若親分
シリーズ


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映画 若親分を消せ


公開:大映 1967/02/11
監督:中西忠三
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都

内容:元海軍少尉・南条武(市川雷蔵)は南条組の二代目だ。若親分の出所を出迎えた弥五郎が、何者かに殺される。下手人はやくざの鎧組の者らしい。若親分は板前に身を隠し、鎧組の様子を探る。仇討ちのついでに人助けもするのだ。雷蔵の軍服姿は、男もシビれるカッコ良さである。他に富士真奈美、柴田美保子。


大映マーク DB1
KICA-3030~1

 さすが若親分!明るくって威勢がいいぜ。メジャーコードで始まって、チョイと気分が良いコード進行は「C|Em|Dm、G|Amadd9」てな感じだぜ。正確さにはチョイと自信が無いが、この際かまやぁしねぇってコトよ。てやんでぃ、べらぼうめぃ。(若親分はこんな言い回しはしませんので念のため)
 AマイナーにトランペットのB音(9th)がのるのは、その頃の渡辺映画音楽でよくアリのパターンです。邦画黄金時代のズンドコしたオーケストラが、ぶぁんぶぁん鳴っております。


残されたドス鞘 DB3
KICA-3030~1

 殺人現場のテンポの早い短い曲。チョイと長めのブリッジ風だぜ。この後、殺された弥五郎を弔ってメインタイトルに突入する。


主題歌
歌:橋幸夫

 タイトルとOPクレジットで演奏される。作詞作曲どころか、タイトルさえ不明という情けない状態です。雷蔵が最後の切り込みの準備をする場面でも主題歌が流れる。任侠映画の常道だ。ラストシーンも主題歌だが、アレンジが異なる。「う〜う〜」合唱が加わることやエンディングにつなげる点から判断して、ここは渡辺岳夫の編曲と思われる。


若親分を追え DB30
KICA-3030~1

 鎧組の面々が若親分を捜して走り回る場面の音楽。「ウルトラQ」でおなじみ「ACBCACBC♪」のビートにのってスリリングな展開。後半はTVアニメ「天才バカボン」('71年)などでも聞かれた「CCE♭CFCG♭F♪」のビートである。妖しくせまるストリングスは、TV時代劇「われら九人の戦鬼」(前'66年)の雰囲気だ。
 「いろいろ混じってるみたいだけど、いいんですかい?若親分!」「いいってことよ。まかせとけい!」(注:映画本編とは無関係なノリです)


その他の音楽

 CD KICA-3030~1「市川雷蔵コレクション」では、DB3とDB30というずいぶんニギヤカな音楽を収録している。これはこれで本作品の劇伴群を代表している(実際ブラスばんばん迫力系の音楽は多い)。しかし、映画を観れば他にも味のある音楽がたくさん聴けるのだ。

メインタイトルの直後、水上の駅に着いた若親分。のっけからトランペットソロに、哀愁の「う〜う〜」の男声合唱。イキナリ盛り上がった叙情であるが、映画中盤では抑えている。そしてラストシーンで再び盛り上がるのだ。

海軍兵学校の生徒で語らう若親分。ここでのトランペットソロはサワヤカなのだ。続いて軍歌風の歌が歌われるが、このメロディーは映画「海兵四号生徒」('71年)で重要な音楽要素になっている。

海兵生徒を鎧組から救出し、ついでに説教タレる雷蔵。やはりサワヤカトランペット。生徒が去った後はヒロイン登場〜しみじみ聴かせるヴァイオリンの調べ。

ラストの大立ち回りでは音楽が無いのは、渡辺音楽担当映画の常套的手法。今回はヒロインが人質になって「刀を捨てろ」と言われるので、そこから音楽が鳴って緊張する。そして悪の親玉をやっつけるまで、ド迫力の連続サスペンスだ。




映画 若親分千両肌


公開:大映 1967/12/30
監督:池広一夫
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都

内容:海軍の秘密兵器工場をめぐって建設系やくざ団体が対立する。巻き込まれた若親分(市川雷蔵)は、弱きを助けて売国奴を断つ。任侠道へのアンチテーゼも盛り込んで、池広演出は骨太に魅せる。奇術一座の親方(長門勇)が、雷蔵そこのけの大活躍を見せる。他に藤巻潤、藤村志保、久保菜穂子。


