10月30日の日本経済新聞に、愛知12区選出の自民党代議士杉浦正健氏の少年法改正に関するインタビュー

記事が載っていた。6月の選挙で戦った人であり、おそらく次の選挙でも共に戦う相手である。その人が、今、

最もホットな少年法改正についてどう考えているかを知る意味で、有意義なものであった。

 私自身も、最近の多発する少年による凶悪な犯罪をみる時、何らかの法的な対処が必要であると考えていた。

もともと少年法自体が、50年以上も前につくられたものである為、現代に合わなくなっている点も多いようなので

ただでさえ修正は必要なのであろう。

 さて、日経の記事であるが、特に杉浦氏は、弁護士でもあるので、どんな考え方をするか、興味をもって読み始

めた。しかし、読み終わったとたん、愕然とする思いや、失望感を禁じえなかった。

 杉浦氏の主法は、「とにかく厳罰化による抑止力に期待」ということ以外に何ら見出せなかったからだ。 

弁護士としての人権感覚はみじんも感じられなかった。もともと杉浦氏は、「盗聴法」

についても、当時の衆院法務委員長として強行採決を行った張本人である。

どっぷり自民党の強権体質に染まってしまっているのであろう・・・。

 従って、少年による犯罪多発の背景にあるものが、全く見えていない・・・。

 自民党が経済最優先の政治を行ってきたため、弱肉強食的社会が形づくられてきたこと、そのことにより、教

育は、一人一人の個性を伸ばすことよりも、できない人間をふるいにかけることに終始してきたこと、偏差値主義

や効率主義が教育を空洞化し、子ども達の目から輝きを奪いつづけてきたこと、そして、人生には様々な価値観

や選択肢や生き方があるということを示しえなかったこと。自民党の悪政が、子ども達を去勢し、夢を奪ってしま

ったのだ!!

 常に、社会のひずみやしわよせが、最も弱いところに集中するのは、歴史からしても当然である。このことを棚

に上げて、「罰を厳しくすれば、恐れをなして悪いことをしないだろう・・・」と考えるのは全く的外れである。          

 大体、「切れて」凶行におよぶ時、自分は何歳かを考えながら行うことは、少な

いのではないか・・・・?!

 又、杉浦氏の論点は、ピンボケもはなはだしい。少年法改正で、マスコミを賑わ

せているのは、確かに年齢の問題ではある。しかし、最も大切な視点は、「被害者

の人権の確保」ということにあるはずであると私は思っている。そして、この点を改

正することで、加害者側にも、「自分が行ってしまったことをきちんと認識させる」ことにより、更正の第一歩とすべ

きである。

 今のままでは、「自分が一体どんなことをして、誰がどのように痛み、悲しんでいるか・・」が、分からないまま、

少年院などに入る。その結果、形ばかりの反省で、出所してしまう。加害者と、被害者が正面から向き合うことを

全てのスタートとすべきである。

 その意味で、少年法の改正の必要性ということであろう・・・・。

 このあたりのことが、杉浦氏の言葉に全くなかったのが、非常に残念である・・・。(中根やすひろ)