大石ともみ詩集


手ぬ花

<刺し子>
<キルト>
<こぎん>
小さな布にこめられた
手仕事があたたかい

ずっと昔
はじめての言葉も
遠いひとの手から生まれた

風を紡ぎ
空を染め
星を織り
手から手へ
そうして生まれた

言葉が照らす
手の行方
なにが見える
なにが聞こえる

美しい布織りあげて
手はなにも持たない
ただ 遠い風が 空が
いちりんの花のように揺れている



*手ぬ花・・・手仕事によってつくられたもの
      という意味の沖縄の言葉


詩誌 aube 16号  1997 年


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