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優秀録音盤

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マーラー:交響曲第2番「復活」/ギーレン指揮 南西ドイツ放送交響楽団 (hanssler)
ショスタコヴィチ:交響曲第8番/プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団 (DG)
ラヴェル:子供と魔法、マ・メール・ロア/プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団 (DG)
マーラー:交響曲第4番/シャイー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (DECCA)
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」/コンヴィチュニー指揮 チェコ・フィル (SUPRAPHON)

ムソルグスキー:展覧会の絵/大植英次指揮 ミネソタ管弦楽団 (RR)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4、5番/ケルテス指揮 フィルハーモニア管弦楽団 (ROY)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」/ジュリーニ指揮 RCO (SONY)
ブラームス:交響曲第3番/スクロヴァチェフスキ指揮 ハレ管弦楽団 (CARLTON)
ブラームス:交響曲全集/ザンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団 (CAPRICCIO)

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団 (BIS)
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」/ボールト指揮 BBC交響楽団 (BBC)
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」/スクロヴァチェフスキ/ミネアポリス交響楽団(MERCURY)
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」/マーク指揮 マドリッド交響楽団 (ARTS)
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」/デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団 (LSO)

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 演奏が素晴らしいレコードはもちろん、それに加え録音も優秀だと感動もより深くなります。
 音楽に興味を持ち、それに付随して音をよりよく再生するための手段としての装置に興味を持つと、半ば必然的に録音の質にも興味を持つようになります。
 ここでは、そういう中で私が出会った、「これは優秀録音だ」というレコードを紹介してみましょう。
 
 優秀録音盤の紹介は、たいていの雑誌で企画されているようです。しかし、そういうところで紹介されているものを、「だまされたつもり」で実際に聴いてみると、確かに録音は非常に優秀ですが、演奏が「???」状態のものが少なくありません。なまじ録音が優秀なだけにそのアレレ度(もしくはオヨヨ度)が際立ってしまって、とても鑑賞に堪えないものもあるようです。
 
 ここでは、演奏についても私なりに一定のレベルをクリアしていると確信したものだけを厳選してみるつもりです。但し、あくまで録音本意であることをお断りしておきます。
 聴いてみて、やっぱりだまされたと思ったら、それも勉強です。

■私が優秀だと感じる録音


1.ホールトーンがたっぷり。空気感がある。
2.音場が深い。


 この2つは多分密接な関係があると思います。
 
 スピーカーの間から後方へ、ホールを切り取ってきたような音場が出現する。
 後ろの方のホルンなどが、スピーカーから遥か?後方から聴こえる。最低1メートル、調子のいいときは2メートル以上!?

 スピーカーの後ろ(背面)から音が聴こえる。
 右のスピーカーの後ろからコントラバスやティンパニの音が聴こえ、思わず体(頭)を左へ持っていき、右スピーカーの後ろを覗き込んでしまう。

 また、音の高さ(上下の広がり、または天空へ突き抜ける)ということもよく言われますが、私は残念ながら、まだそういうものを実感したことがありません。

3.演奏ノイズが多い。
 
 がさごそする音、譜面をめくる音、管楽器のバルブメカ(といっていいんでしょうか?)の出す音、弦楽器の指板(?)に当たる音などがよく聴こえる。
 
4.スピーカーから音がしない。

 音離れがよい、というのでしょうか。これは装置の状態に依存する場合が多いのですが、「スピーカーに音がへばりついている」うちはダメです。

5.尻尾が切れている?

 演奏が終わって、まだ残響が残っているうちに、録音がフェードアウト?しているものが、実はかなりたくさんあります。
 残響が長いということは、微細な信号が録れているということで、当然録音が優秀だということになると思います。

 一部で、「(録音の)頭が切れている。」「(残響・余韻が終わっていないのに)拍手が早い。」「フライングブラボーは・・・。」などと、人間がキレていることが多いようですが、残響が切れていることに言及されていることは少ないようです。
 このことに気付かずして、録音や装置の音質の優劣を語るのは片手落ちと言えましょう。

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マーラー:交響曲第2番「復活」
ミヒャエル・ギーレン指揮 南西ドイツ放送交響楽団
ソプラノ:ユリアーネ・バンゼ
アルト:Cornelia Kallisch
EuropaChorAkademie:Joshard Daus
hanssler CD93.001

Recording:3.-6.1996,SWR
Artistic director:Dorothee Schabert
Digital editor:Dorothee Schabert
Balanse engineer:Norbert Klovekorn

 栄えある第1号はギーレン先生にご登場いただきます。
 私は、およそデータというものに興味がないのですが、さすがにこういう企画となると、録音に関するデータを転記しなければなりません。
 そこでライナー・ノーツなるものを改めて見て驚きました。録音に関するデータが、表紙の見返しに、でかでか?と記載されているのです。
 以前からこれはすごくいい音だと思っていましたが、こういうことから察するに、このレーベルは、実は録音にも尋常ならぬ力の入れようなのではないかと感じました。

 このレコードは演奏が優秀ということで、かなりあちこちで推薦されているのを目にします。しかしながら、実は録音もとびきり優秀であることを紹介してくれたところは、なかったのではないでしょうか。

 全体に優秀なので、聴きどころといっても難しいのですが、2枚目第3楽章冒頭、ティンパニの硬質な乾いた音が、いかにも広々とした空間に響き渡る様子。
 ソロはバンゼちゃんで二重◎。(でもこの曲、意外に出番が少ないんですよね。)
 合唱の幽玄さ(洋楽に相応しくないか?)にぞくぞくする。
 こんなところが印象的でした。
('01/11/23)

