放映:CX 1969/12/07〜1971/11/28(全104話)
監督:岡部英二
音楽:渡辺岳夫
原作:浦野千賀子
製作:東京ムービー内容:鮎原こずえ(小鳩くるみ)がバレーボールで活躍する、少女スポ根の草分け。「空中回転レシーブ」「木の葉落とし」「三位一体攻撃」など有名ワザが次々登場。
アタックNo.1 OP作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山茂
歌:大杉久美子
TC-1144,SCS-102,CW-7118,AS-117,ARM-5004,TOCT-9360,CC-4431~2,COCC-12840~1,COCC-70052,CHS-31187~96,GES-30526~35,TOCT-8515,COCC-11595,K26X7118~9,KIVE-39,CDSOL-1323,COCX-36193~6,COCX-33275テレビサイズは1コーラス。TOCT-9360ではテレビサイズのふたつのバージョンを聴ける。いずれも大杉久美子の歌だが、バージョンによって歌唱と感情移入が全然違う。レコードバージョンは2コーラスで、後奏がある。この歌のキーはB♭だが、インストアレンジの劇伴は主に半音低いキーで演奏している。
バン・ボ・ボン ED作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山茂
歌:伊集加代子
BX-71,SCS-102,TOCT-9360,CC-4431~2,COCC-12840~1,COCC-70052,CHS-31187~96,GES-30526~35,TOCT-8515,CDSOL-1323テレビサイズは1コーラス。レコードバージョンは3コーラス。
アタックNo.1の歌 NO? IN?作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山茂
歌:小鳩くるみ
BX-71,TOCT-9360,CDSOL-1323,TECD-20546OP主題歌と同じ曲である。小鳩くるみの歌は本編第2話で使用された(ように聞こえた)が、これはAマイナーでの演奏だった。レコード版はB♭マイナーである。編曲や演奏がどのようになされたのだろうか。EP BX-71のB面は普通ヴァージョンとのこと。
鮎原こずえのハミングハミング:小鳩くるみ
TOCT-9360,CDSOL-1323もともとは、こずえが山で知り合った大学生・湯浅が口笛で吹いたメロディーだ。本編では同メロディーの劇伴音楽が聴かれる。
「アタックNo.1」の劇伴を収録したサントラの存在は未確認ですが、再放送などでその音楽に触れる機会はあります。ここではTV・ビデオで鑑賞して、劇伴音楽をレポートしています。
パターン音楽サブタイトル
飛雄馬が投球なら、こずえはアタックです。前半の不思議なサウンドはオルガンにディレイをかけたのでしょうか。ティンパニがそ〜っと「とん、とん、とん♪」と盛り上げます。スパイク場面はストリングスのテーマ(歌メロ出だし「苦しくったって♪」後半のコードを変えて「ECD〜♪」のメロで終わる)です。予告編音楽
エレキメロによる「アタックNo.1」のテーマアレンジになっている。ここではAマイナーで演奏。毎回おなじみの「さあ、来週のアタックNo.1をお楽しみに!」というキメゼリフで、ティンパニが「どどどど」と盛り上げる。
テーマアレンジアタックNo.1
Aマイナーで演奏するときに、「悲しくったって♪」の「て♪」のコードはFでしょう。これをDm7にする譜例を見かけたが、それでは演歌になっちゃいます。劇伴音楽では、さらにオシャレにB♭かGm7に聞こえる曲もあります。バン・ボ・ボン
クラリネット、グロッケン的なシンセ音?、アコーディオン、エレキギターが順番にテーマを演奏するヴァージョンなどがあります。
歌がGメジャーなためか?。インスト劇伴もGメジャーになっていると、他の劇伴音楽とのつながりが悪いようだ。特にフェードイン・フェードアウトで他の曲につなぐ時が汚い。
序盤劇伴イントロダクション
何気ないヒトコマですが、メロをたどってびっくりしました。「EDC↓GEDCB↑D#↑F#↑BA〜♪」いきなりBメジャーが登場してます。ドラマの予感
