右門
捕物帖


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TVD 右門捕物帖


放映:NET 1974/04/03〜1975/03/26、NTV 1982/11/23〜1983/09/06
監督:石井輝男
音楽:渡辺岳夫
原作:佐々木味津三
製作:東映

内容:杉良太郎(右門)の魅力は、クールな強さ。右門の旦那はチャンバラだけじゃぁないんだぜ。合気道で投げる殴るの豪快アクションで、江戸の悪を懲らしめるのだ。


テーマ曲 OP

じべじべしたエフェクトのギターをバックに、シャドウアクションする右門のシルエット。トランペットの主題は、5小節目からの「ACD|EGAF#DA|C以下略♪」という展開がイワユルなべたけ節。コードは「Am|C、D|F」です。「ごきっ」としたアコピがアクセントをつけている。小谷充(あるいは主題歌編曲の斉藤恒夫)あたりの編曲かもしれない。ピアノの「ごきっ」は、録音に工夫があるのでしょうか。

別ヴァージョンのオープニングでは、十手がたくさん並んでいる。テーマはエレキの「じべじべ」ギター。圧巻はテーマ再現部のストリングスだ。ワウが効いたカッティングをバックに従えて堂々と響く。本編劇伴の編成はさほど豪華ではないが、テーマ曲にはこだわるのです。


サブタイトル

じべじべエレキギターがテーマ曲のイントロ部分を奏でて、ピアノが「ごきっ」、クラベス(拍子木)が「チョーン」。

トランペットが音を積み重ねて、「チョーン」「ごきっ」(順番が逆なのね)。


テーマアレンジ

じべじべエレキギターのソロは、闇夜に忍び寄るようだ。捕り物のクライマックス場面では、同じ「じべじべ」エレキでもマーチにのって快活です。

もちろんフルートソロのヴァージョンもある。こちらは美しい演奏で、バックに響くクラベスが効果的。

トランペットソロの哀愁漂う演奏もある。トランペットのためのアレンジ曲には、実にジャジィな展開の演奏もあるのだ。

ファゴット(?)は地味な場面でボソボソ演奏する。

ラストで右門が大見得を切る場面では、ブラスが時代劇らしく「ぶわぁ〜」、スネアとギターがマーチのリズム。さらにティンパニが加わって盛り上げたところで、後半は生弦が欲しくなる。ここをアコーディオンでつましくまとめるのも時代劇伴の美学だ。(または予算の都合か)


アイキャッチ

 ピアノの「ごき」と手裏剣のような「ぴし、ぴし」というSE。このSEは意図不明ですが、本編SEの右門のパンチ音のようにも聞こえます。


ブリッジ

 短いショックが多く、大胆にSE的な音を用いている。楽器で演奏する場合でも、「バシャ」と弦楽器を叩くような音(どうやって出すの?)など、大人にもショックを与えるものだ。


捕り物劇伴

ここぞという捕り物チャンバラ場面では、ブラスにティンパニが活躍する。ブラスの間欠的な「ぶわっ」にカラムのは、やはりティンパニやクラベス。

過剰なエコーをかけたブラスの「ぶわっ ぶわっ」に弦のトリルとくれば、ガンダムなどアニメ劇伴でもおなじみ。遠くでティンパニも鳴っている。


その他劇伴の特徴

 ダルシマにグィロ、フルートの音色や奏法(びろびろやるやつ)、さらに全体の暗い雰囲気が「キューティーハニー」的。各種アニメ劇伴と異なるアクセントは、クラベスとピアノの「ごき」です。
 おなじみのサウンドに、節目で「チョーン」と鳴らして時代劇。そして大人向けで捕り物劇→暗めの曲が多め→オシャレ度低め。テーマアレンジ以外は明快なメロディーが少ない。

