自分自身の形
宮崎さんは、東大の新入生歓迎講演会で駒場の学生に
「自分自身の形を見つけてほしい」と以前言ったそうだ。
マルクス主義や共産主義といった◯◯主義とは、イデオロギ
ーに見合った典型としての人間像や合理的な人間像をつくる
ためのマニュアルに過ぎず、藤岡氏のように転向するのも、
その典型を変えただけと宮崎さんは言い切る。
「人間とは実は、極限的な状況のなかで突拍子もない
選択をする。私も紆余曲折を経て、命懸けの戦争をや
ってきた。こんなアホなオッサンでも、まだ生きられ
るんだということをわかってもらって、肩に力を入れ
ないで生きていけばいい。」

と、学生の参加者が多い会場にメッセージを投げかけた。

宮崎さんは、若者へのメッセージとして
「これでは生きていけないからと開き直り、居直ると
いう哲学もエネルギーとなる」

と、突破者の美学をも語ってくれた。それは学生の「莫大な
借金があってもやっていけるのはなぜ?」という質問から導
かれたものだ。
「借りた金は返さない。居直れば30億円の借金を踏み
倒しても生きていける。30億円の大半、25億は銀行
から借りたもので、返さなくても銀行は担保を取って
保険を掛けている。残り5億はやくざからだが、返さ
ないからといっていちいち殺してはいられないやくざ
への対応の仕方もある。腹をくくるか、覚悟ができる
かどうかが肝心だ。でもやはり、リスクと辛さはある。
1万円、100万円、1億円、借りた額それぞれにリスク
は違う。莫大な負債を抱えた長銀が国に助けてもらっ
ているように。」


学会の打ち合わせにいってくると抜け出してこのイベントに
参加された某大学の先生は、就職のための資格を取るように
なってきた大学を憂い、これからの大学の在り方や、学生に
よる大学づくりの行方を宮崎さんに質問した。
「学生の企画力やリーダーシップを期待するというのは、
大学が学生に与えたあてがいぶちに過ぎない。日米ガイ
ドライン法案に反対する学生というのは、あくまで先生
の言うことを聞いて署名しているだけということもある。
政治的なサービスを先生が与え過ぎだ。
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に亡命した『よど号
ハイジャック』のメンバーは知り合いで、もともとキュ
ーバに行こうとしていたが、燃料が足りなくなるので北
朝鮮にしただけというお粗末なもの。学生がどれくらい
考えているか、そう期待はできない。」


学生に期待していないという宮崎さんであるが、最後にこん
な閉塞状況にあってもみんなに考えてほしいと、
「選挙制度に替わる方法の模索を社会的に考える新しい
政治の決定方法」
をあげてくれた。
それは投票行動なのか、それともそれ以外の出口があるのか。
これからつくられる、あるいはつくっていくものなのか?
これからの時代の新しい「掟」を宮崎さんは提議したと受け
止めれたような講演となった。