家なき子

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TVA 家なき子


放映:NTV 1977/10/02〜1978/10/01(全52話)
監督:出崎統
音楽:渡辺岳夫
原作:エクトル・マロ
製作:東京ムービー新社

内容:レミ(菅谷政子)は、ビタリス老人(近藤洋介)に連れられて旅するみなしごの少年です。バイオリン・ハープ・笛を上手に演奏して、犬や猿と芸をします。レミは仲間と次々に死に別れ、パリで浮浪少年マチヤ(小原乃梨子)とめぐりあい、ヨーロッパ中を旅するのです。立体アニメーションということで、見せ場では背景が動き回ります。

 劇伴は、同時期の「世界名作劇場」の路線ですが、イキナリ官憲に追われるなどのショック調の曲が多くて、悲劇を盛り上げます。


さあ歩きはじめよう OP

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、シンガーズ・スリー
SKK-2101,K13A-71~2

 出だしは息が続く限りのCメジャー。でもメロディーは渡辺調の魅力たっぷりにクネっています。サビからは「F|C|F|C」にのせて、力強い詞「生きることは たたかいさ♪」が沢田亜矢子の優しい声で響きます。おしまいは「A|Dm|G|C」(細部は省略)。教科書的な終止ですが、偉大な才能がメロディーに与えた息吹きを感じるでしょう。
 立体アニメーションと銘打った手前、OPでは背景が何階層も重なって速度差をつけて移動します。字幕スーパーまでもが速度差つきで常に動くのです。そして立体なのは絵だけではありません。ステレオ大音量で鑑賞すると、松山サウンド空間が豊かに果てしなく広がってゆくのです。


はらぺこマーチ ED

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、少年少女合唱団みずうみ
SKK-2101

 EDは切り絵のキャラは止まってるけど、背景はやはり動き続けます。「おなかがすいた、休もうか♪」で、いったん曲が止まって一休み。そしてレミは、また歩き始めるのです。
 イントロはアゴゴベルか。映画「戦後猟奇犯罪史」('76年)のイントロもアゴゴのようです。他にも「ひゅょ〜ん」という玩具的笛や、「ぼょ〜ん」の口琴が登場します。LP SKK-2101 にはカラオケを収録しています。


マチヤはともだち

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、少年少女合唱団みずうみ
SKK-2101

 イントロや間奏のソロバイオリンが実に魅惑的で、「おしゃべりフィドラー」の趣向です。お子様向けでも何でもない、これは音楽なのです。このバイオリンのフレーズは渡辺岳夫の筆によるものか、はたまた松山編曲の一部なのか。そんな詮索は無粋に思われるほどに作曲と編曲が一体になって、歌と楽器が一体になった極上の音楽作品なのです。
 少年少女合唱パート、沢田亜矢子のソロパート、そしてバイオリンが輪舞のように現れて、どこが間奏なのかサビなのか。あれよあれよの陶酔感なのです。


すてきな白鳥号

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、シンガーズスリー
SKK-2101

 「青く流れる川よ♪」という詩に合わせて、旋律が、編曲が、川の流れを穏やかに歌います。歌メロ出だしの「C|C|A|A|Dm|G|C|C」(略式)は「あらいぐまラスカル」(同'77年)の劇伴音楽に共通している。特に「C→A」という流れは、川・海・月など穏やかなイメージです。
 生弦+マンドリンという編曲はお約束だが、ここでの弦はピチカートが多用される。やや珍しいリズムで、ワルツの3拍子というより8分音符6個で1小節になっている。これらの要素が、水面に反射する陽光を思わせるのだ。それはギラギラした反射ではなく、さらさらと暖かいのです。


笛をふこうよ

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子
SKK-2101

 横笛の音も軽やかなマーチ曲です。マーチのリズムの間隙に後ノリのフレーズが登場して、ますます軽快です。この歌にはコーラスはありません。その代わり沢田亜矢子は笛(ピッコロ?)と交互に歌ったり、笛とスキャットで重唱したりで器楽的な歌になっています。名作劇場の器楽路線を「家なき子」でも感じます。


