7.ドライバー


「用途」
◆ドライバーは、小ねじや木ねじを締め付けたり取り外したりする工具で、使う
 目的によっていろいろな種類がある。呼び方は、「ドライバー」の他、「スクリ
 ユードライバー」、或いは「ねじ回し」と呼ぶこともある。
「特徴」
◆ドライバーは作り方で分けると、「普通形」と「貫通形」がある。
 普通形は、軸(金属の部分)がハンドルの途中まで入って固定されている。
 写真@
◆貫通形は、軸がハンドルの中心を通って末端まで出ている。強く締めたねじや
 鋳び付いたねじにショックを与えて緩める場合にも使える。写真A
◆また刃先は、十字(プラス)や−文字(マイナス)などがあり、締め付けたり
 緩めたりするねじがプラスねじの場合、「プラスドライバー」を使う。
 このプラスねじは、ねじの頭の部分の溝が十字形になっているもので、
 電車や自動車、或いは家庭にある電気器具などに多く使われている。
 反対に、−文字に溝の切ってあるねじを「マイナスねじ」、そのねじを回すドラ
 イバーを「マイナスドライバー」と呼ぶ。
◆その他に、ボルト・ナットを回す「ソケットドライバー」や六角穴付きボルトを
 回す「へックスドライバー」、特殊ねじ用ドライバーとして、ねじとドライバー
 のくいつきをよくしたスパドライブねじを回す「スパドライプドライバー」、ト
 ルクスねじを回す「トルクスドライバー」などがある。
◆軸に磁気を帯びたものは、「磁気入り」「MG入り」「MG」と表示されている。
 磁力があると、刃先部にねじを吸いつけることができて、ねじを締め始める時に
 便利である。
「種類」
◆マイナスドライバーは、品質と刃先寸法によって、普通級(N級)と強力級(H級)がある。
◆寸法は主として、軸のつけ根から先端までの長さで呼ぶ。また、それに先端部
 の刃幅を組合わせて呼ぶこともある。この長さと刃幅はJIS規格で決まっている
 ので、締め付けるねじに合うものを選ぶことが大切。長さと刃幅の関係は表1の
 通りとなっている。
◆例えば、100mmのドライバーといえば、先端部の刃幅が6mmのものとなります。
 ただ使いみちによって、軸の長さを普通より長くしたもの、或いは普通より短く
 したものなどがあり、それを間違えないように、長さだけでなく先端部の刃幅を
 組合わせた呼び方がある。
 例)4.5×50mm、6X100mmのドライバーなど
◆さらに、先端部の刃幅と刃厚の関係も決まっている。これはねじの頭の溝がJIS
 規格で決まっているので、その溝幅に合うようになっている。その関係は表1の
 通りとなっている。

表1(単位:mm)
軸の長さ
先端部の刃幅
先端部の刃厚
50 75 100 125 150 200 250 300
4.5 5.5 10 10
0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.2

◆プラスドライバーは、大きさを番号で呼び、1番から4番まである。プラスドライ
 バーの呼び番号と締め付けるプラスねじとの関係は、表2の通り。
◆プラスドライバーの寸法は、マイナスドライバーと同様に軸のつけ根から先端
 までの長さで表わす。呼び番号と軸の長さの関係は、表2の通り。
表2(単位:mm)
呼び番号
軸の長さ
小ねじの呼び径
1番 2番 3番 4番
75 100 150 200
〜2.9 3〜5 5.5〜7 7.5〜


