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突然ですが、ここで問題です。
上のメニューリストはある法則に従って並べてありますが、それはどういう法則でしょうか?
若い順でしょうか? 上半分はそのようですが、下半分は違うようです。
私の好きな順? いえ、それも違います。
解答篇
正解は「没年順」である。(現存する人は、生年順。「早く死ぬかもしれない!」順だ)
普通こういうものは「生年順」にするものだが、そうすると夭折した人と異常に長生きした人(失礼!)の差が大きい場合、自分から見た「距離感」に違和感が生じるのだ。
例えば、「ヴァントよりヌヴーのほうが若い」のである。当然生きていても不思議はない人である。ところがヌヴーはもう過去の人である。しかも、私が生まれる遥か昔に亡くなってしまっているのだ。
ヴァントは目の前で実演を聴くこともできるが、ヌヴーはもはやできない。
そうすると、生年順に並べて、あれっ、ヌヴーてジュリーニやザンデルリンクよりも若いんだ、とトンチンカンな印象を持つより(これはこれで「凄い」発見ではある!)、没年順に並べて、フルトヴェングラーより過去の人なんですよ、と認識したほうがより自然に思えるのだ。
かくの如き理由で、私は「没年順ソート」を強く推進する次第である。
1929年生まれ
| ベートーヴェン Sy. No.5,7 | ロイヤルPO | '87 | BVCC 9320 | |
| ベートーヴェン Sy. No.9 | ロイヤルPO | '89 | BVCC 685 | |
| ベートーヴェンPf協1,3 ベートーヴェンPf協2 ベートーヴェンPf協4,5 |
アックス / ロイヤルPO | '85 | BMG 29240他 | |
| ベートーヴェン Pfトリオ No.7 | ムローヴァ / シフ | '93 | PH 442 123 2 | |
| ブラームス Sy. No.4 | ロイヤルPO | '87 | TEL 82006 | |
| ブラームス ドイツレクイエム | ロンドンSO | '00 | LSO 0005 CD | |
| ムソルグスキー 展覧会の絵 | ウィーンPO [L] | '85 | PHCP 10530 | |
| ドヴォルザーク Sy. No.9 | ロスアンジェルスPO | '90 | TEL 80238 | |
| ドヴォルザーク スラヴ舞曲 | ウィーンPO | '93 | PHCP 20233 | |
| R・シュトラウス 英雄の生涯 | ウィーンPO | '89 | TEL 80180 | |
| R・シュトラウス アルプス交響曲 | ウィーンPO | '90 | TEL 80211 | |
| シベリウス Vn協 | ムター / ドレスデンSK | '95 | POCL 1941 | |
| ラヴェル 子供と魔法 | ロンドンSO | '97 | POCG 10201 | |
| プロコフィエフ Sy. No.1,5 | ロスアンジェルスPO | '86 | PHCP 10582 | |
| ショスタコーヴィッチ Sy. No.4,5 | シカゴSO [ADD] | '77 | EMI 72658 | |
| ショスタコーヴィッチ Sy. No.5 | シカゴSO [2088] | '77 | TOCE 3246 | |
| ショスタコーヴィッチ Sy. No.8 | ロンドンSO | '92 | POCG 1819 | |
| ショスタコーヴィッチSy.No.10,13 | ロンドンSO [DDD/ADD art] | '80 | EMI 5 73368 2 | |
| ラフマニノフ Sy. No.2 | ウィーンPO | '92 | FKM CDR 178 | |
ベートーヴェンの他の作品(Sy)が廃盤中。早く復活してくれ。
眼病で療養中とのことだが、私は復帰してもおかしくはないと思う。遠方まで来るのは難しいかもしれないが、目が見えなくても音楽はできる。
すでに主要な作品は暗譜していることであろうに。一縷の望みに期待する。
('00/10/12)◇
そんな心配をよそに、あっさり復帰した。有り難いことです。
プレヴィンはジャズ、映画音楽など多彩な活動をしてきた経歴がある。
私は思う。そうして行き着いた先がクラシックだったのではないか、と。もうどこへも行かないのではないのだろうかと。
最期?の境地を、LPOと存分に聴かせて欲しい。少しでも長くその時期が続かんことを。
サー・アンドレ・プレヴィンとは、呼ばせてもらえまいか。
('01/12/17/月)◇
隠れ名盤
