11.パイプレンチ


「用途」
◆パイプレンチはその名前の通り、パイプを回すためのレンチ。
 主に水道管、ガス管などに継手をねじ込んだり、外したりする、配管工事に使わ
 れる工具。
「特徴」
◆パイプは丸いから、スパナやモンキレンチでは、引っ掛かるところがなく、回す
 ことができない。色々な方法で締め付けて回すことも考えらるが、パイプを変形
 させずに回すには、特別な工夫が必要となる。そこで、レンチ本体に力を加える
 ことによって、上あこと植歯の歯がパイプに食い込み、引っ掛かることになって
 丸いパイプを回すことができる。
「種類」
●寸法
 パイプレンチの呼び寸法は、くわえられる最大のパイプをくわえた時の全長で呼
 ぶ。
 150mmから1200mmまでの9種類が市販されているが、JISでは200mmから1200mmま
 での8種類が規格化されている。呼び寸法と、くわえることのできるパイプの外
 径との関係を表1に示す。
表 1
呼び寸法(mm) 200 250 300 350 450 600 900 1200
くわえられる
管の外径
mm 6〜20 6〜26 10〜32 13〜38 26〜52 38〜65 50〜95 65〜140
IN 1/4〜3/4 1/4〜1 3/8〜11/4 1/2〜11/2 1〜2 11/2〜21/2 2〜31/2 21/2〜51/2


型式
 パイプレンチの型式には、トライモ型、リッヂ型、ステルソン型の3種類。
 国内ではトライモ型が主流で、一部リッヂ型が市販されていますが、スチルソン
 型はほとんど見かけない。
 いずれの型のパイプレンチも、強力級と普通級に区分されていて、強力級には
 H、普通級にはNの記号が本体の見やすいところに明示されている。
「使用材料」
◆上あごおよび植歯の材料は、原則として、強力級はクロムモリブデン鋼、普通級
 は機械構造用炭素鋼が使われている。これも、メーカーによって多少の違いはあ
 るが、本体は、強力級では機械構造用炭素鋼を使い、普通級はダクタイル鋳鉄を
 使っているのが一般的。なお、リッヂ型については、本体にダクタイル鋳鉄や、
 黒心可鍛鋳鉄が使われており、強力級のものとなっている。最近では、本体をア
 ルミ鍛造品としたものがでてきている。
「使い方」
◆パイプレンチの本体と上あごの組合わせは、すき間が大きくガタつくようになっ
 ている。これは作り方がまずくて、ガタガタになったということではなく、丸い
 パイプにパイプレンチを引っ掛けて回すためにはどうしても必要な意味のあるも
 の。上あご、植歯は口の内側になる部分に、横縞の歯がついており、図1に示す
 ように、使うパイプの太さに丸ナットを指で回しパイプに合わせる。その時、フ
 レームまたは上あごを少し口が開く方向に押しながらパイプを挟むようにする
 と、本体に埋め込んであるバネの作用により、上あごと植歯の歯がパイプによく
 引っ掛かるようになる。
パイプレンチをパイプなどより外す場合は、少し上あごを口が開く方向に押せば(図2)、簡単に外れる。
このような理屈からパイプレンチを図3の矢印の方向に力を加えると、上あご植歯の歯がパイプに引っ掛かり、反対に回すと外れますので、ラチェットと同じ操作ができる。
「使い方の注意」
◆使用についての注意として、呼び寸法とくわえられるパイプの外径との関係を示
 す。(表1参照)この表の範囲で、図4のように正しくパイプを挟む。
表1の範囲を超えた大きなパイプを挟んだり(図5)、また図6のように本体にパイプを差し込み、本体ハンドル部を長くして、過大な荷重を掛けたりしない。
図7に示すようにパイプレンチを横に使うのも禁物。
◆上あご、植歯の歯に、よく液状シール剤等の異物が付着し、そのままの状態で固
 まると、パイプに引っ掛からなくなる時があるので、そのような時はワイヤブラ
 シなどで掃除をする。

