人類が織物の衣服を身にまとい始めたのは実に5000年も前のこと。
メソポタミヤ文明の末期だ。
獣の皮をまとっていた人間がようやく手にしたテキスタイル。
それは、人間と繊維の第一の革命的な出会いであった。
第二の革命は20世紀なかごろ。それまで、繊維といえばウールやコットン、
シルクなどの天然繊維をさしていたが、なんと石油から繊維がつくられたのだ。
その名を「ナイロン」という。
絹でつくられ、上流階級のご婦人しか身につけることができなかったストッキングが、
ナイロンの登場によって一挙に大衆化した。
これが、化学繊維時代の幕開けである。
そして現在。繊維は衣服だけでなく、さまざまな工業製品の素材として活躍している。
自動車のシートやマット、カーテン、ゴルフクラブのシャフト、F1カーのボディーやホイール、
果てはロケットにいたるまで。
繊維の種類も、天然繊維、石油化学繊維、無機化学繊維、混紡繊維など多彩に。
私たちはいま、繊維の第三の革命ともいえる変化のまっただなかにたっている。