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ショスタコヴィチ:交響曲第8番
アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団
DG POCG-1819

Executive Producer: Alison Ames
Recording Producer: Arend Prohmann
Tonmeister (Balance Engineer): Gregor Zielinsky
Recording Engineers: Reinhard Lagemann & Rainer Hebbom
Editing: Rainer Hebborn
Recording: London, All Saints Church, 9 & 10, 10/1992
Recorded using B & W Loudspeakers

 栄えある第2回は、敢えてメジャーを選んでみましょう。
 とかくメジャーに対する風当たりは強いようです。しかし大丈夫でしょうか。メジャーが何故にメジャーたるか、その録音を冷静に聴いてみる必要があるのではないでしょうか。
 昨今の人材(アーティスト)不足による、演奏の質の低下については、万やむを得ないところでしょう。彼ら(レーベル)にもノルマってもんがあるでしょうから。まあ、万障お繰り合わせの上・・・。

 DGの4Dオーディオを批判する方は気をつけたほうがいいでしょう。自分の装置がまともに再生できる状態になっていないことを暴露しているようなものです。
 いえ、装置に責任はありません。高い安いも関係ありません。使いこなす腕がないと言っているのです。「悪いオケはない。悪い指揮者がいるだけだ。」と言われているではありませんか。(どういう関係があるのかは知りませんが。)
 まさか4Dが何たるかを知らないで発言しているとも思えませんが、こういう人たちは、恐らく3Dといっても信用できないのでしょう。
 2チャンネル(掲示板じゃないよ。)スピーカーで、「縦(高さ)・横(巾)・深さ(奥行)」の3次元立体(空間)が再現できることすら知らないのではないかと。

 私は正直、この曲をよく知っているとは言えません。これと、ザンデルリンク盤の2枚しか持っていません。しかしそれ十分だと思っています。それ以外に聴き比べをしようとする気も起きません。
 最近ヤンソンス盤が発売されました。(もちろん未購入。)
 ヤンソンスは悪くありません。VPOとのショス#5(EMI)で聴く限り、それほど「熱い」ショス(私はタコとはとても言えませんね。)をやるわけでもないようです。しかしながらブラームスではかなり熱くなっていたように思います。このあたりの見解の相違に興味と共に、疑問も湧いてきます。
 生でなら聴いてみようと思いますが、レコードを買ってきてまで・・・とは思いません。この感覚は奇妙ですか?しかし私は、「生が聴けるうち(人)は、レコードでなんて聴かなくても、」という主義を持っています。
 ところがヤンソンス、名古屋地方には来てくれません。先だってのBPOといい、今度のピッツバーグといい。(ア○ドのBPOなんて聴きたくもないが、ヤンソンスなら聴いてみようという気にさせられるのに。)
 ヤンソンスの件に限らず、最近名古屋地方はどうも冷遇されているような気がしてなりません。聴きたいと思うアーティストが来てくれません。かといって、じゃあ東京、大阪まで聴きに行こうと動かされるだけのものも、残念ながらヤンソンスぐらいでは、ないんですね。

 さて、このレコードでの聴きどころは、やはり2、3楽章のスペクタクルなところでしょう。ここでのプレヴィンは熱いです。しかし、それがために音楽を壊してしまうことは決してありません。あくまでも確固たる造形感覚あってのことです。(音楽における造形とは何ぞや、という疑問はいちおうおいておくとして・・・。)
 3楽章後半で出てくる、とんでもなく後ろの方にいるシンバル、左スピーカーのまさに真後ろに(隠れて)いるとしか思えない小太鼓。
 すごい立体感(奥行)です。
('01/11/24)

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ラヴェル:子供と魔法/マ・メール・ロア
アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団 他

DG POCG-10201

Recording: London, Abbey Road Studios, Studio 1, 6/1997
Executive Producers: Nigel Boon, John Fisher
Recording Producer: Christian Gansch
Tonmeister (Balance Engineer): Gergor Zielinsky
Recording Engineer: Wolf-Dieter Karwatky
Editing: Wolf-Dieter Karwatky, Mark Buecker
Cover Illustration: Chuck Jones
Art Direction: Fred Munzmaier

 DGのプレヴィンといえば、これも忘れられません。
 
 このレコードは、はっきり言ってジャケ買いしました。私は基本的にオペラは聴か(見)ないし、ましてやこれは全く知らない曲でした。
 しかし、プレヴィンということと、このジャケットの魅力に引かれて買ってしまいました。聴いてみると結構おもしろいところもあるとは思いましたが、何よりもその録音の優秀さにはたまげました。
 空気の密度感が違います。もうスピーカーの間で空気がどろどろしているようです。そこだけ濃縮されているようです。
 
 これはアビー・ロードスタジオでの録音のようですが、私はまた事情には全く疎いですから、EMIのもの?であろうスタジオで、DGが録音する?という単純素朴な疑問が湧いてきます。
 珍しいことなのか、当たり前のことなのかは全く知りませんが。

 結果がよければ、そんな事情なんてどうでもいいんですけどね。
('01/11/24)

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マーラー:交響曲第4番
リッカルド・シャイー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
DECCA POCL1919

