放映:ANB 1980/08/23
監督:田中徳三
音楽:渡辺岳夫
製作:松竹内容:夫の帰りを900年待ち続けた新妻(宇都宮雅代)。若い男の血を吸って生き延びてきたのだ。このドラマでは譲(中条きよし)と四郎(三田村邦彦)の血を吸いまくる。さらに四郎の恋人・玲奈(長谷直美)を襲撃する。血を吸うのに恋人は邪魔だからだ。刑事(遠藤太津朗)が捜査などもするが、これといった役にはたたない。上田秋成の「雨月物語」を翻案している。
タイトル「ひゅう〜ん」とピッチが上がっていくシンセ。そしてダルシマーの「ざんばら」は、「非情のライセンス」('73年)でおなじみです。なんと、この「ひゅう〜ん」と「ざんばら」のみでタイトル曲になっています。
テーマ曲 OP,ED哀しさをたたえたAmのテーマ曲。口笛音色シンセにポルタメントをつけた主題に、アコギのアルペジオで構成。バックにはバイブの和音、そしてディレイをかけまくったフルートも。OPでは主なキャストとスタッフを紹介するだけなので、演奏は短く終わる。本編では何度も繰り返し演奏されて、印象づけられる。単発ドラマでは単一主題でおしまくる手法が効果的。(または予算が少なかったかな)
メロディーには激しく上下同する部分がある。「E〜〜〜(長くのばす)| FE↑B↓E↑C↓E|↑D〜〜E↓F〜〜〜」の上下動するあたりで中条きよしがアップになって、何やら思わせブリです。
サスペンス音楽繰り返しパターンでサスペンスするのは「赤かぶ検事奮戦記」('80年)と共通の手法。ミニムーグとおもわれる「みゃわ〜ん」系のシンセ音・お化け風SEも登場。
●「きらきら」系のシンセ音で「ABCE♪」の繰り返し。
●ダルシマーで「A♭GE♭」の繰り返し。
●バイブによる繰り返しもある。
●ダルシマーその他で「EFBC♪」の繰り返し。
京都ロマン音楽●妖怪女の哀しみと憂いの音楽は、テーマ曲と同様のポルタメントシンセが主題。
●フルートが「ひゃらーーー♪」と演奏。文字で書くと何だかわからないが、例えば「ひゃ」から「ら」へ2度上がるのだ。これだけで日本古来の横笛っぽくなる。あるいはホントにフルートでは無い?。そこまで予算はなさそうですが、あるいは第二作「きらら坂編」の能場面で同時収録したのかもしれない。
VTR SA-0238「京都妖怪地図 1」
放映:ANB 1981/08/15
監督:田中徳三
音楽:渡辺岳夫
製作:松竹内容:またもや宇都宮雅代が氷女として登場。今回は恋人を400年待っていたそうな。なお、「きらら坂」は「雲母坂」と書く。プロットは前作と大差無いので、表形式で比較しておく。
嵯峨野編 きらら坂編 先にやられる男 中条きよし 芦屋小雁 メイン標的 三田村邦彦 名高達郎 メイン標的の女 長谷直美(恋人) 村田みゆき(奥さん) 共通項目 役にたたない刑事(遠藤太津朗)
テーマ曲 OP,ED殺人シークエンスのオープニングにつづいて、キャストとスタッフを紹介するテーマ曲。「嵯峨野編」と同様、叙情と哀しみをたたえている。楽器の編成も同様だが、ここではエレピがメロディーをとる。OPでは尺合わせのために「Am、Dm、Gm、Dm、Aadd9」と、無理矢理短く終わってしまう。
そのかわりにエンディングではたっぷり聴かせます。口笛系&アコーディオン系音色がメロディー。ベースの演奏にも思い入れがこもっている。「・・Am|Dm|Gm|FM7」で一息ついて、「Aadd9」で締めている。これぞナベタケモダン節。
音楽の特徴第一作の音楽がたくさん流用される。なんと第一作のテーマ曲さえも、本編クライマックスで演奏されてしまう。この第二作用の音楽はテーマ曲以外にも数曲だけあるが、あるいは手間を節約するために第一作と同時に収録したのかも?。
