大石ともみ詩集


裂2

<比喩でなく>*
愛とは? と問われて
裂のことを思った

布巾

はぎれ
いちまいの布

ふるい裂を
いとおしむようにこしらえた
遠い手仕事のなか
ひとを包みたい思いが
日だまりのように
咲いている

くりかえし
ひとの手が
織ったり
ほどいたり
使いこまれるほど
ひとに添う
愛という言葉の手触り

刺し子の半纏
はぎ合わせの着もの
包むことは裂くこと
わたしという裂で包むこと




*新川和江さんの詩より


AUBE 18号(1998 年)


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