あまから手帖
寝る間を惜しんで作った、手製のパスタ道具が自慢や

メニューにたくさんの種類の生パスタが並んでいて、麺好きは歓喜するだろう。そのほとんどが、オーナーシェフ・安藤宗雄さんが道具から手作りしたオリジナルだ。 まずは「ショートパスタで一番のお気に入り」というガルガネッリ。細い棒に巻いた生地に機織りの櫛で溝をつけたエミリア・ロマーニャ州の生パスタ。その道具を改良し、試作を繰り返してできたのが、正方形の生地を棒に挟み、対称に刻んだ溝の上を転がして作るオリジナル。元々の丸い穴はS字になり、表面の溝も一方向ではない。だから、食べると重なりの多い部分は歯ごたえしっかり、薄い端はつるりとした舌ざわり。一個に様々な食感がある。そして、溝にはたっぷりとソースが絡む。「新しいパスタができるのが何より面白くて、店が終わってから深夜に道具をいじっています」と安藤さんは笑う。そんなパスタ狂いが高じ、特許まで取ってしまったのが、世界で最も細いキタッラ。アブルッツォ州のロングパスタだが、ここではなんと0.6mmの細さ。客の目の前で作ってみせる、夏だけのメニューで、素麺より繊細な歯ざわりに驚く。常時出す2mm、1.6mm、1.2mmのキタッラも、本場にないもの。
生パスタに夢中の安藤さん。今、大きな巻き簀を使って米を巻く生パスタ・ロートロを試作中。また、ここだけの生パスタが誕生しそう。イタリア人に自慢したい店である。
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