大阪セルフヘルプ支援センター設立趣意書


大阪セルフヘルプ支援センター設立趣意書

 私たちは、人生の中で病気や障害などさまざまな困難に出会います。時にはその困難の大きさに圧倒され、絶望することもあります。その時、同じ困難を持ちつつ生きる人々と出会うことができれば、私たちは大いに励まされ、生きていく勇気を得ることができます。この様な出会いの体験から、私たちは、同じ困難を持つ者同士が支え合い、困難を持ちつつ生きて行く生活の知恵を学び合う場として、セルフヘルプ・グループを生み出しました。
 セルフヘルプ・グループ活動を通して、私たちは、自分が支えられ、学びつつ、偏見やスティグマを乗り越えて成長することを体験しました。また他者を援助することによって自分が援助されることも知りました。それは、自分を変えつつ仲間を変え、仲間を変えつつ自分を変え、同時に社会を変えることなのです。この様なセルフヘルプ・グループは世界中で活発な活動を展開しています。大阪でも数千のグループがすでに活動しています。
 しかしながら、このセルフヘルプ・グループの意義はまだまだ私たち市民の中で共有されていません。困難を抱える多くの人々が偏見の中で孤立しています。現在活躍しているグループもさまざまな問題を抱えています。メンバーの維持と拡大、集会場の確保、運営費の問題、専門家との関わり方等々です。また、グループ同士が、グループ運営などについての工夫や知恵を交換できる場もほとんどありません。さらに、セルフヘルプ・グループが自発的で創造的な社会資源であることを、行政や専門機関の方々に理解してもらうことも必要なことです。
 私たちは、セルフヘルプ・グループの意義を広め、同じ困難を持つ市民とセルフヘルプ・グループを結びつけ、グループの持つさまざまな問題の解決のために支援することを目的として、『セルフヘルプ支援センター』を構想しました。
 一九八四年、セルフヘルプ・グループ有志および支援するボランティア、研究者たちが集まって、「大阪セルフヘルプ情報センター設立準備委員会」を発足させ、以来、セルフヘルプ・グループに関する調査やセミナーの開催、わが国および諸外国の情報収集と研究、出版などを実施し、討議してまいりました。
 このたび、今までの準備活動をふまえて、上記のような役割を担う組織を『大阪セルフヘルプ支援センター』として設立する運びとなりました。
 つきましては、当センターの運営に関して、セルフヘルプ・グループ当事者の方々、市民グループ、各行政・専門機関、マスメディア、そして一般市民の方々のご理解とご協力をいただかねばなりません。
 なにとぞ、大阪セルフヘルプ支援センター設立の趣旨をご理解頂き、当センターの会員として、情報の収集や相談活動等の事業に参加してくださいますように、また賛助会員として、経済的にセンター活動をご支援くださいますよう、ご協力を心からお願い申し上げます。


1993年4月
「大阪セルフヘルプ支援センター」設立発起人一同
代表 定藤 丈弘

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