Producer: Andrew Cornall
Recording engineer: Jonathan Stokes
Recording & post-production facilities by Classic Sound Limited
Recording location: Grote Zaal, Concertgebouw, Amsterdam,
16, 20, 21 & 24 September 1999
This recording was monitored on B & W Loudspeakers
Editions: Karl HelnZ Fussl & Reinhold Kubik

 メジャーが続きます。私としては不本意であり、不覚でもありますが、いいものはいい。やはり押さえるべきところは押さえておかなければ沽券に係わります。
 
 まず驚かされるのは、冒頭の「鈴」の音です。これまたとんでもない後ろの方から聞えてきます。思わず「おーい、やっほー。」と呼びかけたくなってしまいます。
 やはり広大な空間が広がっています。

 私はマーラーなんてたいして好きではありません。しかし4番だけは時々聴きます。そしてシャイーのマーラーだけは比較的いい印象を持っています。
 徹底的に音響美にこだわる。マーラーの苦悩やら、鬱陶しいその他の周辺事情には一切関知しない(ように見える)。こういう空虚さこそマーラーの音楽に相応しいのではないかと考えています。

 同じコンビによるマーラー5番(DECCA 458 860-2)も同傾向。おそらく同じチームによる録音でしょう。
 やはり冒頭のファンファーレ。右手奥から発せられた音が、後ろの壁伝いに左手の方へずーっと伝播していく様子が実にリアルです。音を追って目線が付いていってしまいます。
 後はもうゴージャスな音の饗宴。後味すっきり、気分爽快なマーラーですね。
 残るのものは虚しさのみ・・・。
('01/11/24)

敢えてシャイーのマーラーを聴く

マーラー:交響曲第5番
R・シャイー/ロイヤルコンセルトヘボウO


 シャイーのマーラーを聴くのに「敢える」必要があるのでしょうか。
 いえ、別にありません。フツーに聴いていただければ結構なんですが、敢えて「敢えてみる」ことにします。
 
 ここで敢えてシャイーのマーラーを取り上げた理由は、同じく2番「復活」がリリースされるのを記念してです。
 多分それ(2番)もいい演奏になっていることと思います。しかし私は今のところ買う予定はありません。
 そもそもマーラーの2番なんて、冗長で大袈裟で恥ずかしい曲なんですが、これをさらに情熱的に、どろどろに、狂おしくやられたら、私はとても聴いていられません。
 こういう曲は、やはり大人の演奏で聴きたい。そしてこれぞその極めつけではないか、という演奏を既に手にしています(ギーレン盤のこと)。従ってこれ以上無意味にレコードの数を増やすことには慎重になっています。
 
 して、シャイーのマーラーはどうなんでしょう。
 私は「シャイーのマーラーなら聴いてもいいな」と思っています。シャイーのように、無表情に、クールにやってくれれば音響美として楽しめます。
 逆にシャイーの、他の作曲家なんて聴くに耐えません。(例えばブルックナー。そしてこんなものはとても恐くて手を出せません―未聴です―が、ブラームス。)
 
 このシリーズの特筆すべき点は、その音響美を心ゆくまで堪能できるオケの技量と、それに輪を掛けて素晴らしいレコーディング(音質)です。
 これはモダン楽曲とモダン指揮者とモダンオケとモダン録音の、誠に幸福な出会いと融合であるといえましょう。これぞ現代の録音芸術を聴く醍醐味です。
2001年1月21日(月)

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シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」(1-4)
ワーグナー:「タンホイザー」序曲(5)
フランツ・コンヴィチュニー指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
SUPRAPHON COCO-78207

Recorded ar the House of Artists, Prague, on Apr.1 27, 1962(1-4) and Feburary 1-3, 1960(5)
Recording directors Miloslav Kuba(1-4), Ladislav Sip
Recording engineers: Miloslav Kulhan(1-4), Frantisek Burda

 一応、各レーベルから代表、という感じで。
 デンオンなんですが。私はデンオンと言われてもほとんど持っていないんですね。あまり縁がないんです。数枚からせいぜい10枚。何とも寂しい限りなんですが、このレーベルは外れは少なく、平均点は高いと思います。そんな中から演奏も悪くないもの、ということで。

 まず録音ですが、これは私が理想とする奥行感には少し欠けます。その代わりと言っては何ですが、前にせり出してくる感じは強いです。そして何とも特徴的なのがその音の色彩感というのでしょうか。極彩色カラーというか、輪郭がはっきりしているというか、悪く言うとどぎつい感じもしますが、これもいい音のひとつのカタチでしょう。

 それよりも肝腎?の演奏の方なんですが、「グレイト」の名演としてこれを挙げる人がほとんどいないことに私は驚きます。私も残念ながらこれはベストではないのですが、3〜5本の指には入ってきます。
 いったい何を聴いているのでしょう・・・、と言うとまた角が立ちますが、演奏・録音ともにかなり優秀、ということで「名盤」の呼び声が掛かってもおかしくはないと思っています。
 さあ、だまされたと思って、ひとついかがでしょうか。
 
 カップリングのタンホイザーもかなりいい線いってると思いますけど。(これまた残念ながら、私はワーグナーにも積極的な興味がないので、他の演奏をほとんど知らないのですが。)

 それにしても昔のチェコ・フィルはよかった。それに引き替え、今はいったいどうしてしまったのでしょう。
('01/11/24)

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ムソルグスキー:展覧会の絵
大植英次指揮 ミネソタ管弦楽団

