お姉ちゃん演奏家

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ヒラリー・ハーン

 エクソシスト女である。・・・みんなそう思ってるんでしょ?
 
 バッハ、ベートーヴェン、そして今度はブラームスですか、全くいい度胸というか、「ふてえ、あま」である。
 先日、ブラームスが店頭に出ているのを見かけました。ネビル・マリナー?って、あの「振れない」と言われている、ですか?大丈夫なんでしょうか。
 二重の意味でこれはまだ買っていません。1.新譜にはとにかく警戒する。2.生が聴けるうちは、あわててレコードを買わずともよい。

 私は迷っています。何を?もうじきリサイタルがあるんですが、果たして行くべきか行かざるべきか。
 先だってのBPOとの協奏曲は、一部では評判のようでした。某雑誌では書かれていました。

 ベルリン・フィル来日公演でソリストを務めたのが、表紙のヒラリー・ハーン嬢。
 直前に行われた某トップ・オーケストラのふがいない演奏に心と財布を傷めていた国民にとって、本物を聴く喜びを教えてくれた一人です。

 その時、私はリスクを背負って、BPOに大金を投資する覚悟はありませんでした。
 今回は地元ですし、リサイタルですから、比較的気軽に考えてもいいんですが。ただ、問題は中身ですから、初めから期待薄なら敬遠したほうがいいわけで。
 しかもまだ若手。5年先10年先でもちっとも遅くはない。「これが最後の来日になるかも・・・。」なんて心配は全くないわけで、仮にそうなったとしても、たいして惜しいとは思わない。

バッハ:無伴奏Vnソナタ&パルティータ(SC)

 これは買いました。当時は少しでも興味があるものは買ってみよう、という考えでしたから。
 しかし最初の印象では、それほどぱっとするものではありませんでした。それからずっーと、うっちゃってあったんですが、最近になってリサイタルがあるというんで、もう一度聴いてみたんです。
 
 はっきり言って、私はこの曲にはうるさいです。(いや、それほどのこともないか。)
 パルティータ3番から入ってます。滑り出しは悪くないような気がしますが、どうも長続きしません。今一つ魅力がない。どこというわけではないが、ずっーと聴いていられない。途中で退屈してパスしたくなります。
 んじゃ、パルティータ2番いきましょか。
 ほー、そういう風に弾きますか。テンポはかなりゆっくり目です。ねっとりしてますね。重いです。どんよりしてしまいますねぇ。
 これは舞曲なんですから、そういうイメージとはちょっと違うんではないかと・・・。もう少し軽やかさがあってもいいのではないかと。
 いえ、あっけらかんとやれ、とういわけではありません。そういう重苦しい暗さになってしまうと、もうどんどん落ち込んで、救いようがない気分になってしまいます。
 「哀しい」んだけど、健気に明るく振舞って踊っている、でも時々その気持ちが押さえられなくなってしまって・・・というところが涙を誘うのではないでしょうか。
 これは感性の相違なのですが(あるいはもっとドライに見解の相違かと・・・)。

 ということで、今一つぐっと引き付ける、強い魅力を感じません。
 だいたいにおいて、私は世間一般の評価とは逆を行っているわけで、世間で大騒ぎするものに大した価値を見出さず、私がいいと思うものが一般には見向きもされないことに、いつも驚かされます
('01/12/01/土)

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バティアシヴィリ

ブラームス:ヴァイオリンソナタ第2番
バッハ:無伴奏ソナタ第1番

バティアシヴィリ
(EMI)


 これは、レコ芸’01年8月号のレヴューを参考にして買いました。その推薦文がとても奮っていたのです。引用してみます。



 『BBCミュージック』誌七月号の付録CDを何気なくかけてみて驚いた。いきなり凛乎としたバッハが鳴り出したからである。初めの音で耳をそばだてられ、その後は夢中になって聴き惚れるしかなかった。
 ヴァイオリンの音色には万感がこもり、テンションの高さも尋常ではない。アタックも痛切を極めるが、音楽的にも技術的にも気品を失う場面は見られなかった。コレンテのあとのドウーブルが、いかにもコレンテの気分を引き継いで始まるあたりの高掲感に、思わず涙を禁じ得なかった・・・。
 弾いていたのはグルジア出身の二十二歳の女流、バティアシヴィリ。この演奏はEMIのデビュー・シリーズの音源を借用したものだった。慌てて買いに走ったのがこのCDである。
 筆者が感激したバッハは二曲目に入っている。心の動きがそのまま音になるような彼女の演奏は他の曲でも同様だが、やはりバッハが抜群と思われた。すばらしい才能の出現である。
芳○正樹

 どんなレヴューでも話し半分のつもりで聞かなければなりません。「半値、八掛け、二割引き」とも言われます。さらにマルを一つ取らなければならないケースもしばしば・・・。釣った魚と同じですね。
 
 私はこの評者にはだまされてみてもいいかな、と思っていました。それにこのソリストにはなんとなくピンとくるものがあったのです。「グルジア」出身というのも気に入りました。(何でやねん?)
 単に可愛い子可愛い子していなさそうなところもいいし、文にもあるように「凛」とした雰囲気が確かに感じられます。
 私もこの時ばかりは「慌てて」注文してしまいました。

 して、結果はいかがだったでしょうか。
 私の聴いた限り、バッハはたいしたことはありません。若さ故なのか固さが感じられます。楷書体というのでしょうか。聴き様によっては、ぎこちないようにも思えます。しなやかさが足りない。
 ヴァイオリンで弾いているという感じではなく、鍵盤楽器で聴くようなバッハ。アコーデオンで弾いているかのようにも錯覚してしまいます。・・・えっ、それがバッハの狙い?そうでしょうか。弦楽器で弾きなさいと指定しているのですから、その良さを前面に出しても良いのではないのかと。
 一言で言って、引き付けられるものを感じません。技術的にも問題はないようですが、それ以上の何かが足りない。(これは若手新人天才奏者に共通して言えること。)芳○氏の感じた何かを、私は感じる事ができませんでした。

 むしろブラームスの方が良いように思えます。肩の力が抜けて伸びやかに歌っているようです。これでこそ弦楽器です。
 それよりも、伴奏のピアノがいいタッチで弾いているのに耳を奪われます。
 いかにも若手女流ペアの、というと予定調和すぎますが、「かわいらしく」なってしまうのではなく「優しい雰囲気」の音楽になっています。
 そういう雰囲気の中でも、ここぞというところでは一歩踏み込んだ、気合の入った演奏を聴かせます。熱さがストレートに伝わってくるようです。聴き応えのある演奏でした。

 ということで、バッハは無印、ブラームスは準推薦です。
 さあ、「慌てて」聴きたくなったでしょうか。・・・そうでもないでしょうね。
('01/12/18/火)

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