注   意
1.表1の範囲を超えてパイプレンチを使用するとパイプレンチが破損するなどし
  て、思わぬ事故の恐れがあるので、絶対にそのような使用はしない。
2.レンチを斜めに取り付けたり、負荷を確認せずに一気に力を加えると、レン
  チが空転したり折れたりして、大きな災害に結びつく恐れがあるので、ゆっ
  くりと負荷を確認しながら、締め込み作業を行う。
3.足場の不安定な場所での作業は、滑ったり、落下したりする恐れがあり、大
  変危険なので、正しい姿勢で作業ができる、安定した足場を確保する。
4.高所作業を行う場合には、落下防止のために安全帯・工具の落下防止具・安
  全ネットなどの安全防護対策を必ず行う。
5.パイプレンチは常に点検をし、摩耗・損傷などのある場合は、使用しない。








12.ドリルチャック


「用途」
◆機械産業はもちろんの事、電気、輸送、建設産業まで広範囲に使われているが、
 近年では日曜大工等で家庭内にも簡単に利用されている。
 ドリルチャックは、穴を開けるために使われるだけでなく、木工用キリ、コンク
 リート用ドリル、研磨用砥石、ポリッシャー等あらゆる作業に使われている。
「種類」
◆使われるドリル径の寸法と、重切削・軽切削等の作業用途によって「工作機械用
 (MG)5mm、6.5m m、10mm、13mm、(取付部テーパ式)」「携帯電気ドリル用普通
 形(E)5mm、6.5mm、10mm、13mm、16mm(取付部テーパ式)と携帯電気ドリル用
 軽量形(EL)6.5mm、10mm、19mm」がある。軽量形には、取付部によりテーパ式
 と、ねじ式の2種類があり、ドリルチャック取付の場合はスピンドルの取付部に
 合わせて取り付ける。
「使い方」
◆テーパ型スピンドルおよびテーパアーバに取り付ける場合
●テーパ部に付着している油や、ゴミを完全にふき取る。
●チャックの3本の爪を、本体より出さないように引っ込ませる。
●相手のスピンドルまたはアーバのテーパ部も、完全ふき取る。
●テーパ部に傷を付けないようにチャックを差し込み、本体端面を木ハンマで、ス
 リップしたり脱落しないよう打ち込む。
◆ねじ型スピンドルの電気ドリルに取り付ける場合
●チャックの底部端面が、電気ドリルのチャック取付面にきちっと合うように、チャックを手でねじ部にしっかりとねじ込む。
●ねじ式スピンドルには、ドリルチャックが逆転時にスピンドルから外れないよう
 に、ドリルチャックの中心穴の所に取付ビス(左ねじ)が入っている。
 その取付ビス(左ねじ)をしっかりと締める。


注   意
1.チャックの取り付けは、「使い方」にしたがって、しっかり取り付ける。取
  り付けが不十分だと外れて事故や怪我をする恐れがある。
2.工具はチャックの3本の爪で確実に掴んでいるか、作業の前に必ず確認す
  る。確実に掴んでいないと異常な振れが発生し、工具の破損、飛散等による
  事故や怪我をする恐れがある。(チャックの締め付けは、ハンドル穴3ケ所
  を均等に締める)
3.締め付けには必ず付属のハンドルをご使用。チャックに適合したハンドルを
  使用しないと十分に締まらず、事故や怪我をする恐れがある。
4.ハンドルに衝撃を与えて締めない。ハンドルにパイプをつないで長くした
  り、ハンマやプライヤー等の工具で、叩いて締めない。破損して事故や怪我
 の原因になる恐れがある。
5.スピンドルを回転させる前に、ハンドルは必ずチャックから外す。ハンドル
  が飛んで怪我をする恐れがある。
6.回転中は、チャックや工具に触れないこと。回転部に巻き込まれ怪我をする
  恐れがある。
7.チャックの操作はスピンドルが完全に停止した状態で行う。回転部に巻き込
  まれ怪我をする恐れがある。
8.割れ、欠け、変形等の異常が認められた場合は使用しない。事故や怪我の原
  因となる恐れがある。
9.製品の修理や分解、改造などをして使用しない。事故や怪我の原因となる恐
  れがある。