REFERENCE RECORDINGS RR-79CD

Recorded: October 1 - 3, 1996 at Orchestra Hall, Minneapolis, MN
Producer: J. Tamblyn Henderson, Jr.
Recording Engineer: Keith O.Johnson
Associate Producer: Richard L.Malone
Executive Producers: Marcia Gordon Martinn,JTH
Editing / Mastering: Paul Stubblebine,JTH
Design: Bill Roarty,JTH

 さあ、リファレンス・レコーディングです。このレーベル抜きに優秀録音は語れないと申し上げます。いや、断言致します。
 
 音質については、もう何をか言わんや。一点の曇りも濁りもない、純粋透明。鑑(かがみ)とはこういうことを言うのかもしれないと思いました。目の前に演奏会場そのもののイリュージョンが・・・。
 そして、低音のとらえ方が素晴らしい。音にならない、「ずん!」とくる感覚。よく言われる「風圧」とはまた違う。「揺れ」「衝撃」と言ったほうがより近いだろうか。
 これはHDCD仕様ですが、私のプレーヤーは対応していません。にも関わらず素晴らしい音を出してくれます。

 たまたま、楽曲の好みでこのレコードを選んでみましたが、このレーベルならどれを選んでも間違いないでしょう。大植は、自分たち(オケと)の録音にあたり、複数のレーベルを比較検討し、ここに決めたそうです。大変賢明な選択でした。
 大植嫌いな向きにはスクロヴァチェフスキーもあります。ブルックナー9番の「旧録」です。(RR-81CD)
 録音技師 Keith O.Johnson(キース・O・ジョンソン)。この名前はアーティストと同じくらいの重要性をもって、記憶されるべきだと思います。

 とにかく、このレーベルを聴いていないんじゃ話になりません。さあ、こっそり、そして慌てて買いに走るがよい。
('01/11/24)

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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4、5番
イストヴァン・ケルテス指揮 フィルハーモニア管弦楽団
ハンス・リヒター=ハーザー
ROY 6413

録音:1962(4番)、1961(5番)
EMI原盤

 これは、廉価盤故?詳細データが省略されている。分かる範囲で簡単に記述しておきます。

 ある日、何気なく?このレコードを聴いていて、その音質があまりにも良いのに気付いた。思わず引き込まれてしまいました。(もちろん演奏も素晴らしかったからなんでしょうが。) 
 廉価盤レーベル故に、何も足さない、何も引かない、結果的にオリジナル(録音)に最も忠実な作品(レコード)が出来あがる。そういう例のような気がする。
 ホワイト(ヒス)・ノイズたっぷしも、それを証明していると思います。

 EMIの音の特徴は、「音がとがっている」ことではないだろうか。良くも悪くもである。ある場合にはそれが飛び出す絵本のように、こちらに付き刺さってくるよに聴こえる、ある場合にはそれがはるか後方に深い音場(像)を結ぶ。
 これは後者の例である。聴いていて文字通り奥へ奥へ引きこまれるような錯覚を覚えた。

 ところで、改めてこのレコードのデータを見て驚いた。そうEMIなのである。私はケルテスの研究?にも特別熱心なわけではないが、ケルテスといえばDECCA(その他BBC、オルフェオがちらほら)。このレコードはかなり意外な気がしました。(「意外」と「以外」が区別できない○学生・・・。)

 EMIの録音は、多分再生がとても難しいと思います。装置を最高のコンディションにもっていかないと本当の音が出てこないと思います。だから、中途半端な音で聴いていると、「高域に問題がある」だの、不平が出てくるのだと思います。「ARTは〜だが、HS2088は〜、だ」とか。
 それからRCAもそうです。へたをするととても貧弱に聴こえます。しかしそれは誤り?です。状態が良くなってくると、とても透明感のある深い音場が現れます。このレーベルは平均遠め・深めであるようです。ですから平面的にしか再生できないと、貧弱に聴こえます。

 「音場」と「音像」。これについて、ある時不思議な記述を読んだことがあります。たしか書籍であったはずなんですが、うっかり読み流してしまったため、もう一度捜そうとしても、どこに書いてあったのか見つかりません。
 大意はこうでした。「この装置は、音場派には良いが、音像派には向かない。」
 私はとても奇異に思えました。何を言っているのでしょうか。私の考えでは、音場がしっかりしてくるとその中に音像がきちんと定位してくる。そして、左右関係はもちろん前後関係もはっきりわかって立体(奥行)感が出てくる。かくのごとく、この両者は表裏一体、一心同体、一連托生ではないのか。
 「音場は良いが、音像は悪い。」そんなことは、私には考えられません。多分そういう人たちは「なんとなくぼんやりした雰囲気」を音場と勘違いしているのではないかと思います。エフェクトをかけると音場感がよくなると勘違いするような。
 私の経験では、音場というのは、はっきり「ここからここまで」、と線が引けるくらいはっきり認識できるものです。そして、その中に音像が「そことこことで、その間が何センチ」と測れそうなくらいシャープに定位します。くどいですが、「前後」もです。第一ヴァイオリンの右後ろに第二ヴァイオリンがいるな、と。
 だから、「対抗配置だと左右の掛け合いがおもしろく立体感が出てよい」と聞くと笑えてしまいます。私は前後の立体感を堪能しています。

◇ 

 しかし、このレコードを今改めて引っ張り出して聴いてみると、演奏はかなり「と」っぽいところがありますね。
 残念ながら、今私が求めるベートーヴェンとは少しイメージが違います。
('01/11/25)

