「KO!勝者、ステラ=ブラウン!!」
レフェリーの声が響き渡り、会場内にどよめきが起こる。
…無理も無い。年端もいかない少女が屈強な男達にまじってこの秘密裏に行われるレスリングを準決勝まで勝ち抜いたのだから。
当のステラはというと…コーナーポストにもたれかかり、肩で息をしていた。
元々、好きで出場したわけではない。
両親に捨てられてから十年、育ててくれた義母が病に倒れ、その手術代を捻出するのに他に方法が無かったのだ。
会場にいる客達は…皆、怪しげなマスクを着用しているが、その身なりから相当なブルジョワばかりである事がみてとれる。
しばらくして、大会委員長直々の場内放送が始まる。
「皆様、大変永らくお待たせしました!只今より、準決勝を勝ち抜いた4人の勇士による決勝バトルロイヤルを行います!」
会場内に最大級のどよめきと拍手がわき上がった!
「皆様に決勝戦進出の4人の勇士を御紹介します。今大会最年少の少女、ステラ!鋼鉄の筋肉を持つ美女、レタ!東洋最強の男、ショウ!殺戮兵器のジョー!」
いつの間にかリングの上に、ステラの他に3人の男女が上がっていた。
4人の中に、争いを好む者など一人もいない。それぞれ止むに止まれぬ事情からこの金持ち連中の暇潰しのゲームに参加しているのだ。
彼らの名は、ステラ、レタ、ショウ、ジョー…。