ぼくらはなかよし

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、少年少女合唱団みずうみ
SKK-2101

 Aメロの最初と最後の数音が、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の有名な「ドレミの歌」(作曲:R.Rodgers)と同じ形になっています。Aメロ後半は移動ドの音名を歌うスタイルも同じ。そしてイントロで「歌って好き?」などと語りが入るのも、「ドレミ」路線です。カピ、ジョリクール、ドルチェ達どうぶつたちに呼びかける部分もあって、どうぶつは鳴き声で応えます。
 とはいえパクリというほどの似せ加減ではなく、すこぶる健全な少年少女合唱曲なのです。LP SKK-2101にはカラオケも収録しています。


だいすきなカピ

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子
SKK-2101

 チャチャチャのリズムで軽いノリです。「魔女っ子チックル/チックルチーコのチャチャチャ」はもちろん、「ザ・カゲスター/カゲよきみは友達さ」(前'76年)「ペリーヌ物語/気まぐれバロン」(翌'78年)も同じ路線の編曲で、この頃はチャチャチャに凝っていた模様。特に「カゲよ−」に似た構成になっています。
 叙情のBメロ「夢の中で、夢の中で♪」は、涙ナミダの「IVM7|IIIm7|IVM7|IIIm7」。メロディーにはしっかりと7thを使用している。夢の中でだけ母さんに会えるレミ。これを聴いたら大人だって泣けるのです。


リーズとぼく

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子
SKK-2101

 どこからどう聴いても大人のための歌になっています。メロウでスィートなエレキ楽器を多用したムードGS歌謡バラード。マイナー曲ですが、中盤の「ぼくを見てよリーズ♪」で瞬間的に同主メジャーコードが現れる。これは一時的転調だと思います。これは「無敵超人ザンボット3/行けザンボット3」(同'77年)と同じ構成です。
 実に凝ったベースを聴かせてくれるのは、おなじみのワザの冴え。松山編曲はどこまで細かく書かれていたのでしょか。案外、ベーシストの方ががんばっておられたのかもしれません。
 間奏ではオルガン一閃して生弦が爆発。さらにパーカッションが加わって、オトナ向けドラマ劇伴の世界に突入してしまいます。コーダでもメロウなシンセがたっぷりと聴かせてくれるのです。


ママにあいたい

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、シンガーズスリー
SKK-2101

 感動系の2曲の後は、優しくて静かな歌です。イントロからシンガーズスリー「る〜るる〜♪」コーラスで、小川のせせらぎを感じます。小川の流れとくれば、ラスカル音楽でもおなじみマリンバのロールもしっかり登場。
 RとLにアコースティックギターを1本ずつ配置して、静かなオケの中でくっきりとステレオ感を演出しています。ステレオアコギの曲は劇伴(ガンダムなど)にも多く、得意パターンのひとつみたいです。1番にベースは無く、2番で加わるのも得意の編曲パターンです。すっきりしたアンサンブルの中で、沢田亜矢子とシンガーズスリーの声がゆったりと響くのです。


おやすみなさい

作詞:東京ムービー企画部
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:沢田亜矢子、シンガーズスリー
SKK-2101

 子守唄なら三拍子。しかしこの歌も「すてきな白鳥号」同様、8分音符6個で1小節になっている。エンディングでは「おやすみなさい♪」と優しく語りかけるのです。




アニメ映画 家なき子


公開:東宝 1980/03/15
監督:出崎統
音楽:渡辺岳夫
製作:東京ムービー新社

内容:ダイジェスト・ストーリーなので、次から次へと悲劇が襲ってきてしまいます。後半はやや明るい活劇調に展開するけど、やはり運命の流転が極端に感じられます。育ての親との再会→英国に実の親がいると聞く→それは泥棒一味だった→本当の親は実は親切にしてくれたミリガン夫人(武藤礼子)だったことがわかってスイスに向かいます。




LP K22G-7005 家なき子−2(音楽集)(廃盤)


 OPとED主題歌をフルサイズで収録し、その他劇伴音楽満載。生弦+マンドリンが「ハイジ」を思わせるが、編曲(編成)の充実度はこちらが上手とみている。旅芸人には欠かせないアコーディオンや、シンセストリング、さらに生弦+マリンバも登場する。ストリングス系だけでこの豪華さであって、「ラスカル」等の名作路線作品と比較しても遜色は無い。遜色無いどころか、これは宝物のような劇伴音楽集であって、CDでの発売が強く期待される。ここでは一部を簡単に紹介する。各タイトル曲(トラック)は、個別のMナンバ−を持つ複数の音楽で構成されている。


