連 詩



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八月

遠ざかる夏

おわり

秋刀魚雲

せなか

あなたと生きる

『花水木』

「花に咲いて」

「誘う」

「僕たちの」

やさしさは残るもの

-やさしさ-

炎 守

月と秋

月とキャベツ

大地の余韻

真空

「花」

「旅人と種」

庭に咲く花

花束

(無題) 

離日のひかり

箱の寝床 

秋 わずかに風が…

夜だけ見える月の人

メシアンという人が鳥の声の音楽をかいたという…

今出川の風 

あかね雲 



八月

大石ともみ

 

日傘をあげて

信号を待っていると

ポプラ並木のずっと先に

ふいに 小さく光る海があった

 

この町に

もうなんども来ているのに

こんなふうに海が見えること

今日はじめて知った

1996.8.1

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遠ざかる夏

多和田京子

mail

 

蒸し返っていた夏草も

すこし疲れ気味の八月

たゆたいつづけた日々を救ってくれた

一枚の海の絵はがき

壁にピンで留められて

すっかり日焼けしているそれを剥がすと

かたちのままの夕暮れの窓が開く

蜩の声の先

梢に細い月が寄り添って

やがて無口な夏が終わろうとしている

1996.8.20

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おわり

岩田 雅之

mail
 

 

それは あまりにも唐突に 訪れるのだった

空にさかなたちの模様を映し

夏への幻想を吹き消すのだった

登る前に 消えてしまう階段

つかの間に萎えていってしまう 季節に

わたしは なんの夢をみたのか

いじらしく数をかぞえる 子供のように

こころを巻き続けたものは

わたしのどこから生まれ どこへ旅だっていったのだろうか

1996.9.29

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秋刀魚雲

jaja

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と・と・と・と・と・と・ととととととととっ と

ととちゃんは駆ける。

邪悪さ胸に満タンにして既に3歳のかのじょは

10月の空をわしづかみにして

わし・わし・わし・わしわしわしわしわしししし と喰らうのだ。

待合室で待ちぼうけ喰らってたつもりの親たちといえば

いつのまにか戻るすべもなく

彼方へしか走らぬ汽車に乗ってしまったのを自覚する のみ。

ととちゃん おととたべながら チェシャ猫のくちになって

に に にに・に・ににににににににっと天真爛漫に嘲笑うのだ。

1996.10.13

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藤田茂孝

mail
 

なんで 君はいつも

前を向いているの?

けっしてうしろを振り返らないよね

何があっても絶対に

そもそも 人間は なぜ

前を向いているのだろう

前に 進む ためかもね

君のように

1996.10.13

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せなか

あんどう

mail
 

裸になる理由はなかったけど

裸だったら笑い合えたのに

いつのまにか背中だけが裸のままで

やがて心は裸のままで

背中をグサリとナイフで突き刺せば

きっと黒いものがこぼれるだろうけど

やがて僕等は裸のままで

そしてあいつは心のままで

1997.1.20

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あなたと生きる

夜の訪問者

 

よろこびの数だけ空は広がるでしょう。

感じて欲しいよ、あおいその手で。

あなたと生きる、あなたと生きる。

寂しくて、怖くて、心が扉閉ざして、

言葉の滑走路に雪が降り積もる。

ただ、あなたを思うだけ。

ただ、あなたの息を、私の小さな胸で感じるだけ。

   

大きな大きな木の下で、あなたとわたし、

ほお寄せ合い、静かに眠る。

1997.4.7

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『花水木』

橘栞(たちばなしおり)

mail

誰を想って、咲いているの?

こんな麗らかな日和の下で

心がはずんで、笑っているの?

   

春が来て、小鳥の声で目覚めたね

そよ風吹いたら、歌ってくれる?

微笑みかけたら、反してくれる?

   

いつか、悲しくなっても咲いててくれる?

微笑えなくても、愛してくれる?