エマニュエル・アックスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集
ちなみにこの全集は、ウート・ウーギ/サヴァリッシュ/ロンドンSOによるベトVn協奏曲がカップリングされている珍品である(良い意味で)。
1886年生まれ
| 1 | ベートーヴェン
Sy. No.1 ベートーヴェン Sy. No.5 |
ウィーンPO ベルリンPO |
'52 | EMB. 4003 |
| 2 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ウィーンPO | '44 | RCD 25001 |
| 3 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ウィーンPO | '44 | EMI CE28 5746 |
| 4 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ウィーンPO | '47 | TAH. FURT 1027 |
| 5 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ベルリンPO | '50 | MMS |
| 6 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ウィーンPO | '52 | EMI TOCE 3003 |
| 7 8 |
ベートーヴェン
Sy. No.3 シューマン Sy. No.4 |
ルツェルンFO | '53 | ELA 904/5 |
| 9 | ベートーヴェン
Sy. No.4 ベートーヴェン Sy. No.5 |
ベルリンPO | '43 | DG POCG 30070 |
| 10 11 |
ベートーヴェン
Sy. No.4 ブルックナー Sy. No.8 |
ウィーンPO | '53 | EMB. 4005/6 |
| 12 | ベートーヴェン Sy. No.4 | ウィーンPO (9/4) | '53 | SOC. |
| 13 | ベートーヴェン
Sy. No.5 シューベルト Sy. No.8 未完成 |
ベルリンPO | '54 | ELA 9O01 |
| 14 15 |
ベートーヴェン
Sy. No.5 ベートーヴェン Sy. No.6 |
ベルリンPO | '54 | SOC. |
| 16 | ベートーヴェン Sy. No.6 | ベルリンPO | '44 | SOC. |
| 17 | ベートーヴェン Sy. No.6 | ベルリンPO (5/23) | '54 | EMB. 4004 |
| 18 | ベートーヴェン Sy. No.6 | ベルリンPO (5/15) | '54 | ERM. 120 |
| 19 | ベートーヴェン Sy. No.7 | ウィーンPO | '50 | EMI TOCE 3006 |
| 20 | ベートーヴェン
Sy. No.7 ベートーヴェン Sy. No.8 |
ベルリンPO | '53 | DG POCG 3789 |
| 21 | ベートーヴェン Sy. No.9 | ベルリンPO | '42 | SOC. |
| 22 | ベートーヴェン Sy. No.9 | バイロイトFO | '51 | EMI TOCE 6510 |
| 23 24 |
ベートーヴェン
Sy. No.9 ベートーヴェン Sy. No.1 |
ウィーンPO | '53 | SOC. |
| 25 | ベートーヴェン Sy. No.9 | ウィーンSO | '51 | ORF. C533 001 |
| 26 | ベートーヴェン
Ph協 No.4 グリーグ Ph協 |
ハンゼン
/ ベルリンPO ギーゼキング / ウィーンPO |
'43 | RCD 25002 |
| 27 | ベートーヴェン Vn協 | メニューイン/フィルハーモニアO | '53 | EMI TOCE 11009 |
| 28 | シューベルト Sy. No.9 グレイト | ベルリンPO | '51 | DG 447 439 |
| 29 | シューベルト Sy. No.9 グレイト | ベルリンPO(9/15) | '53 | SOC. |
| 30 | シューベルト Sy. No.9 グレイト | ベルリンPO(9/15) | '53 | EMB. 4002 |
| 31 | ブラームス Sy. No.1/ハイドン変 | NDR SO | '51 | SOC. |
| 32 | ブラームス Sy. No.3 | ベルリンPO | '49 | EMI TOCE 3293 |