「使われている材料」
◆軸の材料は、硬鋼線材(炭素Cの含有量が0.45〜0.65%)やその他の合金鋼が使
 われている。合金鋼は鋼(はがね)にクロームバナジュームなどの合金を相当量
 加えて、摩耗や衝撃に強い性質を持たせた鋼。
◆先端部または軸部全身には熱処理(焼入れ・焼戻し)がしてあり、その硬さは
 ロックウェルCスケールの52以上が標準となっている。品質の検査では、先端を
 ねじと同じ溝がある試験棒に差し込み、ハンドルにある決まった力を掛けて、
 先端が欠けたり、ねじれたりしないかの試験をしている。
◆軸部の表面処理は、クロームメッキ(強靭なメッキ層を持ち光沢がきれい)、
 黒染(四三化鉄被膜による防錆処理)や鋼材そのままのものの他に、「ブラック
 ポイント」という精度が高く耐久性に優れた加工もある。
◆ハンドルは従来木製のものがほとんどだったのが、最近は見た目にもきれいな
 樹脂製が普及している。樹脂柄には、セルロースアセテートやボリプロピレン
 などが使われている。またこれらの樹脂と軟質樹脂を組合わせたものは、握り
 心地がよく使いやすくなっている。
「選ぶ時の注意」
 ドライバーはJISマークの付いている品物が出ているから、これを選べば間違い
 がない。割れ、傷、錆びなどがある品はもちろんダメだが、外観上で品物の良し
 悪しは、あまりわからない。JISマークの付いていないドライバーや特殊ねじ用
 のドライバーの場合は、信用のある店に相談して選ぶことが必要。


注   意
1.ドライバーをたがねのかわりにして、ハンマで叩いたり、物をこじったりする
  のは、ドライバーを悪くしてあとで事故を起こす元になるので絶対に行わな
  い。
2.ドライバーは、ねじの溝に合った寸法のものを使うことが最も大切。ねじの溝
  に合ったものを選ばないと力を入れているときに、ドライバーがねじの溝から
  はずれて、思わぬけがをするもとになる。同時にねじの溝が壊れてしまい、締
  めにくくなったりはずしにくくなったりする。
3.ドライバーを使用する前には、刃先にかけやわれ、ひびがないか、またハンド
  ルが破損していないか確かめてから使用する。
4.無理な姿勢で作業しない。常に足元をしっかりさせ、バランスを保つようにす
  る。
5.改造をしない。加熱・加工などをした場合は、著しく品質の低下を招く。
6.木に木ねじを締め付ける時は、はじめに木ねじをハンマーで叩いてまっすぐに
  立てておき、木ねじに左手を軽くそえ、右手でドライバーで平らに回しながら
  ねじ込んでいく。その時にあまり力を入れて押しつけると木ねじは倒れてしま
  う。また、硬い木や大きい木ねじをねじ込む時は、先に穴をあけておくと良い
  が、柔らかい木の場合は木ねじが緩んで効かなくなる場合があるので、気を付
  ける。
















8.プライヤ


「用途」
◆プライヤは、物をつかむ、パイプ等を回す、線を切る時に使われる。
「特徴」
◆プライヤは、つかむ物の大小によって口の開き方が変えられる。口開きは、大き
 さに合わせて2段階に変えられる。
「種類」
◆プライヤは、一般的には全体の長さによって、3種類ある。
呼び寸法(mm) 150 200 250
 ※プライヤと呼ばれる工具の種類が多いため、特に、コンビネーションプライヤ
 と呼んでいる。
「使い方」
◆使う時は、なるべく柄の端の方を握るようにすると、力が入る。
●ボルト・ナットのつかみ方
●丸棒・パイプのつかみ方
         ●板材のつかみ方  線の切り方
その他のプライヤ
「用途・特徴」
●ウォーターポンププライヤ
 口開きは、数段階に広げることができ、パイプ、丸棒等をつかんで作業ができ、
 配管工事等に欠かせない工具。スプリング付きや、ドライバー付きもある。


注   意
1.非絶縁工具です。電気の通じた回路へは使用しない。
2.ボルト・ナットをつかむ時の注意
3.丸棒・パイプをつかむ時の注意
4.柄の元の方を握って作業すると、力が入らないばかりでなく、
  指を挟むことがある。
5.用途以外には使用しない。