1997.4.20

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「花に咲いて」

小川みさり

mail

花に咲いて 散った夕暮れは

この世で 一番綺麗

   

綺麗に咲いた あなたの傍で

どうか どうか 私を匂って

   

花に咲いて 散った夕暮れは

きりぎりすも 唄わない

   

どうして ひとりで 散られようか

花に咲いて

1997.5.17

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「誘う」

Jimmy

mail

花として生まれ

あなたに愛されても

わたしは

あなたを愛することができません

散って

自分の種を残すだけなのです

ありがとうの蜜を少し渡して

1997.7.26

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「僕たちの」

鉄道員

mail

僕たちは人の死から何を学ぶのか。

 その人の人生を振り返り

 その人の姿を目に浮かばせる。

 その友人の多さに驚き

 その人の足跡に涙をこぼす。

一生懸命生きなければならないこと。

明日の日と言う不安と葛藤。

それでも将来を夢見て進まなければならない。

 学ぶことの多さにあらためて驚く。

1997.10.12

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やさしさは残るもの

RYN

mail

私は君に伝えよう

いつか君が

やさしい気持ちになるように

1998.1.26

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-やさしさ-

あんどう

mail

昨日までいた人を追って

やさしさを切り売りして

天気がよくて

洗濯物を干したくなる日には

後ろ髪をひかれる気持ちだけど

夢があるから

やさしさを切り売りして

一番大切なものを

守りつづけるのです

1998.5.18

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 炎 守 

原 一郎

mail ・ homepage

火は集まっている

もはやこの地に帰るべきではない

あらゆる名前を呼び疲れた男に

明るい目覚めはやってこない

足の裏のわずかな土の確かさでさえ

深い眠りの中で文字に変わり果てて

サラサラと落ちていく

火は集まっている

男は眠ってしまった

吹き渡る風に男のこけた頬がまぶしい

1998.7.5

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 月と秋 

高村淳

 mail

命は木の葉のように静かに舞い

時間は月の歩みのように拙い

霞んだ月の光が窓にこぼれ

人は夜を見上げる

僕らみんな

アスファルトに瞬く信号の色に

ただ眠れない夜を感じれば良いと

人がいることの寂しさを知れば良いと

1998.9.25

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 月とキャベツ 

エラ&ルイ

 mail

燃えるものは全て燃え尽きていった夏

     (秋はどこへ行ったのか)

しなびたキャベツの芽

しおれてゆくレタスの苗

しぼんでゆく私のサイフ

冬は唐突にやってきた

流星群だけがキラリと光り

木枯らしに揺れる柿子の向こうで

月は白白と凍えている

1998.11.24

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 月 

キラー

 mail

冬の寒さは始まりなのか

氷の冷たさは赤く

凍える手は遠く雪になる

白い炎の月は震え出し

子供は又帰りの足跡を残す

1998.12.15

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大地の余韻

原 静鳴

 mail ・ homepage

ほのかな足跡の上

立ちのぼる炎 亡霊が

恋しい 街の土に口づける

言葉は震災の夜に散逸した

幾万の声が交錯し

その信号は壁を埋めた

行き来する思い出を

高く遥かに送り出す誓いの灯

青でもなく赤でもなく

ズンと響く色をして

(震災で亡くなった方々のご冥福をお祈りします)

1999. 1.17

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真空

キラー

  mail

寒風 と アパート収容所の 真空ほのかな足跡の上

霊の所なき コンクリート や アスファルト

しかし

その亀裂にこそ出ずる 新しき勇者の芽

新しき空白に咲く華が 今 真空に 響き渡ろうとしている

1999. 2. 9

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「花」

あんどう

  mail

大好きだったあなたに花を

夢にまで見た夢なのに

声にならない声さえも

飲み込んでいってしまうのね

時だけはつらつらと過ぎていくけど

いったい私は成長しるのかしら

遠くにいったあなたには

だいぶ差をつけられたけれど

とてもあなたに会いたい気分

1999. 6. 18

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「旅人と種」

重久和宏

  mailhomepage

旅人は皆 胸にちいさな種をたくさんしまっている

同じ旅人に出会うと彼らはその種を互いに交換する

出会いのしるしとして

そして いつか彼らが力尽き土にかえり

また 次の花が咲く

1999. 12. 5

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庭に咲く花

秋野 りんどう

  mail

旅から帰るといつも

一粒の種を握っている

わたしの庭の土を ざっくりと耕し

肥料をやり 幾日か待って

その種を蒔く

水をやり 陽の光をともに浴びる

  やがて咲く庭の花

  そうして咲いた幾千本もの花を胸に

また旅に出る

2000. 1. 7

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花束

Jimmy

  mail

一つを選んであなたを思う

また 一つを選んであなたを思う

昨日のあなたと

明日のあなたと

花を束ねて

あなたの所へ参ります

「ありがとうございました」

短い言葉を

胸に秘めて参ります

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2000. 7. 15


 

(無題)

hermant pictures

  mailhomepage

やがて、美しき花も散ってしまう

ならば、次の種をまき、太陽と水を与えよう

再び、その美しい横顔を手に入れよう

あるいは、鯨となって海の底から叫びをあげる

希望はどこにでもあるはずだ!