マリンバとフルートがからんで、ドラマの始まりを予感させます。マリンバのフレーズは好センス。最後の「D↑AG〜♪」はフルートではなくオカリナでしょうか。
マイナー劇伴
アタック劇伴の特徴は、鮮やかな赤色を思わせる生弦の響き。そしてマイナー音楽中で、これまた鮮やかなメジャーコードです。これらの音楽群が番組イメージを決定的に印象づけていたと思います。特訓〜苦戦
ベースの三連音「ABACAA♪」にのって、悲壮感ただようストリングス。グィロが隠し味になっています。クラリネットの効果も無視できない。苦戦試合での頻繁な使用がしつこいほどです。サスペンス
前項と同様のリズムパターンで「ACEF〜ACFECAD〜♪」とエレキが演奏。オルガンがテーマを引き継いで緊迫感を盛り上げます。不安〜緊張
AmとB♭を交互2拍ずつに繰り返すパターンだが、エレピかバイブ系の音色にエコーがかかって不安な感じ。途中からストリングスが加わって、緊張感のある「A(Am)G#(B♭)|C(Am)B(B♭)」を繰り返し、さらに不安感をあおります。カッコ内がコードね。決然とI
「ちゃん、ちゃん、ちゃちゃっちゃ♪」のリズムで「Am,B♭,C,B♭」→ストリングスによる歌メロ変奏→さらに別のテーマへ。後半のテーマは決然としており、特訓場面に似合います。悲惨
前項のストリングス歌メロ変奏で、パーカッシブで不協和なピアノの二分音符を鳴らす曲。これはメチャクチャに悲壮です。決然とII
やはりストリングスによる二拍子的な曲。決然とした展開がカッコ良い。同じ曲をアコーディオンがやや早いテンポで演奏するヴァージョンもあり、タンゴになっているようです。
悲しみ●これもストリングスで「ABA、ABA、ABACBAGF・・♪」という、悲しいメロディー。同じテーマをクラリネットで演奏する曲もある。
●前項の曲と同じ流れで、「ABC、ABC、ABCEDF〜♪」という、さらに悲しいメロディー。これに続く展開も悲壮なクネりと音程跳躍がある。
悲劇バイオリンとフルートによる悲劇的なE音がのびる。こぼれ落ちる涙にように旋律は下ります。最初の音は誰の耳にも哀しみの音にしか聞こえません。絶対音感など無関係です。
ファンファーレとマーチ●トランペットのソロが朗々と奏でる曲。試合開始場面への導入に多用された。
●力強いマーチだが、しかし決して重たくない。「E〜〜F、EDCD|E〜G〜、↑C〜B〜|A〜BC、D〜・・♪」フルートの軽やかな足どりだ。
●こずえの率いる富士見学園とソ連ジュニアチームの試合では、凝った長いファンファーレが聴かれます。
ブリッジ●サブタイトルの後半は、ブリッジとして本編のキメ場面にも頻出し、ドラマを大いに盛り上げます。同じパターンでリズムを変えて最後はA音で終わるブリッジも熱血します。
●その他のブリッジはシンバル系の「ばし〜ん」というSE的なサウンドが多かったようです。ジャンプやアタックのSEとよく合っています。ピアノ低音のクラスター「ごぉ〜ん」もあります。
本編エンディング●希望と決意のエンディングである。「A〜〜〜、B〜C〜|D〜B〜、G〜FG|A〜〜♪」コードの流れは「Am|G|A」で、これはOP主題歌の後奏エンディングと共通している。いかにも「終わり」という感じ。
●ドラマがどんな状態でも、この曲でとにかく盛り上がってしまう。「E〜〜〜、↑A〜↑E〜|D↓A〜↑D、C〜・・♪」最後の進行は「Am|E」となっており、「つづく」感じです。
その他特徴この他にもストリングスによる曲が多く、なべたけ的なクネりを伴う旋律も多数あります。また、リズムやコードのパターンをそのままに、メロディーや曲調に変化をつけた曲が多いようです。OPとED主題歌をそのまんまという曲は少なめで、何かしら変化をつけています。
「アタックNo.1」の劇伴ではストリングスの人数が少ないためか、ヴァイオリンのきしむようなサウンドが特徴的です。対照的に、明るい曲ではエレキギターが使用されています。こずえが中学女子全日本ベスト12に選ばれて強化合宿に参加するあたりから、新劇伴音楽が続々登場。その旋律は複雑さを増す一方で、とてもこれ以上はレポートしきれません。米国大都会の音楽や、謎の不良バイク族・マイティシックスのための音楽もあります。
EP A-452「アタックNo.1のうた/ムーミンのうた」(廃盤)
