2.スパナ

「用途」
◆スパナは六角ボルト・ナットおよび四角止めねじの組付けや取り外しに使われる
 工具。ボルト・ナットは、機械・車両・エンジンなどで必ず使われ、また建築関
 係や家庭でも使われている。スパナは、ボルト・ナットのあるところには必ず必
 要で、非常に広範囲に使用する。
「特徴」
◆片方だけに口を持ったものを片口スパナ、両方に口を持ったものを両口スパナと
 呼んでいる。
◆スパナは、口の二面幅寸法(呼び)で大きさを表わし、ミリメートルで表示し、
 JISのボルト・ナット規格およびISO(国際規格)に整合している。
 スパナの呼びと適合するボルト・ナットの呼びをそれぞれ表裏に表示しているメ
 ーカーもある。
「使い方」
◆ボルト・ナットのサイズに合っていないスパナを使うと、力を入れた時にスパナ
 が外れることがある。これはボルト・ナットの頭をつぶしたり、スパナを傷める
 だけでなく、怪我をすることにもなるから、よく注意する。
◆ボルト・ナットを締め付ける時は、はじめに手で締められるだけ締め、そのあと
 スパナで締めたあと最後に力を入れて締め付ける。この時、スパナは締め付ける
 ボルト・ナットに、心もち押し付けるようにしてハンドルの端を握り、ボルトを
 中心に円運動させるように力を入れる。外の方へ力を入れると外れることがあ
 る。また、スパナの口の先の方だけがボルトの頭に付いて、柄の先が上がってい
 るような状態(図1)で回すと、やはり外れる危険がある。固く締まって緩まな
 い時は、ねじの部分に浸透性潤滑剤を十分に浸透させてから行なうと緩む。


注   意
1.ボルト・ナットのサイズに合ったものを使用する。 
2.パイプ等を継ぎ足して使用しない。
3.ボルト・ナットを口の奥で確実にくわえる。(図2・3)
4.力を入れ過ぎるとスパナが外れることがある。滑らないように注意。
5.ハンマ代わりに使用しない。
6.ハンマ等で叩いて衝撃を加えない。(図4)
















3.メガネレンチ


「用途」
◆めがねレンチは、オフセットレンチ或いはリングレンチとも呼ばれ、六角ボル
 ト・ナットの組付けまたはその取り外しに用いる工具。めがねレンチ(両口)
 は、主に機械や自動車などの組立や整備に使用されている。片口めがねレンチ
 (シノ付き)は、土木・建築・鉄骨・橋梁などの現場作業に多く使われる。
 
「特徴」
◆めがねレンチは、ボルト・ナットの六角部にはめ合わせる口部と手で持って回転
 を与える柄部とからなり、柄の両端に異なる寸法の口があり、丁度めがねのよう
 な形をしていて両口めがねレンチと呼ぶ。これに対して柄の片側のみに一つの口
 が付いでいるものを片口めがねレンチと呼んでいる。
 
◆めがねレンチの口は、12角(二重六角)で周囲はリング状となっており、柄は口
 に対して上下方向に曲がっている。(横方向に曲がったものやストレートのもの
 もある)また、片口めがねレンチでは柄の端部が単に握り柄のものや、シノと呼
 ばれる円錐状になったもの、或いは打撃しやすい形状にしたもの等があり、それ
 ぞれ特徴がある。
●口がリング状となっているので、ボルト・ナットから外れることなく周囲均等に
 荷重を受けるため、強力で確実に締め付けることができる。

●二重六角のためボルト・ナットに、はめ合わせやすく比較的狭い場所でも作業が
 容易。

●シノ付き柄のものはボルトの穴合わせ等に使用できる。また、柄部には落下防止
 用安全ロープが取り付けられる穴が設けてある。

●打撃部付きのものは、固く鋳び付いたナットや大型のもので大きな力を必要とす
 る時などに効果を発揮する。

●その他各種柄の曲り方などにより、周辺の障害物を避けて作業ずることなどがで
 きる。
 
「種類」
 
◆めがねレンチの呼び寸法(大きさ)は、口の大きさ(口径または二面幅寸法)で
 表わしている。両口めがねレンチの場合は2つの大きさで呼ぶ。例えば一方の二
 面幅が17mmで他方が19mmであれば17×19(寸法の小さい方×大きい方)と呼ぶ。
 
◆JIS(日本工業規格)のめがねレンチ(両口)は、柄の上下方向の曲り角度で15
 度、45度および60度の3種類、更に柄の長さによって長形と矩形の2種類があ
 り、サイズ(呼び)は長形で8×9から24×27までの25通り、矩形では8×9から14
 ×17までの9通りがある。一般に多く市販されているのは、45度長形でサイズも
 5.5×7から50×55までの40サイズほどのものがある。
●二面幅寸法はミリメートル式の他にインチ式のものも市販されているが、日本で
 はインチ表示をしていないため、呼び記号として表わしている。例えば、1/2イ
 ンチの二画幅のものは単に1/2と呼ぶ。


注   意
1.ボルト・ナットのサイズに合ったものを使用する。 
2.パイプ等を継ぎ足して使用しない。
3.ボルト・ナットに確実にはめ合わせて回転方向に正しく力を掛ける。
4.六角形以外のものには使用しない。
5.ハンマ代わりに使用しない。
6.ハンマ等で叩いて衝撃を加えない。
 (打撃式のものは十分に安全を確認した上、正しく使用する)