| 33 | ブラームス Sy. No.3 | ベルリンPO | '54 | DG POCG 3794 |
ブラームス 交響曲第4番 (PREISER RECORDS 90430)’49
これは、かなり不可解なレコードである。
店頭顔出しで、甘い宣伝文句付きで売っていた。「音質サイコー、2楽章涙ポロポロ」なんてあったので、「エッ、ホントカヨ」と思いながら、ついふらふらと買ってしまった。1900円弱だったか。
こうしてみると宣伝文句もたいしたものだとは思うが、その後の反動を考えたら結局損をするのではないか。
あそこの店の、あるいはメーカーの宣伝はあてにならん。もう二度とだまされないぞと。
だが、それでも何度もだまされてしまうのだから仕方がない。
で、聴いてみたところ、
音質は極めて普通。時々「これはモノラルにしては・・・」と思わず身を乗り出してしまうものもあるが、これはただの古ぼけた録音だ。
演奏もそれほど大したものではない。むしろ平凡な印象でさえある。「これはもしかしたらフルトヴェングラーではないのでは」という疑問も湧いてくる。
これは何なんだろう。
著作権切れの公認海属盤であろうか。EMIあたりにオリジナルがありそうな気もする。
ドイツ語で何か書いてあるが、さっぱり読めない。どこかのコンサートの放送録音であるかのような単語がかろうじて読み取れる。
今となっては特別なフルトヴェングラーファンでもない私としては、わざわざ調べるのも面倒だ。
割にしっかりした印刷のジャケットを使っている。二つ折りだが、中にはぎっしり解説も印刷してある。ジャケット裏にはバーコードも付いている。(LC)00992)の表示もある(それが何を意味するのかは知らないが)。だが(C)の表示は一切ない。
今のところ、一流専門誌に宣伝も評論も載らない。シリーズになっている様子もなく、これだけの単発のようだ。今時、初出のレア盤ともなれば大騒ぎになることだから、これは協会盤などのコピーなのかもしれない。(それにしてもオルフェオなどの騒ぎようと、その中身の伴わないこと!)
だがこのレコードを買ったところは、表立って海属盤を扱う店ではない。むしろ国産中心に穏健路線でいくような店だ。しかも先に述べたように、宣伝用のコメント入りでだ。なにかの間違いがあったのだろうか。
まったく不可解である。
(2000/10/28)
ベートーヴェン 交響曲第4番/ウィーンPO (EMBLEM) '53
私もフルトヴェングラーファンを自認して25年以上になる。(長さだけは一人前?)
当初、中学生であった私は、なけなしの小遣いをはたいて43年の7番、44年、52年の3番(いずれもベートーヴェン)などを毎日のように聴いていた。当時はもちろんLPである。
ところが最近では、オーディオも、CDの音質も良くなって来たため、「いい録音」でいい音楽を聴いてしまうと、どうしても古い録音には疎遠になってしまう。
それでも、たまには大明神をと思い、最近聴いてみて感動したのが、これである。
この曲をぐっと深刻?に(3、5番のように)解釈したような感じで、なにか重いものが後に残る。この曲ってこんな曲だったっけと、疑問のようなものも感じるが、逆にこういう演奏は彼しかできないだろうなー、とも思う。
(00/08/24)
ベートーヴェン 交響曲第4番/ベルリンPO (DG) '43
こちらはなにしろ録音が悪い。この年なら止むを得ないところかもしれないが。いい音に慣れた耳で、こういうレコードを聴くのはつらい。フォルテでは音が完全に壊れてしまっている。
資料的価値はあるであろう事は認めるが、芸術的価値は半減以下であると言わざるを得ない。レーベルの問題もあろうが、上記EMBLEM盤のほうがはるかに聴きやすい。
(00/08/24)
ベートーヴェン 交響曲第9番/ウィーンSO
ORFEO盤の第九である。いけない、いけないと思いながら、やっぱり宣伝文句に乗せられ、ついふらふらと買ってしまった。
しかしこれはハズレであった。結論的に言えば、聴かないならそれでも損はなかった。しかしそれは聴いてみなければわからない。他人の評価を百回、あるいは百人聞いて回ってもわからないのだ。それはもちろん私が言うことも同じである。
さて、このレコードであるが、録音があまりにも悪い(あるいは劣化している)。リマスター(デジタル化)時に、ある意味で特に手を加えていないのかもしれないが。
ソフトで聴きやすい音質ではある。しかししっかりハイ落ちで、肝腎な部分が聴こえてこない。低域は妙にたっぷりで、ズンドコ感はある。しかしffでは音は壊れているように聴こえる。
そのせいかもしれないが、荒さだけが強調されてしまうようで、どうにも落ち着いて聴いていられない。そういう録音の印象が演奏にも及んでしまって、トンデモ感が拭えない。
