五月みどりの
かまきり夫人の告白


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映画 五月みどりのかまきり夫人の告白


公開:東映 1975/11/01
監督:牧口雄二
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都

内容:五月みどり、山城新伍、伊吹吾郎、白石襄。美人タレント(五月みどり)と大学教授(山城新伍)は、二人でアフタヌーンショーの司会を務めるおしどり夫婦。だが夫は、女子大生に高校数学IIBを個人教授しながら別のコトも個人教授していた。夫の浮気をつきとめた夫人は、腹いせに浮気をやり返す。この浮気エピソードの連続が本作品の中核である。浮気相手が次々と変わるのオムニバス調だ。レーサー、恐妻家、同性愛青年、果ては殺し屋・・・かまきり夫人と関係した男達の人生は大きく狂っていくのであった。
 牧口雄二監督の劇場映画の中では、最も有名な作品ではないか。ヒロイン・五月みどりは掛け値無しの美しさ。牧口カントクは無駄の無い演出でキリリとまとめている。B級邦画ファンにはお勧めの一作。場末のレンタル屋で埃をかぶっていたビデオを見る限りでは、成人指定作品ではないようだ。しかし一応お色気の映画なので、小中学生までには鑑賞をおすすめしません。もっとも、今時の○曜ワイドや、残酷描写野放し状態のアニメ作品のほうがよほど刺激的ですが。


東映荒波

 チェンバロのソロで格調高いバロック調。影同心TV時代劇「影同心」(同'75年)にもバッハ調の音楽がある。予算が少ないときの手法だったのかも。


メインタイトル

 ピアノのメロディー。サブテーマとは違って、歌もの的な展開がある。五月みどりが当時歌ったのではないかと思えてしまうほど(事実は未確認)。映画の主題曲的な存在なので、ぜひCD発売してほしい。「かまきり夫人」単独音盤は無理としても、「牧口雄二監督作品集/音楽:渡辺岳夫」などというCDだったら、あってもイイんじゃなかろうか。無理かな・・。
 メロディー的には、DメジャーコードのF#音が現れる点が特徴。同じラインがTVD「嫁だいこん」(翌'76年)の主題歌「ふるさとは南」にも登場する。「かまきり夫人の告白」の劇伴音楽のほとんどは、このメインテーマとサブテーマのアレンジで構成している。このため、いかにも予算が無かったという雰囲気が全編に漂い、B級ファンの哀愁を誘う。だが、同じメロディーで押し通すところがかえって映画音楽的でもある。


サブテーマ

 女性ハミングの愛らしい音楽だ。「Am|D」繰り返し+「F、G|A」という、ナベタケ得意のパターンでと構成。Aマイナーの音楽だが、最後のキメである「F、G|A」がカタルシスの源だ。このメロディーは「C、C、BB、A|〜〜♪」というわけで、「魔女っ子メグちゃん」(前'74年)の「しょ、お、こな、の|〜〜♪」と同じものだったりする。ただしメグちゃんはAのマイナーコードで、「お化粧なんかは・・♪」に続きます。かまきり夫人は、成熟メジャーコードでメロディーを区切っております。


殺し屋

 浮気相手の殺し屋は、実に上手にアコースティックギターを演奏してしまう。メロディーが目立たないアルペジオ中心の演奏だ。この音楽はクライマックス場面で、劇伴音楽としてしっかりと再利用される。劇中では同じテーマばかり聴かされているので、このギターソロは大いに雰囲気を盛り上げる。


その他

 五月みどりに見とれていると、テーマアレンジ以外にはろくに劇伴が無いような印象がある。しかし実際はちゃんと音楽がついていますよ。先述の殺し屋関係の他には、サーキットの事故、庭でくつろぐ夫人へのブリッジ、そして各エピソードの決着場面だ。この作品を「同じような曲ばっかしで、いかにもB級」などと語っている人がいたら、その人の正体は五月さんのファンなのだと思われます。


DVD DSTD-02467「五月みどりのかまきり夫人の告白」




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