人類の進化と咀嚼(そしゃく)
東部アフリカで約800万年前、熱帯雨林で生活していた人類の祖先にあたるチン
パンジーは地殻の変動により西部の群と東部の群に分けられてしまいました。
 その地殻の変動は大きく、東部アフリカの赤道から南に巨大地溝帯として大きく
横たわり、両者の生活形態を大きく変えてしまいました。西部の群は主食の果物が
多い雨林の生活を、東部の群は今までの生活環境とはまるで異なるサバンナの
生活が始まりました。

草原での生活は主食の果物も少なく、草原に住む肉食獣の危険にもさらされ、行動
様式が大きく変わってしまいました。
直立歩行、この行動が人類の進化をもたらしたことはよく知られています。

 ほかにも大きな要素があります。これが食べ物の変化、雨林の中に豊富にあった
果物を主食ととする生活から草原に生い茂る草、種、木の実、昆虫、小動物などを食
べる雑食生活に変わってしまいました。ほとんど咀嚼の必要のない生活から咀嚼の
必要な生活に大きく変化した、このことが人類の祖先であるチンパンジーの脳皮質を
飛躍的に発展させ、直立歩行とあいまって人類の進化につながっていったものと考え
られます。

 チューインガム咀嚼と脳血流との相関関係が18歳から40歳までの健康な12人
のボランティアの協力により実験が行われ、次のような成果が発表されました。

チューインガム咀嚼による流血量は一次感覚運動野(ロランド領野)で最も増え、
25%〜28% ついで補足運動野(頭を回したり、腕を自由に動かす)と島(味
覚関係)で9%〜17% また小脳や線条体で8%〜11%増加した。これらの血
流増加は噛むことが広範囲な領野を活性化することを証明しています。

 活発で力強い咀嚼はたくましい脳やからだの成長に対して無視できない生成力
を与えるものと考えられます。もしも現代人が幼少時から活発で力強い咀嚼を続
けるなら、健康なたくましい高齢者になると同時により長い寿命を楽しく生きること
ができるようになるでしょう。また柔らかい食物を食べていてば、咀嚼システムの
発育不全に陥り、高齢になるにしたがって歯を失い経口的に食物が食べにくくなり、
ついには寝たきりの状態になってしまうでしょう。

こうならないためにも幼少時からしっかりした力強い雑食性の食事で十分な咀嚼を
することが重要と考えます。



チューインガムは
「お口の散歩」です


 動物は心臓の鼓動にあわせて動くことで精神的にも肉体的にも安定した状態を保つこ
とができることはガムの効果で記載しました。また動くこと、特に動きのなかで歩くことは
足の運動になり、血流を活発にさせ「第2の心臓」とまでいわれるようになっています。

 有名な哲学者、音楽家、発明家、科学者などは考えに行き詰った時、考えをまとめる
時、閃きがあったとき、アイデアが浮かんだ時など、散歩をしていて大きな飛躍の種を見
つけたと伝記やその時の状況を伝える書物の中で語っています。
これは散歩することが精神安定、気分転換の要素も大きいですが、最大の要因は脳への
血流の増加、この増加が飛躍の種を生み出す最大のプラス要因だと私は考えます。

 ガムの効能でも述べましたが、咀嚼することで脳全体への血流が10〜20%増加する
という実験結果から、散歩をすること(足を動かすことによる血流の増加)と、お口の中で
ガムを噛むこと(咀嚼することによる血流の増加)は同じような効果があると考えることが
できると思います。

 会社や、仕事の現場で、精神的な安定を求めるときはもとより、職場でのいき詰まり感
や思考するとき、閃き、アイデアを求めるときなど脳の血流を増やすために散歩をお勧め
しますが、いつでもできるとは限らないのが現代社会の環境です。
こんな時、コーヒーを飲んだり、軽く体操するのもとても効果があると思いますが、私は
もう1つ、チューインガムを噛むことをお勧めします。