私の耳にはバイロイト盤(EMI)とは雲泥の差に聴こえる。この盤については、今更語ることはなにも無かろう。
よく聴くとアンサンブルの乱れはある。しかし、それを乗り越えるものが確かにここにはある。
それに冒頭のマエストロ入場時の拍手はどうだ。これだけでも感激してしまいそうである。何と、拍手の中から聴衆の感動が聴き取れるのだ。
私が所有しているのは、かなり古いレコード(CD)で、特別なリマスターではない。HS2088でもARTでもない。しかしこれはかなりいい音質である。ところが輸入盤であるARTリマスター盤ではさらに素晴らしい音質で聴けるらしいとモノの本で読んだ。今回、改めて聴き直してみて、やはり買い換えておこうかという気になってきた。
それに引き換え、このORFEO盤には二重に失望した。(録音イマイチ、演奏???) 残念ながらこれは、とてもお薦めできるレコードではない。
(2000/10/03)
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」/フィルハーモニアO(EMI) ’59
私はもちろんこの演奏がわかるほど年をとっていない。
宇野○芳氏や黒田○一氏をして最近わかるようになったと言わしめるほどである。宇野氏はライナーノートを書いた当時だから、今から何年前かはわからないが、黒田氏は本当に最近であることを告白している。以下に一部を引用する。
(前略)
しかし、ベートーヴェンやブラームス、ブルックナーやマーラーのシンフォニーをきいても、モーツァルトのオペラをきいても、ぼくには過度に重厚すぎるように感じられて、馴染みにくかった。
(中略)
そうこうするうちに、クレンペラーは1975年に亡くなってしまったこともあって、その演奏をふりかえってきく機会も少なくなった。そして、最近になってクレンペラーの指揮したモーツァルトのオペラ数曲をはじめとして、何枚かがCDで復刻された。ぼくは、しのこしている宿題をやるような気持ちで、まず「フィガロの結婚」からききはじめた。
(中略)
そして、これがクレンペラーの「良さ」かと思い、膝をうった。
幸い、CDに記録されている音楽は消えないから、そのとき上手にきけなかった作品や演奏であっても「?」をつけたまま背中のリュックにおさめ、10年、あるいは20年と人生をともにした後にききなおしてみることもできる。そのようにしてきいてみて、遅ればせながらではあるが、ぼくもやっとクレンペラーの「良さ」がわかる程度の大人のききてになれたと思えて、とても嬉しかった。
(1998.9)以上である。
それほどクレンペラーの演奏というのは難解なのだ。「大人の」音楽なのである。
本人も言っている。「ガキの音楽じゃねえんだ。」 とうてい私のようなガキにわかろうはずがない。おそらく、あと4〜50年はかかるものと覚悟している。
だが私はそれで一向に構わない。私には他に聴きたい演奏家がいくらでもいるのだ。
(00/08/29)
1912年生まれ
2002年2月14日没
| 1 | ベートーヴェン Sy. No.1,2,3 | 北ドイツ RSO | '86 | BVCC 8921/2 |
| 2 | ベートーヴェン Sy. No.1,2 | 北ドイツ RSO | '99 | BVCC 34031 |
| 3 | ベートーヴェン Sy. No.4,5,6 | 北ドイツ RSO | '87 | BVCC 8923/4 |
| 4 | ベートーヴェン Sy. No.7,8,9 | 北ドイツ RSO | '87 | BVCC 8925/6 |
| 5 | シューベルト
Sy. No.8 未完成 シューベルト Sy. No.9 グレイト |
ベルリンPO | '95 | BMG 68314 |
| 6 | ブラームス Sy. No.1 | 北ドイツ RSO | '96 | BMG 68889 |
| 7 | ブラームス Sy. No.2,3 | 北ドイツ RSO | '97 | BMG 68888 |
| 8 9 10 11 12 13 14 15 |
ブルックナー
Sy. No.3 ブルックナー Sy. No.4 ブルックナー Sy. No.5 ブルックナー Sy. No.6 ブルックナー Sy. No.7 ブルックナー Sy. No.6 ブルックナー Sy. No.8 ブルックナー Sy. No.9 |
北ドイツ RSO | '88 '95 |
BVCC 37024/31 |
| 16 | ブルックナー Sy. No.4 | ベルリンPO | '98 | BVCC 34002 |
| 17 | ブルックナー Sy. No.5 | ベルリンPO | '96 | BMG 68503 |
| 18 19 |