大映マーク DB1
KICA-3030~1

 威風堂々たる出だしメロは「柔」('64年、作詞:関沢新一、作曲:古賀政男、編曲:佐伯亮、歌:美空ひばり)の「勝つと思うな・・♪」から、正々堂々とイタダいている雰囲気があります。やっぱりイナセな若親分にはメジャーコードが似合うぜ!。と言っても一筋縄ではいかねぇ「C|B♭|D|E」がナベタケ節の花道ってもんでぃ。メジャーなのに、どうして泣けるんでぃ!ちっきしょうめぇ。
 それは「C→B♭→D」という展開がモダンで劇的なのと、「D→E→」に続いてAmという浪花節を期待させるからだと思います。きしょーめ!ナニ冷静に分析してやがるんでぃ、べらぼうめぇ!。


主題歌
歌:藤巻潤

 短いメインタイトル(これは渡辺岳夫の作品と思われる)から引き続き、間をおかないでOPクレジットで演奏される。作詞作曲者名とタイトルも不明です。
 ラストシーンにも歌が流れるが、これは別物である。やはり藤巻とおぼしき声でワンコーラス歌って、その後は女声合唱で主人公・南条武の名前を連呼する。


殴り込み DB9
KICA-3030~1

 「ざんざんざんざん」激しく刻むリズムにのって・・。いや、トラックに大勢乗り込んで、敵対やくざの工事現場に殴り込みである。エレキギターの隠し味が効いている。


その他の音楽

映画「残侠の杯」(同'67年)と共通テーマが随所に顔を出している。

海軍施設ではトランペットの号音が鳴る。このメロディーは映画「海兵四号生徒」('71年)でも聞かれる。

海軍秘密兵器の登場を堂々たるファンファーレで飾る。巨大ロボが出現してもおかしくないほどの音楽だが、秘密兵器といっても単なる魚雷である。

CD KICA-3030~1「市川雷蔵コレクション」では収録音楽が少ないが、映画を通して鑑賞すると「消せ」と「千両肌」では傾向が異なっていることがわかる。全体的に「千両肌」のほうが豪華で、後半の展開を大いに盛り上げるのだ。




若親分シリーズ


タイトル公開監督音楽製作出演
若親分大映 1965/03/13池広一夫小杉太一郎大映京都市川雷蔵、朝丘雪路、三波春夫
若親分出獄大映 1965/08/14池広一夫鏑木創大映京都市川雷蔵、朝丘雪路、山田吾一
若親分喧嘩状大映 1966/01/01池広一夫斎藤一郎大映京都市川雷蔵、高田美和、江波杏子
若親分乗り込む大映 1966/05/03井上昭小杉太一郎大映京都市川雷蔵、本郷功次郎、藤村志保
若親分あばれ飛車大映 1966/09/03田中重雄北村和夫大映東京市川雷蔵、瑳峨三智子、藤巻潤
若親分を消せ大映 1967/02/11中西忠三渡辺岳夫大映京都市川雷蔵、藤村志保、小暮実千代
若親分兇状旅大映 1967/08/12森一生鏑木創大映京都市川雷蔵、江波杏子、都はるみ
若親分千両肌大映 1967/12/30池広一夫渡辺岳夫大映京都市川雷蔵、藤村志保、久保菜穂子
二代目若親分大映 1969/11/01安田公義小杉太一郎大映京都松方弘樹、西村晃、細川俊之



CD KICA-3030~1「サウンドトラック・ルネッサンスシリーズ/市川雷蔵コレクション」
 雷蔵主演作をあれこれ収録したアルバム。「若親分シリーズ」から渡辺岳夫音楽担当分として上記5曲とシリーズの他作品を収録。「ひとり狼」から8曲を収録している。他に伊福部昭、小杉太一郎、塚原哲夫、斉藤一郎、鏑木創、高橋半、林光、芥川也寸志、大森盛太郎らの音楽を収録している。


VTR HTH-1334「若親分」
VTR HTH-1335「若親分出獄」
VTR HTH-1336「若親分喧嘩状」
VTR HTH-1337「若親分乗り込む」
VTR HTH-1338「若親分あばれ飛車」
VTR HTH-1339「若親分を消せ」
VTR HTH-1340「若親分兇状旅」
VTR HTH-1341「若親分千両肌」




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