桜形のおいしい霊水


岡崎市から車で約30分の額田町桜形細野地区。
県道沿いの山すそに、ひっそりとたたずむ「田乃神薬師如来」のほとりに、こんこんと
湧き出る清水がある。
近所の人々は「細野霊水」と呼ぶ。週末には多くの人が水を汲みに訪れ、バス停が
新設されるほど、人気を集めている。
「この水を飲んだら、水道水はもう飲めないよ」。約8年近く、通っているという幸田町
大草、会社員、山下勝巳さん(54)は話す。冷たく軟らかく、癖のない水。
多いときには10人くらいが列を作るという。中には20リットル入りのポリタンク20個を
持参する人もいるとか。山下さんは、「ご飯を炊いたりお茶に使うので、ひと月に2回
はくる。」
味ばかりではない。「喘息が治った」「エイズに効く」「ダイエットに効き目」「見えなっかた
目が治った」などなど、うわさも人を呼ぶ。
そこで今年4月、同町が名鉄に陳情し、バス停「桜形細野霊水」を作った。また地区の
人々がそろえたのか、水汲み場の周囲に椅子、灰皿も備えられている。
同町桜形市場の長老、鈴木広吉さん(97)は「昔は通りがかりの人々が喉を潤しに
立ち寄った。明治の初めごろ、田んぼへの水が絶えないように、田の神様を祭った。
水に効能があるかは知らんが、うまい水じゃ」と話す。
水を汲み終えると、だれもが薬師如来のほこらに、賽銭を入れていく。水のお礼だと
いう。
   
           (毎日新聞 平成13年8月16日号 より)引用


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