NOVEL

復讐の時

 

「ホントに…ホントに、私のコト、許してくれるの?」
「あはは、バカだな。あの程度の事をそんな何年も根に持ってるとでも思ってるのか?」
「だって…『一生、許さない』って言ってたじゃない。それなのに私、自分がどれだけ酷いコトしたのか判ってなかった…。」
「あぁ…俺もまだまだガキだったよな…。」
「私も子供だったんだね。」
「じゃ、おあいこだ。」
「そうね。…なんだか、何年も胸にあったモヤモヤがやっとスッキリしちゃった。」
「良かった。…悪かったね、俺があんな事言ったから…そんなに気にしてるとは思わなかった。」
「ううん、悪いのは私だもん。」
「あ、そうだ!みんなで遊びに行った時の写真、渡しそびれてたから今日渡そうと思って持ってきたんだった。」

と言って、男は数枚の写真の入った封筒を女に渡した。

「わぁ…懐かしいね。」

 女が封筒に目を落とした瞬間、男は密かに封筒と一緒に鞄から取り出していたナイフを女の腹部に突き刺した。

 

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