しかし、ほとんど見つけられず、それでも必死に涙をこらえる

愛を手に入れるには、望みのものを手に入れ、

「人生は素晴らしい!」と叫ぶには、

山ほどの悲しみと苦しみを乗り越えなくてはならないのです

そして、唯一その栄光と勝利がこの世界に強き光をもたらすと知るのです

2000. 8. 15

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離日のひかり

たぐさと

  mail

朝、青の朝、窓から挿し込む四角い光 星が出来た塵で

小旅行に出ると言い白いブラウスを鞄に詰める深い奥底に

充たすか充たされるか君と僕とのその連関は漸く終わり

青の朝は白く君の頬をとても白くモノクロの様に映えさせ

いつもの眩暈がついに重く鈍く本格的に僕を困らせる

ねえ、いつ帰って来るのさ

そんな時でさえ僕らの部屋に音楽は優しく響いていた 朝、離日の朝

2000. 10. 11

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箱の寝床 

みさり

  mailhomepage

この部屋でキミは僕に

小さな酸い飴を呉れとねだった

布団の中で手と手が触れるのをねだった

青細長いはっかタバコをねだった

髪を洗って呉れとねだった

クスリをねだった

そやさしさをねだった

何も聴こえないと思っていた部屋に

夜明 遥かから踏切のカランカランと言う足踏が響いていた

2001. 5. 22

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秋 わずかに風が…

木村順一

  mail

夕暮れの音が遠ざかっていく

私はホームに降り立った。

改札から外に出ると、わずかに風が吹いた…

そういえば

蝶の標本からいつの間にか蝶がいなくなっていた…止めたはずのピンだけを残して…

ここで別れたあの人は

私の視界からいなくなって、もう何年たったかしら

ピンの先に残る光は、痛さだけを残して、私の心に突き刺さっている。

踏切の音が小さい…わずかに風が吹いている。

2003. 10. 31

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夜だけ見える月の人

Yuu1555@aol.com

  

遠い昔のことだった

あんなに繰り返していた夢は

最近はもうみなくなった

暗く沈む果てしない闇に

届くはずのない光が見えたから

あなたはそれほど強い太陽で

あの人は

夜だけ見えた月の人

2004. 1. 19

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メシアンという人が鳥の声の音楽をかいたという…

木村順一

mail  

突然の川風に あなたの髪が乱れて あなたの声は

空高く風の流れにさらわれて

鳥の声が ちち…と 青い珪石のように届くのです

スカートが風をはらみ あなたの輪郭が ところどころ消えていく

僕は手を伸ばして 側にいたはずのあなたのぬくもりに届こうとするのです

あ あれ…なんという鳥?

水際に緩やかに弧を描いた鳥は、もはや空のどこかの黒い点でさえもなくなり

ちちち…と 硬質の音だけの鳥となって、光の中に響き渡るのです

2004. 7. 21

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今出川の風 

佐渡野寸虫

mail  

四半世紀より前の あの通りの 秋風に かさと鳴き こそと泣いた

プラタナスの枯れ葉よ

すまし顔してゆく時の 連れ来る春を 年輪に刻んでいる 木々よ

あの人は あの紺のリボンを着けて 今もあの街に 在るのか

                                                                             

2006. 1. 14

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あかね雲 

木村順一

mail  

川辺に佇んで

水面に小石を投げあてると

丸い影は音符になって並ぶのです。

水をけって 光の中に飛翔するのです。

そう!僕の投げた礫は 冷たい石ではない!

やがて  光が水底に沈むころ…

あのホルン協奏曲は

あかね雲の向こうへ あなたに向かって

いつまでも響き渡るのです。

                                                                             

2006. 2. 7

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