日本酒を使った伝統的な調理法

魚の生臭みを取る。身を軟らかくする。素材の旨味を引き出す・・・・プロの料理人は、調味料としての日本酒の特徴を知って、料理を最高の状態に作り上げます。遡れば平安時代にすでに飲用の日本酒とは別に、料理用の日本酒があったとされるほど、日本酒は料理の隠し味として使われてきました。日本酒を使った伝統的な調理法を知り、家庭料理に応用すれば、料理脳では確実にアップします。

 ● 酒蒸し(さかむし)
日本酒を使って蒸すのでこの名があります。材料は、はまぐり、あわび、白身の魚、貝類など。貝類は「酒出し」といって、日本酒と煮出し汁とを同量くらいにし、塩味にして蒸し煮にします。魚は後述する酒塩をして蒸します。あわびも酒塩を入れた湯で10分位茹でてから酒塩を振りかけて蒸すと、軟らかくおいしくなります。
 ● 酒炒り(さかいり)
魚介類や鶏肉などの生臭みやくせを除き、日本酒の風味を移すための調理法です。
鍋に材料と日本酒少量を入れ、汁気がなくなる程度に煎り付けます。
 酒塩(さかしお)
文字通り、少量の塩で味を調えた酒のこと。下処理として材料を漬け込んだり、焼き物の仕上げに塗ると、味がととのい、上品な仕上がりになります。
 魚の切り身を酒塩に浸しておいてらる焼くと、味と焼色が一段と冴えてきれいに仕上がり,身も締まって一層おいしくなります。
 また、小鍋に酒塩を入れ、魚介類やきのこなどを加えてさっと火を通したり,串打ちしたイカに酒塩をかけてさっと焼き,その後にウニを塗る。酒塩に漬けて蒸すなどいろいろな用途に使われます。
 ● 酒煮(さかに)酒塩煮(さかしおに)
たっぷりの日本酒を使って煮ること。味付けは塩だけで、日本酒の風味を最大限に生かす調理法です。醤油を使う場合は、ごく少量に控えて。
 ● 煎り酒(いりざけ)
日本酒に梅干を入れて、弱火でゆっくりと煮詰めたもの。煮きり味醂や薄口醤油、かつお節、焼き塩などを加えることもあります。なますや酢の物に酸味の味付けをするときや、白身魚やエビなど、淡白な刺身の漬け醤油かわりに用いると、味がすっきりと引き立ちます。
 ● 酒八方(さけはっぽう)酒塩八方(さかしおはっぽう)
だしに日本酒を加えたもので、主としてくせのある材料をあっさりと炊く場合に用いる八方だしの一種です。八方だしは、薄めの味に煮炊きするときに用いる。だしの分量の多い合わせだしのこと。「四方八方」に使えるということからこの名があります。一般には,だし 8 に対しみりん1、醤油1の割合で合わせ、ひと煮立てさせて作りなす。材料に応じて、日本酒,砂糖,塩などで味を加減します。
 ● すっぽん仕立て(丸仕立て)
多量の日本酒を用いた吸い物の仕立て方をいいます。すっぽんをはじめ、オコゼやコチなど、くせのアル魚に用いられます。また、すっぽん煮といって、たとえば鶏肉と焼き豆腐を、日本酒を主に、薄口醤油、みりん少量を加え、落し蓋をして煮立たせないように弱火でじっくりと火を通す調理法もあります。
 ● 玉酒(たまざけ)
日本酒と水を合わせたもので、一般的には同じ割合で合わせます。魚を洗って臭みを取るときに使います。また、振り塩をしてしばらく置いた魚を漬けたり、冷凍魚などをこの玉酒の中に漬けて解凍します。こうすると魚の旨味が逃げないからです。「玉」は、多摩川の多摩をもじったもので、水の意味。「玉酒につける」とか、「玉酒で洗う」と言い、主に関東で使われる料理人言葉です。