 心も体も(脳も)リフレッシュさせ、次のステップに進む、仕事の合い間にチューインガム
「お口の散歩」をすることを声を大にしてお勧めいたします。

 この「お口の散歩」は平成21年よりこのHPで提案している大きなこだわりです。また
平成22年1月21日の中日新聞「文化ぶんぶん人類学」でも最後の行で提唱しています。
ガム蒐集家としての大きなテーマでもあります。



「ガム」と「チューインガム」の区別(個人的見解)

食べておなかに入るものではないものがこんなに世界中に広まるには大きな理由が
ありました。それが「ガム」と「チューインガム」の区分でわかると思います。


 私たちが今食べている「チューインガム」と呼ばれるものは、トーマス・アダムスが発明した
天然チクルを原材料とし味や香料を加えたもの、もしくは天然チクルに類する合成の原材料
(塩化ビニル系や合成ゴム系)に味や香料を加えたものを指すと考えます。
アメリカで爆発的に広まり、社会的需要の増大(戦争やスポーツ、健康など)や巧みなマーケ
テイングに支えられて全世界に広まったお菓子の一種、噛み菓子、これが「チューインガム」
であると考えますし、呼びたいと思います。

では「ガム」と呼ばれるものはなんですか?

 それは人類の歴史上、紀元前から噛むことを目的としたもの、食べ物ではなく噛むもの、噛む
ことによってその物からでるエキスを楽しむ、または活用する、さらにシンプルに噛むことだけを
目的とする物、そしてアダムス以後の噛むものすべての総称を「ガム」と呼びたいと思います。

 「ガム」はいつごろから存在したか?

 文献として歴史上に「ガム」が登場するのは旧約聖書の”モーゼA本第37.”に記述されている噛
むもの、地中海ギリシャのビオス島で現在も作られ販売されている、木の樹液から採取し加工され
た「マスティックガム」、これに類するものが「ガム」として登場しています。(同じかもしれません)

もちろん、今でも世界中に販売されています。おなかの健康によいと言われています。

また、インド、東南アジア、中国、台湾では高級嗜好品として”ビンロウ”が噛むものとして老若男女
に愛好されています。噛んでいると唾液と混ざって口が赤くなるために、西洋人が大航海時代に原
住民をみて人食い人種と間違えたという説もあります。
 また、ペナン島の名前の由来となった植物でもあり、このことから広い地域で”ビンロウ”は噛むも
の「ガム」として広まっていたことが分かります。
今でも台湾では観光地などの主要幹線道路沿いに派手な格好をした”ビンロウ娘”がビンロウを販
売しています。

 「チューインガム」が発明されたアメリカでも、これ以前に原住民が噛んでいた”えぞ松”の樹脂
を噛む”スプルースガム”、また、イギリスから移住してきたイギリス人の子供は、パラフィンワックス
を噛む風習があり、「パラフィンガム」と呼ばれていました。

 日本でも一部地域で、”松やに”を噛んだり、生の麦を噛んでグルテンの粘りを引き出した噛む
ものがありました。

アダムスが発明した”天然チクル”を加工したガム、またはそれに類する”合成ゴム、塩ビ”を基に
加工したガムを「チューインガム」と呼び、それ以前に世界中にあった噛むものを「ガム」と呼び分
ける区分、これが私の個人的な考えです。

 食品として食べる物でなく噛む物、噛んで風味楽しむものが昔から世界中に存在したことを知っ
ていただきたいのと、噛むこと、咀嚼が人類にとっていかに大切なことであり、必要とされてきたか
をご理解いただければ幸いと考え、呼び分けてみました。

咀嚼という動作が人類にとっていかに大事な運動であるか今後も継続して調べていきたいと思っ
ています。

 「チューインガム」が登場する前から、世界中で「ガム」が噛まれていました。食べたことが
ないので「ガム」の味は分かりませんが「チューインガム」がおいしく、噛み心地もすばらしく
よくなったので世界中に一気に広まった大きな原動力の一つと考えています。
(もちろん社会的な要因もあります。)