「連合愛知との政策懇談会にて、逸見総合政策局長より『在宅医療と在宅介護』について研究してみては・・との提案に答えて」 |
真に豊かな長寿社会を築くためには、高齢者に対する「保険」「医療」「福祉サービス」が一体的に行なわれなければならない。そのことによって初めて、「健康で長生きできる」社会目標が展望できる。
保険財政的見地からは、高齢者医療費を抑制する必要がある。そのために地域社会における「在宅介護」や「在宅医療」のシステムを確立し、いわゆる「社会的入院」を減らすことによって、医療費を少なくしていかなければならない。 この目的のためにも、2000年4月実施予定の介護保険制度を確実に実行していくことは大切なことである。そして、制度自体が有効に機能するためにホームヘルパーなどのマンパワーの増員や特養、ショートスティ、デイサービスなどの施設の整備充実も不可欠である。 このことが、新しい雇用創出にもつながり失業対策にもなる。とりわけ、この分野に適性を持つ、女性の力が生かされるわけで、女性の社会進出をサポートする男女共同参画社会の構築は、政治に課せられた最大のテーマでもある。 ひいては、女性が社会進出を果たすことで、年金や保険の支え手にもなるわけで、医療、介護などの分野の充実は、社会の構造改革にもつながり、いろいろな方面に活力を注ぐことになる。 しかし、注意深くしなければならないのは、「社会的入院」を減らすという、スローガンの元にまだまだ医療による治療が必要な段階で、病院をおいだされるようなことがありうるという事である。 医療機関の報酬システムが長期入院に対して、不利に改定される傾向がある中で、行わなければならないのは、「在宅医療」(訪問看護)のシステムの整備であると思う。 このことによって、医療費の抑制と患者のケアが両立できるようにしたい。 地域社会の開業医を「かかりつけ医」と位置づけ、在宅の患者に対するきめ細かな訪問看護や訪問医療をほどこすことができるようにしたい。 将来的にはいわゆるハイテクも十分に活用し、在宅患者と電話回線で結ばれた医療機関による遠隔医療という形での診断、相談なども必要となってくるかもしれない。 そして、病状が安定した後は、「在宅介護」にうまく連携し、ホームヘルプサービスを通じて、安心して暮らしていけるようにすべきである。 もちろん「在宅介護」従事者が、患者に異変を感じた時は、手際良く医療機関に連絡し、適切な「在宅医療」が受けられるように、双方向の連携が不可欠である。 そのためには、緊急通報システムや警察、消防との連関、大病院との連携なども地域社会のあたり前のシステムとして整備していくべきである。 このようなことが、いわゆるそれぞれの分野の役割分担の明確化と有機的連携ということになると思う。 P.S 介護保険の必要性に触れた部分で書き忘れたこと 介護を社会化し、その分野に専門職としての雇用が 創出されると同時に、家庭内にとじこめられていた 家族介護をしていた女性が社会進出する意義も とても大きいと思う。 |