ブルックナー
Sy. No.7 ブルックナー Sy. No.9 |
ケルン RSO | '79 | BMG BVCC 8917/8 |
| 20 | ブルックナー Sy. No.7 | ベルリンPO | '99 | BVCC 34030 |
| 21 | ブルックナー Sy. No.8 | 北ドイツ RSO | '93 | BMG 68047 |
| 22 | ブルックナー Sy. No.9 | ベルリンPO | '98 | BVCC 34020 |
ベートーヴェン 交響曲 第8番
私はヴァントで聴いて、この曲を見直した。目からウロコとは、あまり好きな表現ではない(どうせなら目から目玉が落ちるくらいにしてほしい)が、「やられた」「あっ、そうか」という印象であった。
だが、それで「感動」したのかというとそうでもない。ただ「感心」しただけなのだ。「感心」も「感動」の一部かもしれないが。
スタイルはいつものヴァント節とも言えるもので、冒頭から早めのテンポでぐいぐい進める。'87年の録音だから、当時75才。ブラームスの新録音でも言われることであるが、この力強さはどこにあるのだろう。別に早いテンポで演奏(指揮)するのが、若々しいなどとは思わないが、統率力(カリスマ?)のひとつの現れであるとは思う。
私は基本的にはゆっくりめで、しかもインテンポを好む。だがベートーヴェンのこの曲がこういうカタチで現れたのにある種の驚きを感じた。(だから「感心」したのであって、もしかしたらただ意表を突かれただけなのかも知れない。)
だがこの演奏を常々聴きたいとは思わない。愛聴盤にはならない。疲れたときにこういうこちらまで力の入ってしまうような演奏はちょっとね。
それにひとつ間違うと力技のようなものが見えて、私のまったく嫌いなタイプの演奏となってしまう。私は曲が持つ自然な力で盛り上がる演奏が好きなのだ。演奏者(指揮者)が何もしていないように見える演奏だ。例えばジュリーニのブルックナーがそうであるように私は感じる。
ブルックナー 交響曲第4番 「ロマンティック」
4番を久々に聴いた。音の力を感じる。怒り系の音である。私が感じる怒り系の音とは、高音域から低音域にまで全ての帯域でのトゥッテイでの「バランスのよい」音響である。これは「神鳴り」の音であり、神の声の一種の形容である。
この怒り系の音は、チェコとハンガリーと日本を股にかける、どこぞの大巨匠のような激情型の音とは根本的に違う。きちんとコントロールされた音なのだ。これぞヴァント/ベルリンフィルの実力だろう。
私はまた、こういう怒り系の音とは別に、怖い音が出せるかどうかを評価の一つの基準にしている。不気味な音、背筋がぞくぞくするような音だ。これは低音域の楽器が主に対象となる。
特に低弦だ。かつてアナログでクナッパーツブッシュの英雄を聴いた時にそれを感じた。
(よい声楽でもそれは感じる。私は純粋な声楽は全く聴かないが、声楽付きの交響曲は聴く。「復活」などのバスでもこれが聴かれる良いレコードがある。)
だが、同じ組み合わせのブルックナーの7番ではこういうことをあまり感じない。録音のせいだろうか。
こういう演奏で聴くと、この曲(4番)が後期の交響曲に匹敵する名作であることを感じる。
ヴァント/BPOのブルックナーシリーズでは、この4番がピークであり、その後急速に衰えた感じがする。それを枯れた、と美点化することもできるのだろうが。
(01/05/22)
さすがヴァント
音友2000年10月号の岸○氏のレポート、「ギュンター・ヴァントの本」と題する一文から。
この中で非常に面白いエピソードが語られている。それがいかにもヴァントらしく思えた。
そのひとつは、ナチに入党しなかったヴァントが仕事に就けないでいたところ、ケルンのオペラ支配人氏はナチ党であったものの、「優秀な指揮者が欲しいだけだ」という理由でヴァントを採用した、というものだ。
政治的な力を利用しなくても、真の芸術家はその実力だけで認められるという例だ。
ふたつ目は、友人でもあった作曲家のオペラ上演に関してである。ある理由からヴァントはその上演を拒み続けた。いくら友人とはいえ芸術的に納得できないものは演奏しない、厳しい姿勢である。なあなあになれば多少のことは目をつぶるなどという妥協はしない。自分の主義主張を曲げても、見せ掛けの友情には拘泥しないということだ。
あくまで、芸術家としての信念にのみに基づいて生き抜いたヴァントの一端が窺える。
まさに孤高の芸術家。これぞ聴くに値する音楽家である。
さて、そのヴァントが無理を承知で日本まで来てくれる。この期に及んで、あるいは命を賭けてまで、この国まで来ようというその心境はいったい何なのであろうか。
(2000/09/30)
ヴァントの暴言?
