海兵
四号生徒


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映画 海兵四号生徒


公開:大映 1971/10/30
監督:黒田義之
音楽:渡辺岳夫
原作:豊田穣
製作:大映東京

内容:渡辺篤史、高橋長英、佐々木剛。四号生徒とは兵学校の一年生である。一号(四年生)による猛烈シゴキに耐えて、海軍士官を目指す海軍兵学校第68期生。テンポの良い演出のリズムに圧倒される。昭和46年度芸術祭参加作品。


オープニングシークエンス

大映マーク
 号令ラッパを思わせるトランペットのソロ〜オーケストラと男声合唱が加わって「B♭→C」で締める。「交響詩ガンダム」('80年)でも聴かれる展開だ。

イントロダクション
 大映マークのCから、間をおかずにGメジャー一発。ラッパのソロでGBD音ばかりでナレーションを護衛する。次いで「いかにも」な戦前の軽快音楽で、当時の世相をナレーションする。そのその後再び「大映マーク」の動機になって、場面は兵学校に移る。

メインタイトル
 「大映マーク」と動機で始まる。テーマはトランペットで、B♭メジャーの軽快なマーチ曲。スネアドラムの裏打ちが足取り軽い♪。中盤から「る〜る〜♪」という男声合唱が加わって、暖かくも雄々しい音楽だ。

教習場面
 メインタイトル直後の学校内の号音(ラッパ)放送はやはりGメジャー一発だ。一号によるアカペラ号音解説も、最初はしっかりGメジャー。教習場面の前後にはラッパ音が挿入されている、演出にリズムを与える。


劇伴音楽
 本作品では、セリフのテンポも含めて音声面の演出設計が緻密になされている。ストーリーの都合から軍歌関係とそのアレンジが多いのだが、ここでは劇伴的な音楽をまとめた。

テーマアレンジ
 厳しい訓練の合間に休憩。のどかなクラリネットだが、メインタイトルとは調が異なる。  矢沢の退校場面ではトランペットで見送る。いちいち異なる調なので、演奏する楽器の都合を優先していると思われる。

サブテーマ?
 「る〜る〜♪」の男声合唱。他の映画で聴くこともあるので既成曲らしいのだが、詳細不明。歌詞付きで歌う事もある。このメロディーは映画後半でメインテーマにとって代わる。重要主題である。

修正劇伴
 拍子木の連打で緊張感が高まる。→お約束の修正(ビンタではなく鉄拳だ!)が行われる。鉄拳場面は低音でC音とG音(3rdが無い)の連打だ。
 殴られ方の上手な森田(渡辺篤史)は、「模範」を見せるために余計に殴られる。ド迫力のG音〜シンセストリングスのCM7がやるせない。殴られる態度が良いと誉められつつ連打をくらう。

溺者救助
 危険を避けるために「おぼれさせてから助ける」のだ。救助とはいえ、やるせないシンセストリングスのCM7。ここではすんげぇビブラートがかかっていて、「ぶつぶつ」言っている。「拍子木=一号生徒の解説」という構成は、修正劇伴と共通だ。


世相音楽

 新聞を見せながら、当時の世相をナレーションする。イントロダクションと同じく戦前調。あまりに「いかにも」なので既存の曲なのかオリジナルかわからない。


既成曲

 登場人物達が劇中で歌うこともあれば、簡単なオルガンアレンジの「ふるさと」もある。同期の桜は「る〜る〜♪」の男声合唱。卒業式では「軍艦マーチ」などをブラスバンドが吹奏する。


エピローグ

 「軍隊礼賛作品みたく思われたら困る」と考えたのか、後から撮り足したような戦後の後日談がある。そこでは「命を大切にしなさい」というメッセージが直接的に語られている。
 しかし文字通りの「付け足し」では無いと思われる。オリジナル劇伴が最も前面に出てくるのは、この場面だからである。登場する楽器は、拍子木・クラリネット・合掌・Gキー(ここではマイナー)のトランペット。つまり全部の要素を投入している。主題はサブテーマと大映マークのテーマ。




VTR HTH-1286「海兵四号生徒」

DVD DABY-0018「海兵四号生徒」




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