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ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」
ドビッシー:海
C・M・ジュリーニ指揮 R・コンセルトヘボウ管弦楽団
SONY SRCR 2016

Producer : David Mottley
Engineers : Sid McLauchlan (ドヴォルザーク) , Marcus Herzog(ドビッシー)
Recording : May 7 &8, 1992(ドヴォルザーク), February 23 - 25, 1994(ドビッシー)
Concertgebouw , Amsterdam
Cover Painting: Dr. Alberto Giulini.(注:医師でもある子息です)

 私は、「新世界から」の決定盤がなかなか見つからないでいました。一時的にケルテスあたりはいいな、とは思ったものの、時がたつにつれ、どうもこういうスタイルは疲れるし、飽きも来やすいなと、思っていました。
 スメターチェク。なるほどねぇ。こういうスタイルに感激してしまう人の気持ちもわかります。しかし、やはりこれは私の求める姿ではありません。
 
 そんなある時、ジュリーニのこれを聴き、思いました。「なんだ。まさにここに私が求める理想の姿があったんじゃないか。」
 私はジュリーニを非常に高く評価していますが、全体的に、漠然といい、と思っていました。ところが、個別にみても、これは同曲の最高レベルの演奏であることに気付いたんです。
 と、同時にその録音の優秀さにも改めて気付いて驚嘆したものです。
 
 これまた、深い音場です。(奥行きが。)
 あるいはホールの特徴でもあるのか、やや霞のかかったような、とても柔らかい音です。
 これらがジュリーニの表現と相俟って、また私の持つこの曲に対するイメージと重なり、私にとっての「決定盤」「名盤」と相成った次第です。

 SONYの録音には定評があります。このレーベルは外れも少ないようで、やはり平均点は高いです。しかしながら、このレーベルのアーティストとなると、私の好みに会う人が誠に少なく、ジュリーニの十数枚以外には目立つほどのものがありません。しかし、これらはどれも名録音と呼んで差し支えないぐらいのレベルです。
('01/11/25)

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ブラームス:交響曲第3番
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮 ハレ管弦楽団
IMP CARLTON PCD 2039

Produced by John Boyden
Engineer :Trygg Tryggvason
Editing & post-production:Finesplice Ltd
Recorded in Free Trade Hall,Manchester
November 25th&26th,1987

 このレコードは、果たして紹介するべきか否か、迷いました。廃盤どころか、レーベル自体がなくなってしまったというのです。
 しかし、敢えてここに出してみることにしました。その理由は、目的は?
 このレーベルの録音は良い。その良さを言葉だけでもわかっておいて欲しい。そして、やはりそれならその音が聴いてみたい。そういう要求が高まって、将来、別のレーベルからこれらの音源が再度リリースされることもありえないことではないからだ。
 昨今の発掘、復刻ブームを見るにつけ、そういう可能性も皆無ではない。そして、ここに掲げることが、そのためのほんの路傍の石にでもなればと考えた次第である。

 かく言う私もカールトンには悔いが残っている。ペーター・マークの数点のアイテムを入手しそこなっているのだ。
 
 さて、この録音ですが、透明感、奥行感も十分。イギリスのオケらしい、冷たい弦の響きが印象的です。向こうのほうから聴こえてくるような金管の響きも、何となく安心感を誘います。直接的に耳に突き刺さってこない優しさ。
 但し、編成がやや小さいのか、弦の厚みといった豊かさには欠けます。そしてピッチも不揃いであるかのようなばらつきも感じられます。
 ごまかしがきかない、アラが隠せない、ヘタなのがばれてしまう。このあたりが優秀録音であるが故に、諸刃の剣となってしまいます。

 同じコンビによるブルックナーの4番も名演です。ザールブリュッケンとの新録とも甲乙つけ難い出来です。(音質についても。)
('01/11/25)

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ブラームス:交響曲全集
クルト・ザンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団
CAPRICCIO 08-10 600-(653)

Recording: Berlin, Christuskirche, 1990
Recording Supervision:Heinz Wegner
Recording Engineer: Eberhard Richter
Technician: Hartmut Kolbach
Digital editing: Thomas Albrecht

 これまた、あきれるほど素晴らしい音質である。
 音像が全体的に深い位置にある。遠いのである。私の場合、スピーカーから後ろの壁まで、1.2mほど間隔があるが、最後列の奏者など「おーい、大丈夫ですか?外へはみ出していませんかー?」と聞きたくなってしまうほどだ。

 私にも経験があるが、装置の状態が悪い時にこのレコードを再生すると、とてもぼんやりした音に聴こえる。
 「へっ、こんな残響もやもやのボケボケの音を、いい音だなんて勘違いしてるのか。」しかし、それは大きな間違いである。装置の状態が良くなってくると、音像がはっきりしてくる。そして、最初に述べたように、とてつもなく深い空間がようやく姿を現すのである。ちょうど霧が晴れてくるように。
 
 肝腎の演奏である。これは私が申すまでもなく、名演の定評微動だにしないところであろう。
 しかし、である。こういうスタイルの演奏を受け付けない、あるいは毛嫌いする向きがあることも、私は大いに理解できる。
 それは所詮好みの問題なのだ。絶賛する人が半分いれば、誹謗中傷罵詈雑言する人もまた半分いるのである。それはやむを得ないし、当たり前だとも思う。
 
 だが、この録音が「好みではない」とは言えても、「悪い」とは言えないはずだ。もしそうだとしたら、それは明らかに装置に問題がある。
('01/11/26)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 他
ネーメ・ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団
Vn:シルヴィア・マルコヴィッチ
BIS CD-372

