ライズ

魚が水面や水面近くの虫や小魚を捕えた時に、波紋が広がります。ライズといいます。川や湖に広がる波紋は、おおむね魚が虫を食べる時にできる波紋です。たかが数ミリの虫を捕えただけです。
しかし波紋を見つけると、何か重大な事件の瞬間を目撃したような反応をしてしまいます。
これがロッドをもっている時ならまだしも、通勤途中や、買い物途中でも、おもわず「ライズ!」と叫んでしまいます。(私は川の近くに住んでいるのです)魚がライズしたからといって、別段何もかわりません、仕事が早くかたずくわけでもありません。宝くじに当たるわけでもありません。しかし「ライズ!」なのです。
釣りのビデオでもライズシーンが一番好きです。魚とやり取りしているシーンなどより、魚が鼻先を出して、流れてくる虫を食べているシーンがすきです。できればそれもダン(水性昆虫の形態)を食べている時がいいですね。パフ、パフてな感じで食べているのがいい感じです。
ライズしている魚は私の魚になります。釣りをしてなくても、所有権は私に発生してしまいます。ビデオのなかの魚でも、自分の魚になってしまいます。頭のなかで釣りが成立してしまうのです。少々頭のネジが落ちてしまっていますかね。
私の前でライズしていた魚が上流にあがっていき、同行の友人に釣り上げられたら、彼に対し「その魚は私の魚だ!」と宣言してしまいます。困ったものです。かようにライズは釣り人を喜ばせます。 
そんなこともあって、釣り仲間の間に、川に小さな石を投げて疑似ライズを演出し、それに反応したのを見て喜ぶといった、悪しき遊びが定着して困ったものです。
英国ではフライフィッシングは紳士の遊びです。このようないたずらは許さるものではありません。「ポチャ」「ライズだー」「ポチャ」「ライズだー」「ポチャ」・・・・・・懲りない面々・・・・