Dual KENDON KR-1 <製作編> 2002/01/23

1. KENDON CPU Radiatorとは
 KENDONオリジナルピラミッドバッファの開発で有名なKENDONさんが新たに開発された、従来の製品とは発想、構造がまったく違う、新しい形のCPUクーラーです。まずはKENDONさんのWebPageをご覧下さい。素晴らしさが分かる筈です。


 この新CPUクーラー、KENDON CPUラジエーターは、HFC-134aガスが封入されたヒートレーンを採用した未来型のCPUクーラーで、従来の空冷式ヒートシンクとは一線を画する冷却性能を発揮します。ヒートレーンとは、複数のヒートパイプを並列に配列し帯状としたようなもので、これにフィンを付与することで、極めて高効率な冷却性能を得ようとするものです。既存のヒートパイプ式空冷CPUクーラーとも全く別構造のものです。また、更にこのKENDON CPUラジエーターは、取り付け姿勢を選ばず、どのような姿勢で組込まれても最高の性能を得ることができます。CPU用空冷ユニットとして数々のKENDON独自の工夫を施しました。まさに21世紀の幕開けにふさわしい、最先端のハイテクCPUクーラーの誕生です

本文、及び写真はKENDONさん了承の上、引用させていただきました。ありがとうございます。


2. 何故Dualにするのか?
 KENDONさん開発のCPU Radiator(以下KR-1)は、単体での能力が他のクーラーより優れている事は雑誌の特集記事等でお読みになられた方も多いかと思います。そんな優れたクーラーを使って何が不満だ! 何て言わないで下さいね^^; 単なる趣味です。(爆)

まず、誤解をさける為に、AMD社製CPUは燃える程、熱くなるCPUではありません。(爆) ここまでやらないと冷却出来ない、OverClock環境下で安定動作しない等と受け止めないで下さいね。定格動作なら市販のクーラーを正しく装着すれば全く問題ないです。

 さて、前置きはこの辺で、本文に戻りましょう^^;

 KR-1を導入後、1年経過しました。当然、夏期も冷却能力を発揮していたKR-1ですが、ふとKR-1本体が熱くなっている事に気付きました。仕事柄、帰宅後にマシンの電源が入っている時間が長い事も要因ですが、OverClock状態(過電圧、高FSB)で長時間使用するとやはりCPUの発熱量もかなり多い様です。(爆 当然ですね!) 特に夏期ともなれば周囲温度が高い為、純空冷では能力ダウンは否めません。そこで熱くなったKR-1自体を冷却すれば良い!と考えた訳です。
熱くなったKR-1を冷却する為にKR-1を追加する。そんな単純な発想からのDual化です。思いついた頃は真夏、KR-1を入手したのは晩秋、そしてDual化完成は真冬(核爆) まあ、本当の意味で効果を発揮するのは半年先ですね^^; でも、半年もすれば今以上に熱いCPUが載っている可能性もあり?、楽しみです。


3. Dual KR-1に使用したパーツ
 1. マスター側(CPU側)クーラーの構成部品
品 名 内 容
KENDON KR-1-S370A (旧型番KR-1) KENDON CPU Radiator基本セット(Socket370・A用取付けキット付き)
KENDON オリジナルピラミッドバッファ OPB-1025 今回の構成では必需品
KENDON プレッシャープレートセット PP-1 ピラミッドバッファを強固に固定すると共に、AD-SOAを装着可能にします
KENDON OLGAアダプター OLGA-SOAT1 CPUコアの破損を防ぐと共に、冷却効率を向上します
KENDON 取付け強化アダプター AD-SOA CPUラジエターをマザーに強固に固定する事が可能となります
PGSグラファイトシート GS-25S 25mm角2枚セット CPUコアとピラミッドバッファ間の熱結合に用います
PGSグラファイトシート GS-40S 40mm角2枚セット ピラミッドバッファとKR-1間の熱結合に用います
松下製80mmファン FBA08T12H 厚さ15mmの薄型タイプ DC12V 0.26A センサ信号無

 2. スレーブ側クーラーの構成部品
品 名 内 容
KENDON KR-1Base KENDON CPU Radiator基本セット(取付けキット別売り)
SANYO 80mm高速ファンSF8-3400 80ミリ角、3400rpmの高速ファンとファンガードセット
 注記)使用するマザー、CPUによって構成が異なります。詳細はKENDONさんのWebPageで確認してください。

 これだけのパーツを集めると金額も凄い事になっちゃいます^^; KENDON CPUラジエーターKR-1に出会ってから約1年で念願のDual化にトライできましたが、はっきり言ってCPUより高価なCPUクーラーです。(爆)
マスター側に使用した薄型ファン以外は全てKENDONさんのWebPageより入手可能です。薄型ファンはDIMMとの干渉を避ける為に用いましたが、KR-1本来の能力を発揮させる為には指定ファンであるSF8-3400(スレーブ側に使用)を使用するべきでしょう。
お陰でAthlonXP搭載計画は先送りです。でも、何故かAthlonXP用のOLGAアダプターが既に手元に有ったりして^^;