EP BX-71「アタックNo.1(小鳩くるみ)/バン・ボ・ボン(伊集加代子)」(廃盤)
EP TC-1144「アタックNo.1/バン・ボ・ボン」(廃盤)
EP SCS-102「アタックNo.1/バン・ボ・ボン」(廃盤)
EP ARM-5004「アタックNo.1/ダブルアタックのひみつ(ドラマ)」魔法のマコちゃんと混載(廃盤)
LP CW-7118「大杉久美子 テレビアニメーションの世界」(廃盤)
FS AS-117「ダブルアタックのひみつ(ドラマ)」魔法のマコちゃんと混載(廃盤)
SS P-67「アタックNo.1のうた/バン・ボ・ボン/特訓!空中回転レシーブ(ドラマ)」(廃盤)
CD TOCT-9360「なつかしのミュージッククリップ 5」
歌モノはよく網羅してあるものの「巨人の星」とのカップリングの関係からか、劇伴が収録されていない。
CD CC-4431~2「渡辺岳夫 テレビ映画・アニメ主題歌作品集」(廃盤)
CD COCC-12840~1「渡辺岳夫 テレビ映画・テレビアニメ主題歌作品集」
CC CHS-31187~96,CD GES-30526~35「アニメ主題歌メモリアル」(10枚組)
CD COCC-70052「テレビアニメスーパーヒストリー 4 紅三四郎からキックの鬼」
CD TOCT-8515「懐かしのアニメソング大全 3」
CD COCC-11595「ぼくたちの情熱 心(ハート)に響くアニメソング」
CD K26X7118~9「オリジナル音源による 懐かしのTVアニメ・グラフィティ」
CD TECD-20546「テレビ探検隊シリーズ 2 70'sTVテーマ・コレクション」
CD CDSOL-1323「アタックNo.1 オリジナル・サウンドトラック」
TV放送から40年を経て奇跡的に発見されたテープをもとに構成したサウンドトラックCD。サブタイトルや予告編曲を含む全32トラックの劇音楽ととともに主題歌の各バージョンもしっかり収録。
CD COCX-36193~6 大杉久美子40周年記念「燦のとき やさしさの歌」
渡辺岳夫作品では「アタックNo.1 」をはじめ「ハイジ」4曲、「ミームいろいろ夢の旅/ちいさいかわのうた」、「森の陽気な小人たちベルフィーとリルビット」2曲、「フランダースの犬」6曲、「ラスカル」8曲、「ペリーヌ」5曲、そして映画「テンプルちゃんの小公女」からすべて初CD化の5曲を収録。全体では106曲で初CD化が20曲という豪華版。
CD COCX-33275「大杉久美子 スーパー・ベスト」
VTR KIVE-39「渡辺岳夫の世界」
公開:東宝 1970/03/21
監督:岡部英二
音楽:渡辺岳夫
製作:東京ムービー内容:富士見学園に転校してきた鮎原こずえが、諸事情により劣等生グループをひきいてバレー部正規軍と対決する。それを見守る本郷先生(仲村秀生)と一ノ瀬努(森功至)。一ノ瀬君は生徒会の副会長で、こずえとは親戚です。早川みどり(坂井すみえ)は中盤から登場。昔の劇場アニメは、しっかりと横に長い画面サイズなのだ。・・と思ったら、TV放映したものを上下にカットしたのだそうです。
OP主題歌はフルサイズで演奏されますが、おなじみのセリフはありません。また、EDの歌はありません。ゴーゴーを踊るラジオの音楽がなかなか凝っています。フルートに思いっきりエフェクトがかかっています。
公開:東宝 1970/08/01
監督:岡部英二
音楽:渡辺岳夫
製作:東京ムービー内容:富士見学園は諸事情により他校と合併した。合併相手校バレー部の四天王に完敗したこずえとみどりは、富士見大学(女子大?)バレー部の合宿に参加してパワーアップする。合併相手校とはバレー勝負で決着をつけるが、その後も陰湿な闘争が続く。後半は全国大会の模様を描いている。
必殺サーブ「木の葉落とし」のヒントをつかむ場面は、スゴイ音楽効果です。表彰式の音楽はめずらしいブラスアンサンブルです。
公開:東宝 1970/12/19
監督:大隅正秋
音楽:渡辺岳夫
製作:東京ムービー内容:こずえとみどりは世界ジュニア選手権の代表メンバーに選ばれる。ヒゲとグラサンの猪野熊監督(村瀬正彦)の猛特訓に耐え、米国と韓国を破り、決勝でソ連と対戦する。若い人のために一応説明しておくが、ソ連(ソヴィエト連邦)とは架空の国ではない。当時は本当に実在した超大国で、世界覇権を米国と激しく争った後、諸事情により解散した。