運命の旅立ち

 可哀相劇伴を集めたトラックで、「帰れソレントへ」「赤い靴はいてた女の子」などのメロディーが思い出される。


ビタリス一座

 ピッコロやバイオリンのソロ曲で、劇中ではレミも演奏すると記憶しているが少々曖昧です。少しバッハ的な一節も。

 その他アルバムのA面曲は、一曲一曲の個性が比較的明確です。Mナンバーは2桁なので、ドラマの基本設定を押さえた音楽群なのだと考えられます。ただし、この点はTVシリーズを通してじっくり鑑賞された方の御意見を伺って確認をしたいものです。


白鳥号〜レミとアーサー〜パリの奇跡〜アキャン家の人々〜マチヤとの出会い B面の音楽

 ココまで来ると楽器編成だけでなくコード進行まで大人向けになっていて、得意のB♭が登場する他、映画音楽的な展開をみせる。アルバムB面の音楽群はMナンバー3桁になっており、レコーディング後半の充実ぶりが想像できる。M-225などという番号があるが、正味で200曲もあったわけではなくて番号の付け方の問題でしょう。


テーマアレンジ系劇伴音楽

 「だいすきなカピ」「リーズとぼく」などのテーマアレンジも聴ける。「さあ歩きはじめよう」の明暗テーマアレンジでは、奔放に演奏するピアノのバッキングがモダンです。


サスペンス系劇伴音楽

 悲惨系サスペンス音楽は、そのまま大人向けドラマで使える怖さと緊張感を持つ。低音ピアノが迫力するナンバーでは、「無敵超人ザンボット3」(同'77年)ならばメカブーストが登場しそう。


感動系劇伴音楽

 その他に「ハイジ」('74年)と「白い巨塔」('78年)と「ガンダム」('79年)が渾然一体となったような、猛烈に劇的な音楽が随所に収録されている。くねりメロのストリングスとアコピのバッキングには陶酔感銘。ライドシンバルが四分音符の頭を鳴らして、一歩一歩山道を力強く歩むようだ。このサウンドは本アルバムの大きな魅力になっている。




EP TV(H)36「さあ歩きはじめよう/はらぺこマーチ」(廃盤)
LP SKK-2101「家なき子」(廃盤)
LP K13A-71~2「最新アニメ主題歌ベスト28」(廃盤)


CD 「アニメ主題歌大全集」コロムビア通販の10枚組に「さあ歩きはじめよう」と「はらぺこマーチ」を収録




レミの歌

 「出崎統演出作品愛好研究会」というHPを管理している紅男爵ともうします。ときどき出崎統でサーチをかけてみるのですが、今回当ページの「家なき子」の監督名でヒットし、ここを知りました。「朝の光」で始まるレミ(菅谷政子さん)の歌は残念ながら音盤化されておらずハープだけのは音楽集(LP K22G-7005)に収録されていますが、こういう場合歌というのはマスターってあるのでしょうか?もしかしてアフレコ時にうたっただけなんてこともあるのでしょうか?
紅男爵さん 1998/11/02 HOMEPAGE


混乱してます

 世界名作劇場「家なき子レミ」ではレミが少女になってますけど、原作はどっちなんですか?。「ペリーヌ物語」も同じ原作なのでしょうか?。「小公子」と「小公女」とは無関係ですか?。


 混乱している管理人に、「家なき子を研究している」という親切な人がメールで教えてくれました。以下は抜粋です。

 まず、「家なき子」ですが 原作のレミは男の子です。1878年にフランスのエクトル=マロが書いたものです、世界名作劇場「家なき子レミ」は主人公を女の子に変えて、アレンジしてあります。スト ーリーもだいぶちがいます。
 「ペリーヌ物語」は同じエクトル=マロの「アン・ファミーユ」という小説、日本語タイトルは「家なき娘」です。「家なき子」とは別の作品です。そして、「小公女」と「小公子」ですが、これはイギリスのフランセス・ホジソン・バーネットが書いたものです。




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