透明
天狗


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映画 透明天狗


公開:大映 1960/03/01
監督:弘津三男
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都

内容:中村豊、近藤美恵子、真城千都世、島田竜三。
 どうやら「透明剣士」とは内容も作品のカラーも違うようで、こちらは無実の罪で命を絶った勘定奉行の息子による復讐と、それをかばい真相を追求する浪人の物語。ホラー色が強いとのこと。透明人間誕生の仕掛けは南蛮の秘薬です。ちなみに「透明剣士」の方は少年少女向けの明るい活劇で、怪盗団に夜警の父を殺された泣き虫の少年が、妖怪しょうけらに教わった秘薬によって透明になり、父の敵を討つ、というもの。
南澤大介さん 1998/09/11


オープニング(以下、便宜上つけたタイトルです)

大映マーク
 昔の大映は「映」の文字をあしらったマークだったのね。この音楽は'60年代アニメなんかでよく聴かれるパターンです。

イントロ
 「だん!だん!」ティンパニの4度は「機動戦士ガンダム」のアイキャッチなどでおなじみ。うっすらと鳴るストリングスの不協和音に、「ずらったっ!」と間欠スネアが忍び寄る。さらにピアノの不協和音が加わるなど、この時点でおなじみの役者が揃っている。

メインタイトル
 暗いブラスが中心の、いかにもな怪獣・怪奇映画音楽。サックスの音色が妖しくも艶めかしい。最後の盛り上げは4度ずつ高い音を積み重ねていく。これは「交響詩ガンダム」のラストや「宇宙の騎士テッカマン」でも使われるパターン。


お白州

 無実の罪で切腹を申しつけられる奉行。「無実だ」「恨みをはらしてやる」などと叫びながら切腹する。音楽は静かに始まって少しずつ盛り上がる。芝居のジャマをせず、気が付くと鳴っている。素晴らしい音楽だ。


新八郎

 漫才コンビの「いとし・こいし」が画面を賑わして、ギャグと怪談が交錯する娯楽サービス場面もある。演出の動きに合わせて数秒ごとにメジャー・マイナー自由自在。主人公・新八郎が登場すると、ゆったりした弦のテーマが続く。


お仙

 ヒロインの音楽は弦で演奏。場面によって明るく、悲しく、重く奏でられる。


天狗の暗躍

 映画前半では透明天狗は完全に透明なので、画面に映るのは襲われる者だけです。音楽は怪奇な盛り上がりに終止する。太鼓(ティンパニ?)を「どんどん」鳴らして盛り上げるパターンも多用されている。


その他特徴

 詳細が判明している中では最も古い映画。大多数の劇伴音楽は、恐怖映画としてかなりオーソドックスなものに感じられる。ラストは叙情的ナベタケ節で締めている。


VHS HTH-1518「透明天狗」




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