TV版サブタイトル音楽をバックに、東宝マークがまぶしいオープニングである。
公開:東宝 1971/03/17
監督:黒川文男
音楽:渡辺岳夫
製作:東京ムービー内容:こずえとみどり(本作では増山江威子が熱演)は富士見高校に進学。一ノ瀬努は諸事情により家業を手伝い、野菜の直販に青春をかける。本作では特訓と試合の繰り返しではない、実にドラマチックなストーリーが展開する。オープニングでは本当に不死鳥が舞う。
前3作では聴かれなかった新劇伴が続々登場。従来曲も使用されるので、サウンドの充実ぶりは見事。ウルトラQのリズムにのった曲までくりだす。ラストシーンでは、OP主題歌のインストアレンジがAmのキーで演奏される。この演奏はOP主題歌(B♭)のアレンジにかなり似ている。演奏家は半音異なる2つのキーで演奏したのか。
熱血でひんしゅく「アタックNo.1」がフランスで大ヒットして、子供がスポーツで熱血しまくったものだから、親達が日本に抗議してきたそうな。日本とフランスには、何か音楽的な共通点があるのでしょうか。ドビュッシーは浮世絵を見て楽想を得たなどと聞きます。また、フランスの交響曲の三楽章形式は、日本音楽の序破急と通じるところはないのでしょうか。・・考えすぎかな。
マイナー? メジャー?OP主題歌のテレビサイズには後奏がなく、タイトルそのままの歌詞「アタック、アタックNo.1♪」と歌って終わります。このときの合唱は、なんとなくもの悲しく悲壮に歌っているものだからマイナーコードにきこえてしまいました。昔のTVスピーカはボロかったし、当時はビデオデッキがなくて繰り返し聴くこともできなかったので「マイナーだ」「メジャーだ」などと兄弟喧嘩したものです。
実際この歌はマイナーのくせに、TVサイズのエンディングはメジャーコードで終わっています。レコード版フルサイズの後奏には合唱がないので悲壮感はなく、しっかり明るく終わってます。
松山祐士とIメジャー松山祐士が渡辺岳夫と初めてコンビを組んだ作品は「黒い編笠」('68年)とのことです。それ以前の渡辺マイナー作品で、Iメジャーが「ぶぁ〜ん」と鳴っている曲は今のところ未確認です。(「新選組血風録」('65年)の劇伴に類例はあり)そして'69年の「アタックNo.1」でIメジャーが現れて、このコードは以後のナベタケ節に欠かせない要素になりました。
「アタックNo.1」のTVサイズを編曲したのは渡辺岳夫かもしれません。これは聞いた感じでの推測です。最後の和音などがメジャーかマイナーかわかりにくいからです。例えばストリングスアレンジには、第一転回形(ルート音がトップにくる)の時に内声に3rdをいれない原則があって、古い年代の渡辺編曲はその原則を守る傾向があるように思います。
以上のような流れから、「アタックNo.1」以後のナベタケ節には、特に和声面では松山祐士のセンスも生きているのではないか・・と考えています。
長期放送番組における劇伴の発展TV番組の放送が長期間に及ぶと、劇伴の追加録音が行われます。「アタックNo.1」の劇伴録音に関する文献は手元にありませんが、同時期の「巨人の星」と同様に初回と二回目以降の録音には、間があったと思われます。
「アタックNo.1」では、コードやリズムのパターンをそのままにして、メロディーを変えた曲のヴァリエーションが目立ちます。後期の追加録音で、メロディーにクネりと音程跳躍がでてきたのではないでしょうか。以下推論です。1.いちいち編曲するのが面倒だったので、メロディーだけ変えた。
2.初期録音の後で、クネったメロディーを思いついた。
3.最初は単純なメロディーで、視聴者にコードとリズムを叩き込む。しかる後に複雑なメロディーを無理なく聴かせて、アタック世界に引き込む計画だった。恐ろしや。これに対して、テーマ優先の劇伴というものもあります。すなわち「誰々のテーマ」などを固定して、編曲を変える手法もポピュラーです。
放映:TV朝日 2005/04/14〜2005/06/23(全11話)
音楽:super soniQ inc.
原作:浦野千賀子
内容:上戸彩。
アタックNo.1 2005 OP作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:高見沢俊彦
歌:福田沙紀