第一作、第二作を通じてフルートとビブラフォンを中心とした構成。これは昔からの黄金パターンだ。渡辺岳夫後期作品の特徴として、シンセが混じること、フルートにロングディレイがかかりまくることがあげられる。
VTR SA-0239「京都妖怪地図 2」
放映:1985/08/17
監督:田中徳三
音楽:東京バックグラウンドミュージック
製作:松竹内容:三矢歌子、児島みゆき、斉藤林子。
VTR SA-0240「京都妖怪地図 3」
放映:ABC 1986/08/16
監督:田中徳三
音楽:東京バックグラウンドミュージック
製作:松竹内容:三矢歌子、中山仁、高田瞳。
VTR SA-0242「京都妖怪地図 4」
放映:ABC 1993/05/15
監督:原田雄一
音楽:渡辺岳夫、三協新社
製作:松竹内容:原案は第一作と同だが、ドラマ構成を大幅に変更している。美人能面師・野宮しのぶ(叶和貴子)をめぐる連続殺人事件。凶器は沙羅の花だった。刑事・大山六助(芦屋雁之助)のおっとりした捜査線上に浮かび上がった犯人は、900年前の幽霊?。京都が舞台だけあって、美しい映像が凝った構図で展開する。原田雄一演出の映像美に沙羅双樹の花を添えるのは、ご存じナベタケ節。他に石原良純、西山浩司、あいはら友子。
テーマ曲 OP,ED第一作と同じテーマ曲である。OPとEDの他、本編劇伴としても演奏される。
その他の音楽渡辺岳夫が作曲した主題を没後に誰かがアレンジしたのか、あるいは新作曲か。とにかくナベタケている音楽ではあるが、テーマ曲以外には第一作・第二作から流用は無い模様。サウンド的には「赤かぶ検事の逆転法廷」にちかく、あるいは「赤かぶ」から流用があるかもしれない。シンセ系音源を多用しているが、その一方でギターやオーボエのアコースティックな響きが美しい録音もある。ステレオ放送かと思ったほどだ。全体に聴きごたえアリ。シリーズのうちからビデオを一本購入するなら、第1巻または第5巻をお勧めする。二本を買うなら(第1巻をさしおいて)第2巻と第5巻のセットでも良いだろう。
VTR SA-0243「京都妖怪地図 5」
放映:ABC 1994/11/19
監督:貞永方久
音楽:渡辺岳夫、三協新社
製作:松竹内容:芦屋雁之助、萬田久子、美木良介。冒頭シーンからイキナリ歌ものの演奏で、台詞は字幕になっている。1200年前の暴行現場。タイトル・キャストのクレジットに続いて、今度は現代の暴行現場という恥知らずな演出である。一応プロットを書いておくと、1200年前の暴行被害者が竜の化身になって恨みをはらすというもの。劇中で無伴奏の歌や、無伴奏の横笛演奏(実に良い雰囲気である)があるが詳細不明。
テーマ曲 OP,ED新しいテーマ曲である。コード進行や尺合わせ突然終了処理がナベタケそのものであるが、作曲者不詳。音楽クレジットからみて、渡辺岳夫没後作品と推定されるからである。
その他の音楽第一・二作のオリジナル劇伴が一部で演奏される。第一作のタイトル曲も、ブリッジとして使用される。第五作からの流用もある。
夢伝説歌:スターダストレビュー
タイトル・キャストの前に演奏されてしまう。本編の幻想シーンでも演奏されてしまうが、演出の意図は全く不明。エンディングでもしつこく演奏される。タイアップが宣伝効力を発揮するのは初回放送時だけである。その時が過ぎてしまえば、タイアップ歌謡曲などというものは、作品にとってはゴミでしかないのだ。
VTR SA-0244「京都妖怪地図 6」