Recording data: 1987-06-15/17 (Concerto, Overture, Menuetto), June 1986 (In Memoriam) at the Gothenburg Concert Hall. Sweden
Recording engineer: Michael Bergek
Digital editing: Michael Bergek
Sony PCM-F1 digital recording equipment, 1 Neumann SM69 and 2 Neumann M269 tube microphones, Swedish Radio mixer
Producer: Lennart Dehn (Concerto. Overture. Menuetto), Robert von Bahr (In Memoriam)

 優秀録音といえば、これまた定評あるレーベルである。優秀録音のメジャーと言ってもよい。
 ここの秘密?は、機材の吟味とシンプル化にあるようだ。厳選したマイクシステムと、趣味の生録と言ってもいい?ようなレコーダーで、CDと同じフォーマット(16ビット44KHz)で録音し、そのままコンバートなしでCD化。
 これぞ何も足さない、何も引かない。素材そのもので勝負。CD界の「刺身」といっていいだろう。
 ありきたりなたとえですが、どこまでも澄み切った空気感、まさに北欧の広々とした、そして寒々とした平原をイメージさせる。聴いている部屋の空気まで冷(ひ)んやりとしてきます。
 これはヴァイオリン協奏曲ですが、ソリストが動いてヴァイオリンの向きが変わると、音の飛んでいく方向がそのつど変わるのが分かる。「あっ、左を向いた。」「今度は右を向いて、楽器も上を向いたから、音が右上に飛んでいく・・・。」本当ですか?
 ・・・いえ、ウソです。私の妄想です。

 演奏そのものも優秀。同曲中でもトップクラスに位置するものでしょう。

 このレーベルの録音は全体に優秀。どれを選んでも外れはないでしょう。リファレンス・レコーディングと並ぶ、「2大マイナー?優秀録音レーベル」です。(最近 hanssler がその一角に食い込みはじめ、「2.5大」になりつつある。)
 尚、データ中の Robert von Bahr(ロベルト・フォン・バール) は、BISの主宰(社主)です。
('01/11/28)

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シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
エードリアン・ボールト指揮 BBC交響楽団
BBC BBCL4072-2

Recording:Royal Festival Hall, London, 8 March 1963 (Cherubini)
Promenade Concert, Royal Albert Hall,London, 11 August 1969 (Schubert)
BBC Studios, London, 26 September 1954 (Cornelius)

Remastering: Harkus Karl Stratmann, Mareus Herzog (Syrinx music a media, Hamburg)

 ワタクシ、実は、かつてこのレーベルに対して、疑念を持っていました。
 あるレコードを聴いたとき、「あ゛ーっ、エフェクトたっぷり掛けてる・・・。」そう感じたのです。それ以来、このレーベルが好きになれませんでした。それがどのレコードであるのかは、今は名誉のために伏せておきますが。
 
 最近このボールトの「グレイト」が発売されました。
 「BBCかぁ・・・。」そう思いました。しかし、ボールトの「グレイト」といえば、その筋?では名演の誉れ高い評判です。「やっぱり、どんなもんか、いちおう聴いておく必要はあろう。」渋々でしたが、買ってみることにしました。(渋谷ではなかったですが。)
 
 期待した演奏がそうでもなく、たいした期待もしていないのが名演である、ということはよくあることです。そして圧倒的に多いのが前者ですが、これは、数少ない後者の例でした。奇跡でした。今年最大の収穫と言ってもいいでしょう。

 私は完全にノックアウトされてしまいました。噂(評判)通りでした。まさかこれほどとは。
 驚くべきことに、「ザ・グレイト」のナンバー2にランクインする運びと相成ってしまったのです(ナンバー1はザンデルリンク盤)。
 
 演奏について触れるのがここでの主旨ではありません。(「主旨」と「趣旨」の使い分けが難しい。辞書を読んでもさっぱりわからん・・・。)
 問題はそう、録音なんですよ。これがまた驚異的音質なんですわ。
 これも究極のシンプルリマスターと思われ、会場ノイズ「まま」出しなんです。プロムス特有なのか、イギリス特有なのかはさっぱりわかりませんが、ガサガサゴソゴソ、ゲホゲホゴホゴホ、もう騒音と言ってもいいくらいです。音楽がマスクされちゃっているくらいですから。「合成したんとちゃうか・・・。」と一瞬思ってしまいます。そういう雰囲気のなか、「平然と」音楽が進んでいく様は見事ですね。
 で、そういうことから、どう録音が優秀なのかがわかるかといいますと、

 「ノイズを出しているのが、客席の何列、何番の客かが特定できてしまう」んですよ。
 「ンな、バカな!」
 「・・・。」
 
 申し訳ありません。ワタクシまたウソをついてしまいました。
 いえ、何列・何番かまでは、チョト大袈裟ですが、奥行・幅(左右の位置)の関係から、「あっ、あそこの客。あっ、こっちの客・・・。あっ、さっきの客、また音出しやがった・・・。」そういうレベルのところまでは、わかってしまうんですよ。
 ウソだと思うんなら一度聴いてみてください。
 でも、わからなかったら、こう思ってください。「あの、イカサマヤロー・・・!」 でも、思うだけにしてくださいね。

