激突!格闘技
四角いジャングル


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映画 激突!格闘技 四角いジャングル


公開:東映 1979/04/07
監督:後藤秀司
音楽:渡辺岳夫
原作:梶原一騎、中城健
製作:三協映画

内容:冒頭プロレス場面にはドラゴン藤波、坂口征二らが登場。黒ひげに金髪の上田馬之助選手がマナーの悪い観客を懲らしめるシーンが迫力あります。我らのアントニオ猪木はヒロ・マツダやミスターXと激闘を展開。ナレーターは格闘モノにピタリとはまる槙大輔。映画のところどころにナレーションを加えながら、試合や訓練の模様を次々に流していく。個々の試合シーンが比較的長いので、格闘ファンはじっくり楽しめる。マニアな皆さんにはセコンドの若手(後のスター選手)をチェックする楽しみもあるぞ。総指揮:梶原一騎、脚本:真樹日佐夫(本人も出演)である。映画の後半は、赤星潮、ベニー・ユキーデ、藤原敏男らを描く。


イントロダクション〜メインタイトル
 リング上での異種格闘。ソウルフルなベースとそれに絡むパーカッションは、映画「ロッキー」でおなじみ。真っ赤な地にタイトル出現。トランペットがろうろうと奏でるメロディーは、実に映画音楽っぽい三連系(12/8)だ。おそらくナベタケ格闘映画(数はそんなにありませんが)における最もシネマティックな一曲であろう。メロディーはC音が多めで長くて、「C|F|A♭|G|C|F|B|Dm、G」から始まる。A♭やBの使用がオシャレで、特にコードBの部分でD#やF#が出てくるメロディーが泣けるのだ。ラストはCM7で、トランペットのソロが本編へ導入する。
 テーマ音楽は映画の区切りでも演奏される。アントニオ猪木がヒロ・マツダやミスターXを破った直後はオープニング同様のダイナミックなアレンジで、アンドレやアリとの対戦映像のバックにはトランペットのソロを中心とした静かな演奏。やはり猪木が最高さ!ってな感じの演出になっております。


新幹線と富士山の映像

 格闘シーンばかりでは映像的な広がりが無くなるので、随所に景色が挿入される。そのような場面では音楽が欠かせない。(逆に、格闘場面では音楽が少ない)ベースはウペウペ、フルートは緊張感のある強いタッチで演奏。ガンダムでおなじみの平進行や8分の裏々でメリハリをつける。やはりパーカッション(特にコンガやボンゴ)が効いている。このリズムのある音楽は、空手試合の連続シーンでもバリエーション演奏される。


カラテ・デモンストレーション

 プロレスの次はカラテ映像に切り替わり、「試割」の映像のバック音楽。バスドラにディレイがかかったパターン。ペースやティンパニが、静かな間欠的に空間を埋める。


格闘ブリッジ

 空手の試合は一撃で決まってしまうので、決定的な一撃の後に短い音楽(「じゃ〜ん」とか)を加える演出だ。ラストの「世界5大タイトル戦」でも、試合の内容を紹介するブラスのブリッジがカッコ良く響く。


二宮城光のトレーニング場面

 「C→A」で始まって、バックにマリンバがコロコロという、「あらいぐまラスカル」('77年)の劇伴で聴かれるイントロから、中盤はストリングス+フルートのソロという岳夫ガンダム節。城光の別場面では別アレンジで流れる。


熊殺しウィリー

 凄い男が猪木に挑んできた。レゾナンスの効いたシンセから始まって、ティンパニ〜生ストリングスといったオーケストラ楽器がドカドカと派手に鳴るというサスペンスフルな音楽だ。映画の構成のためだが、短いのが残念。


舞台はバンコクへ

 プロレス・空手の次はムエタイに移る。その都度、景色と音楽でフォローするという構成だ。マリンバのコロコロがメロディー演奏する岳夫節。こちらは新幹線と違って、ゆったりと流れるバンコクの川に合う。


ベニー・ユキーデ

 色男ユキーデのための演出は猪木に次ぐ凝りようだ。訓練場面はもちろん、試合に負けた後の描写にも実にメロディアスな音楽が演奏される。この音楽によってユキーデから藤原敏男選手の試合場面へとつながる。


エンディング

 オープニングのメインタイトルと同じ曲で、エンディングなどのアレンジが異なっている。これは「テーマ曲」と位置づければ良いだろう。このテーマ曲は本格オーケストラによるものだが、それ以外の音楽は比較的地味な編成なので、テーマ曲に予算集中投入したと思われる。


DVD ORS-2012「四角いジャングル 激突!格闘技」




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