 直訴のお百姓が悪家老に虐殺される場面では、嵐のようなティンパニのロール〜(おそらく)チェロの「ごごごご」という音程定まらぬ連続音(楽譜には何が書いてあるんだ?)が、杉良必死の形相に合わせて続く。わずかの楽器による演奏だが、恐るべき迫力を醸し出す。

 随所に「じぃ〜ん」というパーカッションが鳴るが、これはビブラスラップというのでしょうか?。それともキハダ?。キハダとは動物の顎の骨で作ったキューバの楽器で、歯をカタカタ振動させます。ビブラスラップはキハダの代用品で、金属片が木箱の中で振動します。




燃える男 ED

作詞:山下リラ
作曲:遠藤実
編曲:斉藤恒夫
歌:杉良太郎
38AH-348~9,AA-47,MHCL-289~90

 本編ドラマのエンディングから、間をおかずに「燃えるイントロ」という見事な演出でハマっている。杉良自ら「俺の命は燃えている♪」などと歌う、いかにもな時代劇主題歌。でも曲の展開は、あなどりがたいプロの仕事だ。当サイトでは渡辺岳夫にスポットをあてているが、いやしくもプロフェッショナルを名乗る人は、皆達人である。


流離(さすらい)

作詞:もず唱平
作曲:弦哲也
編曲:斉藤恒夫
歌:杉良太郎
07SH-1237

 オイラの歌唱にゃコブシが効いて演歌的でぃ。だがよ、伴奏はリズミックでポップスなんでぃ。間奏や歌バックのストリングスは流れるようで、それでいてリズムや音程のケジメをつけている。すなわち、リズムはスタッカートが効いており、音程はきっちり大和風なんでぃ。ソロで朗々と演奏さるトランペットには、流離の哀愁が漂ってるぜぃ。


人生くれないに

作詞:もず唱平
作曲:弦哲也
編曲:斉藤恒夫
歌:杉良太郎
07SH-1237

 こちらはギター、マンドリン、シロホンといった、つま弾くか叩く音がキラキラとステレオ感豊かに響く編曲です。エエ仕事をされています。なお、曲そのものは演歌です。


さむらい追分

作詞:遠藤実
作曲:遠藤実
歌:杉良太郎
38AH-348~9,AA-47




EP 07SH-1237「流離/人生くれないに」杉良太郎(廃盤)
EP AA-47「さむらい追分/燃える男」杉良太郎(廃盤)


LP 38AH-348~9「あゆみ 杉良太郎名場面集」(廃盤)
「右門捕物帖」の主題歌とテレビシーンの他、杉主演の時代劇「旅人異三郎」も収録。


CD MHCL-289~90「〜TV時代劇音楽集〜ちょんまげ天国 in DEEP」




ファズ

 「じべじべ」と聞こえるエレキギターの音は、ファズというエフェクトによるものでしょう。もともとギターの歪みモノってのは、増幅素子(真空管とかトランジスタ)の増幅能力を遙かに超えたところまで無視やり増幅させると、波形が頭打ちになってしまう現象を利用しています。サイン波の頭が平たくなると、矩形波になる(歪んだ感じになる)わけです。
 いわゆるファズっていうエフェクタは特にきっつい歪みを得られるものです。あのエフェクタ(確かファズ・フェイスってのは商品名だったと思ったけど)そのものの原理はそれほど詳しくありませんが、たぶん似たようなモノでしょう。
 ファズをかけると、和音を弾いても単音に聞こえちゃうようです。これは、ファズをかけると奇数倍の倍音がやたらにたくさん出るのでゴシャゴシャになって、和音に聞こえなくなると想像しています。矩形波は奇数倍音がたくさんで、鋸歯状波(ノコギリ波)は整数倍音の高調波がたくさんですね。例えば和音のドミソは1:5:3の関係なので、奇数倍音大量発生したら和音だか単音だか不明になりそうです。
アドバイス:子坊主Kさん (構成:管理人) 1998/07/19 HOMEPAGE




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