音楽の友2000年11月号ヴァントのインタヴュー記事から。
ヴァントがベートーヴェンの第九の「ニ楽章以下は駄作だ」と語っている。
私は、やっぱりそうかと思った。
最初のうち(二十年ぐらい前)は「感心」も手伝って、それなりに「聴いていられた」んだが、名曲がどういうものかわかってくるにつれ、最近では聴けば聴くほどこの曲がつまらなくてしかたがないのだ。(私は「もちろん」この曲を年末に聴いたりしない。)
ニ楽章など、どこがいいのかさっぱりわからないオチャラケのように聴こえるし、三楽章にしても例えばブルックナーなどのアダージョのほうがよっぽど美しい。そりゃ、後から出来たんだから当たり前かもしれないが。
四楽章に至っては、私はほとんど言葉の意味を考えずに「音響」として声楽を聴いているからまだ(聴くに)耐えられるが、ヴァントは「人類みな兄弟」など噴飯ものだと言っている(そんなことはないか?)。そんなことは、せいぜい笹川某に言わせておけばよいことであろう。
付け加えると、私はそういう理由(声楽も音響としてとらえる)で「原語」以外の第九は絶対に聴かない。それはベートーヴェンの意図したものとは違う音響体となるからだ。
もちろん「たかが」ヴァント一人の意見で全てが決まるわけではない(「ヴァントがたかが」ではない、「一人がたかが」である)。
100人の偉大な音楽家のうち、あとの99人は人類史上最高の音楽であると評価するであろう(いや80人ぐらいかな?)。
画期的な試みが多数なされたという点では評価できよう。しかしそれで全体の完成度はどうかというと、中途半端で終わっている感が拭えない。
あるエピソードにあるように、この曲が時間不足で苦し紛れの妥協の産物であったということも十分頷けるのだ。
(2000/10/22)
1894年生まれ
| 1 | モーツァルト Sy. No.35,36,38 | ベルリンPO | '60 | DG 429 521 |
| 1 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ベルリンPO | '61 | DG POCG 9810 |
| 2 | ベートーヴェン Sy. No.3 | ウィーンPO | '72 | DG POCG 90269 |
| 3 | ベートーヴェン Sy. No.4,5 | ウィーンPO | '70 | DG POCG 90270 |
| 4 | ベートーヴェン Sy. No.6 | ウィーンPO | '71 | DG 447 433 |
| 5 | ベートーヴェン Sy. No.9 | ウィーンPO | '70 | DG POCG 90268 |
| 6 | ベートーヴェン Sy. No.9 | ウィーンPO | '81 | DG 445 503 |
| 7 | ベートーヴェン Sy. No.2,7 | シュトットガルトRSO | '79 | WALL 7006 |
| 8 9 |
ベートーヴェン Sy.No.5,6,7 | ウィーンPO | '75 | FKM CDR 19/20 |
| 10 11 |
ベートーヴェン
Sy.No.9 ブラームスSy.No.2 |
ウィーンSO ベルリンPO |
'80 | WALL 7002/3 |
| 12 | シューベルト Sy .No.9 「グ」 | ベルリンPO | '63 | DG POCG 9698 |
| 13 | シューベルト Sy .No.9 「グ」 | ウィーンPO[L] | '69 | KI KICC 2413 |
| 14 | ブラームス Sy. No.1 | ウィーンPO[L] | '75 | DG POCG 3119 |
| 15 | ブラームス Sy. No.2 | ウィーンPO | '75 | DG POCG 3262 |
| 16 | ブラームス Sy. No.3,4 | ウィーンPO | '75 | DG POCG 90061 |
| 17 | ブルックナー Sy. No.4 | ウィーンPO | '73 | DEC POCL 9872 |
| 18 | ブルックナー Sy. No.7 | ウィーンPO | '76 | ?? CC 1024 |
| 19 | ブルックナー Sy. No.7 | ウィーンPO | '77 | SACD 215 |
ちょっとぉー、ベームさんてばー
本当にこの人、言われるほど凄いんですか?