 思うに、あの頃(エフェクト疑惑を持った頃)は装置の調子が今ほどでなく、そのあたりの見極めができなかったからだとわかりました。
 と同時に思いました。
 「そうか、装置の状態が不充分だと、たっぷりしたホールトーンや空気(奥行)感が、ぼんやりした残響(どう違うんだ?)に聴こえてしまうのか。モヤモヤ、ボケボケという表現を使う人は、きっとこういう状態で聴いているんだな・・・。」
('01/11/28)

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シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮 ミネアポリス交響楽団
MERCURY PHCP 10314

Recorded:11/1961,USA
Recording Director: Wilma Cozart
Musical Supervisor: Harold Lawrence
Chief Engineer and Technical Supervisor: C. Robert Fine
Associate Engineer: Robert Eberenz
Produced, musically supervised, and 3- to 2-channel
conversion for Compact Disc by Wilma Cozart Fine
Mastering Engineer for Compact Disc: Andrew Nicholas
Liner Note Editor: Sedgwick Clark
Only ORIGINAL MASTERS used for transfer to Compact Disc.

 マーキュリー殿にござりまする。このレーベルはライナー・ノートに詳細がありましたので、自ら語っていただくことにいたしましょう。

マーキュリー・リヴイング・プレゼンスについて

 1951年にマーキュリー・レコードから出されたラファエル・クーベリック指揮シカゴ交響楽団による《展覧会の絵》は、Hi-Fiサウンドの世界に、驚異的な衝撃を与えた。この有名なオーケストラが、レコードでこれほど鮮明に響いたのは初めてだった。これは最先端のオーディオ・エンジニア技術者であり発明者である故ロバート(ボフ)・ファインの創造した新録音技術の成果だった。
 この新しいレコードは「まるでオーケストラを生で聴いているようだ」と『ニューヨーク・タイ
ムス』の主筆評論家ハワード・ハウブマンに評価された。この画期的なレコードに続いて、マーキュリーのクラシック録音チームは、”LlVING PRESENCE”と名づけたこの独自の手法で、その後17年の間に350枚にのぼるアルバムを制作した。
 ボフ・ファインはオーケストラの録音について、独自な発想を持っていた。当時オーケストラ
の録音では、普通の場合オーケストラ全体に数本から多数のマイクロフォンが立てられた。パート毎に、そしてそれぞれの楽器毎に、マイクが使われたのである。1人のエンジニアが操作するミキシンク・コンソールに信号が送られ、彼がそのバランスを取る。ファインは、もしホールの音響が優れているなら、1本の非常に敏感なマイクがあれば、シンフォニー・オーケストラの音を前例がないほど鮮明に、リアルなバランスと明確な音像で捉えることが可能だと考えた。
 もちろん以前にも1本マイクによる録音は行なわれていた。しかしストラヴインスキーの《春の祭典》やチヤイコフスキーの《1812年》序曲などのような大規模な管弦楽曲を、その手法で録音するという発想は、1950年代の状況を考えれば、大胆で画期的なものだった。
 LlVING PRESENCEのレコーデインク・テクニックは、単純そのものである。まず各々のマイ
ク(モノラル用には1本、ステレオ用には3本)の高さ、角度、位置が、オーケストラの音量とホ
ールの物理的な性格、音楽作品の性質に従って決められる。最終的な配置は、録音ディレクターとエンジニアの協議で決定される。
 ステレオ用の3本のマイクは無指向性パターンで設定され、オーケストラ(常に通常のコンサート形式で配置する)の前面に吊り下げられる。このようにオーバーラップのパターンを取ることによって、すへての楽器群をカバーすることができる。マイクの出力は、1/2インチの3トラック・テープ・レコーター(または35ミリのマグネティツク・レコーダー)に直接送り込まれる。レべルのチェックは楽曲の最大の音量の部分で行なわれる。その後、バランスとダイナミックスのコントロールは指揮者と演奏家たちにまかされる。録音の間は、いかなるリミッター、ブースター、イコライザーも使用されない。それもマーキュリーの録音がアーティストたちに歓迎される大きな理由のひとつになっている。
「タッチ・アップ」、すなわち予備マイクは、協奏曲やオペラ、ソリストや合唱、オーケストラの
入る作品でも1本も使われない。それによって真にクリアーな音のパノラマが、実際の演奏の遠近感と空間の広がりとともに、生き生きと捉えられることになる。
1961年に、マーキュリーは35ミリのマグネティック・フィルムを導入して、さらにLlVING PRESENCEの技術を高めた。トラックの幅が広く、スピードが速く、厚さがあるため、35ミリのマグネティツク・フィルムでは、周波数のレンジとトランジェント・レスポンスをさらに拡大し、楽器の音質をきわめて正確に捉え、音場の深さと広さを増加させることが可能になる。最終的なリリースの段階では、編集された1/2インチの2トラック・マスターからラッカー・マスター・ディスクがカットされ、第3の、すなわちセンター・チャンネルが最終的な音像を決めている。
 LlVING PRESENCEテクニックの成功はしかし、制作部門の中で単独でなしとげられたものではない。マーキュリーの元副社長で、LlVING PRESENCEの録音の多くを手がけた録音ディレクターでもあったウイルマ・コザート・ファインは、こう語っている。「これはマーキュリー・チ
ームの緊密なパートナー・シップ、互いに共通の目標を持ち、録音の現場から編集、マスタリンク、最終の仕上げにいたるまでプロセスのいかなる場面でも細心な管理をこころがけた仲間たちの所産なのだ」。
 マーキュリーのLlVING PRESENCE時代は、レコード界に大きな衝撃を与えた。これらのCDは、その目覚ましい成果を甦らせるに違いない。

