”あまから手帖”8月号暑気払メニュー100に純手打ち麺・キタッラ麺の6種類が掲載。

つるつる星人のパスタ週間

蜘蛛の糸ならぬ麺の糸。それは夏の暑さ、ダルさから救い出してくれる一筋の光明。夏は麺にすがって生きる。細く、長く。そして旨く。どこまでも続く麺な日々にあなたを誘うつるつる星の最初の使者は、手打ちパスタの巨匠・安藤宗雄氏だ!

撮影/宮本進文/桧本葉子

月曜・純手打生麺ムール貝トマトソース1700円※夏季限定・数量限定・要予約

シェフ自らが手打ちする生麺の夏バージョン。具はこの季節においしくなるムール貝をたっぷり。香辛料はあえて利かさず、トマトも控えめ。絶妙の火の通し加減のムール貝の旨みが手打ち麺に絡んでたまらないコクに。

火曜・キタッラ細(1.2o)麺レモンソース1700円

細目のキタッラは、レモンの爽やかさに包まれて、口の中でわらわらと騒ぎ、ぷつんと軽い歯あたりで一本ずつ切れるたびに、パスタの旨みが花開く。バジリコの香りがアクセントで、食欲がない時にもどんどんいけてしまう。

水曜・純手打生麺バター&パルミジャーノ1700円※数量限定・要予約

極めてシンプルながら、複雑なソースの味で食べさせるパスタ以上に迫力がある一品。上質のバターとチーズが、粉が麺になった時に生まれる力強い味や独特のコシなど、丁寧に作られた麺の魅力を余すところなく引き立てる。

木曜・蕎麦のキタッラ(1.5o)麺ボンゴレソース1600円

想像以上にインパクトのある独創的な麺。そば粉をふんだんに用いた手作り麺は、ボンゴレという旨み濃厚なソースと合わせても決して負けないパワーがある。そばにオリーブ油やワインの風味がよく合うことも驚きだ。

金曜・冷製キタッラ極細(1o)麺1500円※夏季限定

舌の上で躍るコシとしなやかな喉ごしを兼ね揃えたこの極細麺だからこそ、冷製パスタというものの存在意義があると思わせる逸品。玉子とチーズのふわふわの奥にレモンの軽い酸味が響くソースもどこにもない新感覚だ。

土曜・ヴィーナスのおへそ入りブロード1600円※夏季限定

丁寧に取った牛と鶏のブロード(だし)に、詰め物入りのパスタが浮かぶ。優しい昧わいのスープ、滑らかな食感のパスタ、少しスパイシーな詰め物という異なる味と食感のバランスがほど良く、暑さに疲れた身体にもうれしい一皿だ。


とにかく麺が好きでね。もとはフランス料理の世界におったんやけど、イタリアンに転向したのも”麺好き”という体質のせいかも。パスタはもちろん、そば、うどん、ラーメンとジャンルを間わなければ、1年で365食以上食べますね。そう、毎日−麺以上(笑)。そばは自分でも打つんですよ。石臼で挽いて、生粉打ちにして…:。あっ、パスタの話ね。うちの目玉メニューは手打ち手切りの生麺。イタリアによく行く人でも、これは知らない人が多い。イタリアにも手打ち麺がちゃんとあるんです。軟質小麦ーーうちのはイタリア産ねーーを卵だけで練って麺棒で伸して庖丁で切る。当然、乾麺とは食感も昧も全く違う。45度ずつ回転させながら麺棒で1o以下に薄く伸ばしていくと、機械で均一に伸ばしたのとは違う繊維の網の目の様なものができて、それが「味」になるんですね。イタリアではなんでかこれ、女の人が作ってる。僕もローマ郊外の店で女性の打ち手に習いました。ものすごく手間やし料理人が作ってたら採算あわへんからでしょうね。けど、こんなおいしい麺、日本でも食べてほしいじゃないですか。作れる人いいひんから僕が作りますよ。採算?それよりこの麺の魅力をみんなに知ってほしい。麺がおいしいから、ソースはシンプルなのがいい。バターとチーズだけでも充分。麺そのものが甘いでしょ?もちろん、これからも作り続けます。大変やけど(笑)。大変いうたら、このキタッラも。この針金を張った道具で麺を切るんやけど、この道具もいろいろ自分で作った。だんだん細いの作りとうなって、最後はとうとう1o幅。ほら、これ。針金を端から張っていくんやけど、途中で切れたら泣きたなるよ(笑)。キタッラの場合はカナダ産のセモリナ粉やけど、生地をこうしてね、お客さんの前で切って見せます。ただし、1oのものだけは厨房で。クーラー入ってるフロアで切ったらバラバラになってしまうから。それぐらい繊細なんです。そやけど、この1oのキタッラ麺があるから冷製パスタが作れる。苑でたスパゲティを冷水でしめて作るもんなんかとは全く違うおいしさです。うちにしかない。幌加内産のそば粉とセモリナ粉8:2で作るそば粉のキタッラ麺も僕のオリジナル。これ、ボンゴレも合うし、牡蛎のソースなんてもう絶品。知ってるお客さんは毎年シーズンになるの待ちかねて頼まはるし、うちのマネージャーは死ぬ前にはこれが食べたいって言うてるほど。ほかにショートパスタやニョッキもうちは手作り。例えばトルテリー二。”ヴィーナスのおへそ”って言うんやけど、アツアツのブロードと合わせたのを夏限定で出す。暑い時にかえってさっぱり食べられるんですよ。冬?ミートとクリームの濃厚なソースで出します。パスタって、地方色豊かなもんから独創的なものまで、本当にいろいろ。いっくらでもおいしいもんがあるし作れます。僕はそばも作れるけど(笑)。でもそばが食べたくなると新地の『とき』さんに行くことも多い。風昧ある十割そば、喉ごしのいい二八そば、どっちも好き。そうそう、そばつゆを分けてもろて、それでキタッラ麺を食べてみたこともある(笑)。これが驚くほど合う!麺の持ち昧が引き出されるんですよ。こんなことするのも、やっぱり麺好きだからでしょうね。

パスタを手打ちする安藤シェフ。しっかり作ったタネを全身を使って伸ばし、慎重に切る。根っから麺好きでなければ到底できない仕事。写真右端がお手製のキタッラ。

リストランテトリトーネ

新地の真ん中で本格的なイタリアンが味わえる店。安藤シェフは、本場での修業で磨いた腕と食べ歩きで鍛えた舌を基本に、独創性を加味してイタリア料理のおいしさを情熱的に伝え続けている。イタリア各地の郷土料理をはじめ、メニューは多彩。丁寧なサービスにも定評があり、前菜からドルチェまで充実した食事を楽しませてくれる。

●大阪市北区曽根崎新地1−6−23杉の家ビル1F 電話06・6346・1712 営・17:30〜翌1:30 止・(土曜は17:00〜23:00止、祝日は17:00〜22:00止)休・日曜、※8/14〜18予約ベター カードほぼすべて可 席・テープル48席 コース4500円〜、アラカルト1000円〜、ワインボトル3500円〜。

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