ベーム/ウィーン・フィルの「田園」ですよねぇー・・・、巷では黄金の組み合わせとまで言われているそうな。('01/11/25(日)に放送されました。)
私は「テレビ」なんか見ていても、ちっともおもしろくないもんですから(昔ながらのモノラルテレビですから)、重い腰をあげて、とっくにお蔵入りしている同コンビ同曲のCDを引っ張り出してきました。ホコリが3センチぐらい積もってました・・・。
そして画面を見ながらCDの音を聴いていたんですけど、久々に聴くとその荒っぽさ、雑っぽさに改めて愕然としました(オケの技量も含めて)。音楽自体も息の短い、底の浅いものに感じられます。
ちなみに、ジュリーニ/ミラノ・スカラの「田園」を聴いてみます。「そうそう、これですよ。こういう風にやらなきゃ。」
でも、私はこのレコードに100%満足していません。5楽章にきて、録音(あるいはリマスター)に問題ありと感じているからです。長くなりますので、この件は機会を改めますが。
例えばベームのブラームス。別のところにも書きましたが、ザンデルリンクのそれと比べると、やはり同じような「懐の浅さ」を感じます。
さんざん言ってますが、かといって私は別にウィーン・フィルが嫌いなわけではありません。恨みがあるわけでもありません。
例えばジュリーニとのブラームス、ブルックナー。そこでは、最高の音(楽)を聴かせてくれます。このクラスの指揮者が振ってこそ、のオケではないのでしょうか。◇
私はリハを見るのが好きではありません。
最終的に出来あがった作品(成果)のみで判断したいと考えるからです。舞台裏や楽屋裏は公開すべきものではない、との「私の美学」に基づくものです。
池部センセイ、「このリハは最終的な段階での・・・」なんておっしゃってましたが、本当ですか?そりゃ来日してからのリハですから、もう直前なんでしょうけど。
でも言っていることを聞いていると、とてもそうは思えません。
私の感覚では「この期に及んで、まだそんな(低い)レベルのことを注意しなきゃならないんですか・・・。」
私はいつも申しますように、業界事情にはとんと疎いですから。
「いや、オケの練習なんて、(時間的制約から)こんなもんだよ。」
「へー、そんなもんなんですか。我々はそんな即席のものを聴かされているんですか。」◇
ところで、ベームは・・・。いや逆にVPOはベームと50年も付き合ったそうです。しかも(自ら)望んで・・・ですか?これぞ悪夢としか・・・。
でも、それでなければできない音楽(芸術)って、やっぱりありますよね。
「みなさん、よろしくおねがいしま〜す。じゃー、はじめましょうかー・・・。」なーんて、言ってたんじゃ、とてもとても。
もはや、そういう(ベームのような)時代ではないのです。
('01/11/26/月)
1926年生まれ
1 ベートーヴェン Sy. No.6,8 ロンドンPO '86 EMI TOCE 9678 2 シューベルト Sy.No.9「グ」 ベルリンPO '83 EMI TOCE 9680 3 ブルックナー Sy. No.8 ロンドンPO '82 EMI TOCE 9673 4
5ブルックナー Sy. No.4
マーラー Sy. No.5ロンドンPO '8* HAL 03,04 6
7ブラームス Sy. No.1
ブルックナー Sy. No.8NDR SO HAL 21,22 8 マーラー Sy. No.2 NDR SO LB 0001 9
10
11マーラー Sy.No.5,9,10 ロンドンPO '79 EMI 64481 12
13マーラー Sy. No.6 ロンドンPO [L] '91 EMI TOCE 9876 14 ドヴォルザーク Sy. No.9 ベルリンPO '80 EMI TOCE 9685
私はこの指揮者の100%ファンではない。マーラーは良いと思うが、マーラーも100%ファンではない。
そして他の作品にもマーラーっぽさを持ち込むのでそれについていけない。(ブルックナーもマーラーくさくなってしまう。)
だが、すごい指揮者であることは認める。(00/08/31)
お勧めは、裏名盤でありながら評価が確立しているマーラー2番(LB盤)、マーラー5番(HAL盤:これは大阪、ザ・シンフォニーホールでのライヴらしい)。
どちらも完全にイってます。
敢えてテンシュテットのマーラーを聴く
マーラー:交響曲第5番
テンシュテット/LPO(EMI)
私としては珍しい指揮者ですが、敢えてテンシュテットを取り上げてみましょう。
実はこの曲、後のHAL盤が伝説のライヴとして、すこぶる評判が良いようです。私もHAL盤を初めて聴いた時はそう思いました。「こりゃすげぇ。」
