光明と所以

近づいてきたのは、近づいて行った時かも知れない。何か、ほんわかした胴体と、それに付随する幻想のような雰囲気は、空気のようなものだった。見ず知らずの、ただ、当たり前のようにあるものだった。忘れかけたその時、巻き込まれていた額は、いつになく冷静に溶け込んでいた。行くべき世界はここなのか。自分は幻想を見ているのでないか。気持ちが分裂し、自分の好きなものを錯誤しているかのような感触に見回れ、ある意味重い心地だった。手に入れたのは、当たり前の空気だった。当たり前のものを意識することによって、その存在が重くなっていった。だんだん取り巻かれて行くにしろ、憂鬱なのか偽善なのか分からなくなっていた。この微妙な気分を昔の自分が想像できたであろうか。いや、それどころか学問は頂けない。後世に引き継がれないものであるには違いない。