〜中根やすひろ・夏の終わりに想う〜

 

 まだまだ残暑厳しい毎日ですが、みな様いかがお過ごしでしょうか。

今年の暑さのピークは、38℃とか39℃とかが、当たり前のようだった

7月でしたね。 まさにその頃、日本中は参院選で燃えていました。

暑い夏や寒い冬は、景気に良いと言われています。この夏もその

ような兆しを見せました。しかし余り長続きしなかったようです。

一番の具体的な景気減退要因は、パソコン需要の低迷といわれていますが、

実は、根っこはもっと深いところにあるような気がしています。

 政府自民党が、小泉人気に浮かれているうちに、また、小泉総理自身も自分の言動に

陶酔して、悪に立ち向かうヒーロー気分になっているうちにも、

「政策のミス=不作為の失政」は、社会的弱者、生活者、勤労者にしわ寄せ

されてい ます。そして、展望の開けない社会不安が、さまざまな犯罪の遠因

にもなっているような気がします。「このままでいいはずがない」のに、

具体的な対策を打たないこと事態、政治の国民に対する裏切り、

犯罪行為といえるのではないで しょうか??!  

以下に、最近、特に話題になっていることを取り上げて見ます。

  @自民党幹部による「調整インフレ政策」待望論について

  確かに景気回復にとって、「インフレ政策」は、といも魅惑的です。

しかし、今の議論の中で欠落している部分、曲解されていることがあるのも

事実で、それをいくつか指摘しておきます。  

 (a)今のデフレは、単なる需要不足ではないということです。従って、いくら金融を緩和しても思うように需要は増えないのです。今のデフレは、何といっても「将来に対する不安感」が原因で個人消費が少ないことが原因だと思います。もう一つは、供給と需要のミスマッチによるものだと思います。例えば、消費者の需要にピッタリあった高級車は、デフレ下にあってもよく売れています。携帯電話などは、正にそうです。このような観点からデフレの現状を分析しなければ正しい政策は取り組めないことを忘れてはなりません。

  (b)次には、マスコミなどでもよく外国の例が掲載されていますが、外国でも採用している国が多くあるから、日本でも採用してもおかしくないという理屈です。実は、これは全く見当はずれです。今、外国でインフレターゲットをとっている国は、元々高率のインフレに困っていて、それを低く抑える目標をかかげたということなのです。例えば、現在、5%のインフレ率なのを1〜2%を目標に下げて行こうという意味でのターゲット設定なのです。

 (c)さらにインフレとは、そもそも個人の金融資産である貯蓄などの価値を減らしてしまうということを忘れてはなりません。改革の痛みを、営々として築かれた貯蓄を犠牲にしてやわらげるということになります。また、将来インフレになることがわかっているとしたら、日本のお金はドルなど外国へどんどん逃げてしまうことでしょう。

  (d)最後に本当にインフレ率は、予定した範囲内におさまるかということです。まさに、経済は生き物です。   市場は常に動いています。予期せぬハイパーインフレということになったとき、誰が責任を取ると言うのでしょう。

   以上のような理由で、軽々しくインフレターゲットをとるべきではありません。

声が大きい自民党の一部議員によって、市場が捻じ曲げられるのは、許せないと思います。

 A企業・産業の空洞化について

 ユニクロ現象にもみられるように、日本の物価はどんどん下がっているようです。

これが、消費者にとってよいことばかりならいいのですが、どうもそうとはいえないようです。

 一つには、デフレスパイラルが進行して景気がどんどん悪くなるということです。

 2つ目には、日本の企業が、中国や東南アジアなどに次々と脱出して、

国内が空洞化して、働き場が無くなってしまうということです。

 物が安くなることを可能にしている理由の大きな物は、人件費等コストの低い外国へ

工場が進出していることです。従って、国内の産業を空洞化させないよう、

国内に残ることに魅力がある政策を打ち出す必要があると思います。

国内企業への税制上、土地取得上などの優遇措置が考えられなければなりません。

B完全失業率が5%を越えてしまうことについて

 最近当たり前の事になってしまい、マスコミの取り上げ方も小さくなってきましたが、

完全失業率は、依然として史上最悪の水準です。「働く」ということは、それによって

賃金を得て、家計を支えることの他、それぞれの人の個性や能力を発揮するなど、

人間にとって、まさに生きがいとなる基本中の基本です。これを簡単に、「改革の痛み」と

称して放置することは政治による犯罪です。雇用の流動化、成長産業における

きちんとした受け皿の整備、職業訓練などのセーフティネットのただちの整備が必要です。

C外務副大臣 杉浦正健氏による公金横領隠蔽発言について

 外務省改革、行政改革の断行で、税金のムダ使いをなくそうと、国が一丸と

なろうとしている矢先に、「武士の情け」などの表現をつかって、国民にきちんと

したことを説明せず、悪事をかくし通そうとした旧来型の政官馴れ合い、

もたれあいの構図は、誠に情けなく許せないものです。

D地球温暖化について

 今年の夏が、こんなに暑くなったのは、今年限りの異常気象ということ

ではなく、環境破壊などによるいわゆる地球温暖化の影響もあるはずです。

米国は大国エゴで、依然として京都議定書からの離脱の方針を変えません。

 米国がノーでも、日本はかけがえの無い地球を守る為、断固としてyesと発言すべきです。