 ハロルド・ローレンス 
 MERCURY LlVING PRESENCE 元ミュージカル・スーパーバイサー

 ということでござりまする。
 あとは、自らその成果を聴いて、判断していただくここといたしましょう。私如きが何をか言わんや。
 それでは、これにて失礼いたしまする。
('01/11/28)

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メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」
ペーター・マーク指揮 マドリッド交響楽団
ARTS 47506-2

Recording Auditorio Nacional de Musica, Madrid - Espana - 7-1997
Productin and Recording Supervision : Gian Andrea Lodovici
Sound engineers :Matteo Costa - Marco Lincetto
Dlgital Editing: Matteo Costa
Technical lnformations

This is an AUDIOPHILE RECORDING
Microphones: 2 Schoeps MK-2S Linear
On stage microphone preamplifier: Millennia Media HV-3
On stage 20 bit digital converter: Prism Sound AD-1
20 bit digital tape deck: Tascam DA-88 with Prism Sound MR-2024T digital interface (20 bit)
Microphones cables: Klotz Starquad (less than 10 m)
Digital cables: Klotz AEY-122
24 bit digital editing on SADiE v.3

This disc has been recorded with two Schoeps MK-2S Linear Microphones only.
During the recording of the digital masters the audio chain was transformerless.
The signal was not compressed or equalized at any step during production.

 アーツ、RCA、括弧つきで、フィリップスなどは、再生が難しいと考えています。これらのレーベルは装置の状態が最高に良くならないとその真価がわからない。最後の最後にようやくいい音が出てくるレーベルです。
 アーツは音像が近めですから、奥行感が出てこなくてもそれなりの音はします。しかし、RCAは、音像が深いとことにあることが多く、そして間接音(ホールトーン)が多いため、状態が悪いと、とてもぼんやりした「冴えない」音に聴こえることが多いのです、このあたりがRCAの一部の録音で、「音質が悪い」と誤解されている原因だと思います。フィリップスもそういうところがあります。
 そして、音が冴えないと演奏も冴えないと判断されることも多いため、よく気をつけなければなりません。
 
 これは、もちろんどんなレーベルについても言えるわけですが、例えば、DGやデッカなどは、高域の華やかな部分だけ聴いても「ああ、これがいい音(質)なんだな。」と、勘違いして納得することもできてしまいます。ごまかしがきくように「巧妙」に細工されている、ということでしょうか。

 しかし、マイナーレーベルは、良心的に、誠実に、あるいは、余分な経費が掛けられないために、「原録音」に忠実にリマスターしてくるようです。そして録音機材も吟味していることが多く、またポリシーもしっかりしているようです。

 このアーツのライナーノートにも、録音について、かなり詳しく書かれています。「音楽ファン」にとってのその是非はともかく、少しでも良い(あるいは最高の)音で、という意気込み?が感じられます。
 だとしたら、再生するほうも、それに応えるべく努力するのが礼儀ではないのでしょうか。何よりもアーティストへの、そして作曲者へのそれとして。

 して、演奏は?
 マークのメンデルスゾーンに、何の説明の必要があろうか。ただ、だまって聴くだけでよい。
 ('01/11/30)

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ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」
コリン・デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団
LSO 0001 CD

Barbican Center 29 & 30 September 1999
James Mallinson producer
Tony Faulkner sound engineer

 C・デイヴィス/ロンドン交響楽団、このコンビの録音は全て優秀である。レーベルを問わず・・・である。これは、はっきり言い切ってしまってよい(キッパリ)。

 このレコードも、マイナーレーベル?故、おそらく最小限のプロセスでマスタリングされたと推察され、その音の鮮明さは比類がない。
 たとえば、椅子(あるいは床?)のきしむ音、これが四六時中あちこちから聞こえ、うるさいくらいである。しかし、その他の通常演奏者がよく出すノイズはそれほどでもない。緊張感の感じられる演奏だ。

 レコ芸’01年12月号に興味深い記事がある。

 一方のバービカンは、七○年代の典型的なビルとして建てられたのだが、これほど人気のない建物も珍しい。
 その中にあるロンドン交響楽団(LSO)の本拠地バービカン・ホールは、これまたひどい音響で有名だったのだが、今年の春から夏にかけてバービカン・ホールの音響を改良する大がかりな工事が行われた結果、このホールの音響は眼に見えて良くなった。
 眼を閉じると、これまでと同じホールにいるとは思えないほど改良された音響空間が広がる。
ロンドン 下田季○子

 ということはですね、このレコードは音響のあまりよろしくないホールで録音されたということで、そういえば、ホールトーンはほとんどないことに気付きます。音が鮮明であると感じられるのもそれが一因であるかもしれません。
 しかしながら音(楽)がちっともドライにならないのは、やはり録音技師の腕前でしょう。

 さて、そうなると楽しみなのはこれからです。このコンビの録音は現在進行形で、また続々と予定もされています。「眼に見えるほど」(耳に聴こえるほど、でないのがとても残念だが、)よくなった音響で、いったいどのような音楽を聴かせてくれるのでしょうか。
 ドヴォルザーク、ベルリオーズ、ブルックナーと来ていますが、次はブラームスあたりでしょうか。いずれにしろ、この現代最高ともいえるライヴが、少しでも長い間続けられるよう祈るばかりです。

('01/12/01)

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'01/11/23