第6回 人間関係と恋愛関係 |
異性を意識することは、とても大切なことだと思って生きてきた。早く言えば、オレは女性が好きだと言うことに他ならない。 若い頃、障害者運動の団体に入り活動を始めた時、若くてきれいで優しいボランティアと呼ばれる人たちと出会った。日頃から異性と出会う機会の少ない生活をしていたオレにはまぶしくて、あこがれの存在に見えた(狼の群れに羊が放たれたように)。 活動は活動として動いていたが、活動で知り合う中で、惚れてはフラれを繰り返していた。 喫茶店に呼び出して心臓がパクパク言うのを感じながら告白したこと、相手の喜ぶ顔が見たくて必死にプレゼントをタクシーに乗って一人で買いに行ったこと、電動車いすがなかった時に手動車いすで電車に乗って好きな女性を追いかけたこと、数え上げればきりがないほどの思い出がある。 そのたびに失うものも大きかったが、今思うと得たものも大きかったように思う。自分の力のなさや経験不足、そして相手の気持ちを察する観察力。とても傷つきながらも大きな気付きを与えてくれたのも、好きになった女性のおかげだと思っている。 障害を持っていると自分に自信が持てずに、異性を好きになることから逃げ出すことがある。そしてうまく行かないのは障害のせいだと障害の中に隠れようとすることが多かった。でも情熱を持ってぶつかるたびに、うまく行かないとはいえ、教えられたことがいっぱいあった。 これは、異性の問題ばかりではなく、同性に対しても大切な視点であるように思う。相手を見ること、何を言いたいのか理解をすること、相手が何を思い、何を求めているのかを見つめる洞察力、人間関係を作る上での基本が全部含まれていることにふと思い当る。 「障害者は人間関係を作るのが下手」と言われることがよくある。 これは、やはり恋愛経験が少ないからではないかと思う。 人を好きになることは、本当に自分と向き合い、自分を向上させる原動力になると思う。 人間形成にとても大切な「恋愛」を、自ら諦めるような生き方をしてほしくないと思う。そして好きになることを忘れないでほしい。 思い切り好きになり、思い切りフラれることを経験して行くと、度胸も付くし大きな人間関係を作れるような気がする。 大いに惚れて、大いにフラれていくことで、仲間は増え、豊かな気持ちが出来て来るような気がしてならない。 |
2014.6.20 |
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