しかし今回「敢えマラ」シリーズで、敢えて正規盤を聴き直してみたところ、その音質の素晴らしさに驚愕しました。(「ごま和え」じゃないですよ。)
特に低音域。ズンズン・ブルンブルンくるんです。
私は別に低音フリークではありませんから、低域が不足していても一向気にしません。実際コンサートホールでどれだけの低域が聴こえるというのでしょうか。しかし、「これだけ」聴こえてくれば、これはこれで優秀録音だといえます。
それ(低域)だけではありません。私が最も重視する奥行感・空気感も抜群なんです。
テンシュテットは、もともとこういう(どういう?)人ですから、ライヴと正規録音での差が少ないのではないかと思います。それなら音質優秀、オケの破綻もない正規盤を敢えてとってみるのもまた一興ではないでしょうか。
EMIさんもおかしなリマスターごっこしなくたって、元々こんな優秀なリマスター技術もってたのに。いや、最新の技術を駆使すればさらに高音質化ができますか? でも私はもう買いませんよ。これで十分です。
マーラー:交響曲第5番
テンシュテット指揮/LPO(HAL)
さて、正規盤を聴いてしまった耳でこのレコードを聴くと、やはり音質の悪さにがっかりせざるを得ません。
特にマーラーときては、音質に難があったとしたら、いったい聴く価値がどこにあるのでしょうか。
いや、マーラーの精神性に音質など関係ない。私はマララーならモノララーでも聴く、と仰る方がおみえだろうか。「ハイ、手を挙げて・・・。」
やっぱりいませんよね・・・。
しかしながらこのレコード、カップリングがブルックナーの4番「ロマンティック」で、こちらもすこぶる評価が高いようです。そういう意味ではテンシュテットファン必携といえるでしょう。
2002年1月22日(火)
1914年生まれ
1 ベートーヴェン Sy. No.3 ベルリンPO [ADD, S] '58 POCG 6034 2 ベートーヴェン Sy. No.5,7 ベルリンPO [ADD, S] '60 POCG 6033 3 ベートーヴェン Sy. No.9 ベルリンPO [ADD, S] '57 POCG 90078 4 ブラームス Sy. No.2 ウィーンPO [ADD, M] '57 DG 445 407 2 5 チャイコフスキー Sy. No.5 ベルリンPO [ADD, M] '50 DG 459 011 2 6 チャイコフスキー Sy. No.6 ベルリンSO [ADD, S] '59 POCG 1957 7 ドヴォルザーク Sy. No.9 ベルリンPO [ADD, S] '59 POCG 9824 8
9ストラヴィンスキー 春の祭典 他 ベルリンRIAS SO [ADD, M] '54 DG 447 343 2 主要な作品がステレオで残されていることが、なんともありがたい。
1929年生まれ
| 1 | モーツァルト Sy. No.40,41 | ウィーンSO | '60 | BEL 450 034 |
| 2 | ベートーヴェン Pf協 No.2 | C・ゼーマン / NDR | '63 | ORF. 474971 |
| 3 | ベートーヴェン Pf協 No.4,5 | リヒター・ハーザー / PO | '61 | ROY 6413 |
| 4 | シューベルト Sy.No.8「未」,9「グ」 | ウィーンPO | '63 | DEC POCL 9779 |
| 5 | ブラームス Sy. No.1 | ウィーンPO | '73 | DEC KICC 8468 |
| 6 | ブラームス Sy. No.2 | ウィーンPO | '64 | DEC 223E 1124 |
| 7 | ブラームス Sy. No.3,4 | ウィーンPO | '72 | DEC KICC 8470 |
| 8 | ブルックナー Sy. No.4 | ロンドンSO | '64 | CR CRCB 6081 |
| 9 | ドヴォルザーク Sy. No.9 | ロンドンSO | '66 | DEC KICC 9273 |
| 10 | ドヴォルザーク Sy. No.9 | ウィーンPO | '61? | DEC 417 678 |
| 11 | ショスタコヴィッチ Sy. No.5 | スイス・ロマンドO | '62 | DEC POCL 4543 |
| 12 | レスピーギ ローマの松 | ロンドンSO | '69 | BEL 450 110 |
ああ、ベートーヴェンが・・・・。
隠れ名盤
もちろんベートーヴェンのピアノ協奏曲。録音もとびきり上等である。