弁三じいちゃん 2003.12.21

友人のじいちゃんで清水弁三さん(雅号.梅香庵)さんという人がいます。大正4年生まれ、現在88才。
弁三さんが兵隊にいた20才くらいから始め、いままで農民として生きてきた人生の間に膨大な短歌や俳句を読みました。

『米余る世とは云へども皺の手に 落ち穂をひろふ 吾は百姓』

感動した友人が石に歌を刻み、弁三さんには内緒で額田は万足平の田んぼに置いていきました。 生活のなかから生まれた句が強い力をもって迫ってきます。

弁三さんの「農の短歌百首」のなかから一部を紹介します。

 自作農をめざしてたぎる青春の 熱き血もやす 吾は百姓
 麦をふむ風は吹くふく早春賦 新妻と二人 吾は百姓
 目に泪すり寄る牛を売かねて 曳いて帰りぬ 吾は百姓
 八十路坂静かに生きて茶畑に 今日も草取る 吾は百姓
 柿盗む子連れの猿よ追いはせぬ ゆっくり食えや 吾は百姓
 若き日の夢半分もかなはざり しずかに生きて  吾は百姓

息子が生まれたとき、妻がなくなったとき・・・弁三さんの人生が歌われています。

弁三さんの息子さんは今、山の中で炭焼きをしています。炭焼きの熱で、露天風呂をわかし、森を眺めながら、仕事の汗を流しています。そしてそこには毎晩、ムササビが遊びに来ています。もう夢のような空間です。私はそれにあこがれトムソーヤー計画を始めました。ちなみに友人はその人の娘です。ユニーク親子3代!いい感じです。