロの職人の世界がありました。
今は自我に目覚めてからやり始めるので、きちんとした技術が身につきません。
ですから職人にもなれない、芸術家にもなれないという中途半端な人が続出。
選択肢が多くなって難しい時代でもあります。

自分が作った物が売れて,売った方も買った方も幸せな気分になれる。
簡単そうですが難しいことです。

これからも迷いの日々は続きます。
名実共のプロ・・・・・なれる日が来るのだろうか。