楽器は いつも歌いたがっている 川面にうつる 光のあれこれ
渦巻いている 流れのなかから 音は たえまなく生まれて やわらかな曲線 ヴァイオリンは いつも音で満ちている
ひとという楽器もまた いつも歌いたがっている 年々歳々 やどる音は深くなる 美しくなると信じる
ぎこちない運弓法を ためらわないで ただ弓を弾く この空をつらぬく 見えない渦の流れにむけて 音を放つ わたしを奏でる
aube 19号(1998年)