3.組立て
 ここではDual化の為に必要な組立情報を説明しています。
個々の組立てに関しては、付属のマニュアルを十分読み、理解してから作業を開始しましょう。

1. KR-1を重ねる
嬉しい事に、KR-1には元々固定穴が両面についております。
KENDONさんにお聞きした所、KR-1の冷却面の加工精度は表裏共、差が無いとの事です。素晴らしいです。


固定穴を利用する事により、簡単に2段重ねが可能です。
接触面にはシリコングリスを忘れずに!
但し、十分綺麗に加工された冷却面ですので、グリスの塗りすぎは禁物です。表面に薄く塗布しましょう。

M3ビス4本で連結するだけでDual KR-1の完成です。
M3ビスによる連結部です。

ビスによる連結が可能なので、強固に確実に固定が出来ます。
元々綺麗に加工された冷却面ですので、ペルチェを挟み込むのも面白そうですが、今回は連結のみとしました。

いずれ、ペルチェを挟み込みたいですね。^^;

2. ファンを取り付ける
ファンを取り付けます。

この写真では、SANYO 80mm高速ファンSF8-3400を2台使用しております。
DIMMとの干渉が発覚して薄型ファンに交換後、撮影前にマザーへ装着しました。


高速ファンに指を入れるとマジ痛いです。ファンガードは必需品ですよ^^;
マスター側のファンはDIMMとの干渉を防ぐ為、ファンガードは付けません。また、分かりにくいですが、ファン左下側のファン固定ビスは使用しておりません。3本の固定でも十分です。

当然の事ですが、ファン同士の隙間が無い様に取り付けします。
ファン取付完了したDual KR-1です。
結構格好いいと思いません? 他では味わえない迫力ですよ。
排気側です。
今回は、ファンで吸い込んだエアーをKR-1に押し当てる風向で使用します。

吸い込み、吐き出しに関しては皆さん私見が色々あると思いますので、好きな方向で取り付けても構わないでしょう。
私はケース裏面の排気口に向かって排気をする為に、この取付を選択しました。


1年前に購入したマスター側の冷却フィンが結構痛んで見えますが、
現物はそれ程酷くありません^^;

3. マザーボードへ取付
取付には、KENDON 取付け強化アダプター AD-SOAを用います。

CPUソケット周りにある4個の穴を利用し、強固に固定する事が可能です。
従来のソケットの爪を利用する方法ではこれ程の大型クーラーを装着すると爪を折る危険が非常に高いのですが、KENDONさんのお陰で簡単に装着する事が出来ました。

どうですか、マザーボードの大きさと比較いただければ、Dual KR-1の大きさが理解いただけると思います。
マスター側に厚さ15mmの薄型ファンを用いる事により、DIMMソケットへの干渉を防ぐ事が出来ました。

DIMMソケット3個全て使用可能、またDIMMソケットへのアクセスも容易です。
DIMMソケット付近の拡大写真です。

電解コンデンサは干渉するので予め倒しておきます。
ファンとDIMMとの隙間は10ミリ弱ですので、通常の80ミリ角ファン(25ミリ厚)でもDIMMソケット1個を犠牲にすれば装着可能です。
排気側の写真です。

マザーボードの種類によっては、この位置にレギュレータが搭載されている事もあるので、注意が必要ですね。
今回装着したGA-7VTXHには干渉する物が一切ありませんでした。
排気側の拡大写真です。

CPU倍率変更のDipSWが見えますね。
スイッチがソケットから離れた位置にあるので、助かりました。マザーボードによってはジャンパー類が隠れる可能性があるので、注意が必要です。

隠れる場合は移設するなど、予め対処しましょう。
でも、ジャンパーレス化が進んでいますので、余り心配する必要は無いかもしれませんね。
ファンとDIMMソケット間の拡大写真です。

電解コンデンサのリード線が見えます^^;
ファン下部とマザーボード間の隙間は決して余裕があるとは言えません。
KR-1装着の可否は十分確認してから購入して下さいね。

今回、ファンは当然2台使用しますので、ファン電源コネクタも2個使用します。GA-7VTXHはCPUソケット横に2個並んでいますので、ちょうど良いです。
ファン2台の電源を接続した状態です。

マスター側のファンはリード線が5cmしか無いので、ファン下部に綺麗に納める事が出来ました。
スレーブ側ファンのリード線は、他への流用を考え、短く切断する事は控えました。

4. ケースへ収める
分かりにくいですが、ケース側面より飛び出しております ^^;

このケースはマザーボードを取り付けたままマザー固定部分が後部に引き出せる構造になっていますが、Dual KR-1が干渉する為、固定部分を先に取付、マザーボードを固定する羽目になりました。

うーん、狭い所へマザーボードを取り付けるのは結構厄介ですね。

作業時にKR-1を持つ事は危険です。Dual化したKR-1の重量は1kgを超えており、マザーボードに相当の負荷を掛けています。持ちやすいからと言って、KR-1を取って代わりにすると、最悪マザーを破損する危険があります。

取付には十分注意しましょう
ケースへの取付の完了したDual KR-1です。

ケース側面より飛び出している事がお分かりいただけますか?

ケースからはみ出るCPUクーラーなんて、凄い!
ちゃんとしたステーは面倒なので、^^;
インシュロック(電線を縛る樹脂製の固定バンド)にて吊り上げます。

まあ、お手軽なので、この方法は結構お勧めです。

5. 完成です
稼働状態のDual KR-1です。

 うーん、大きいケースに買い換えようかな^^;
と、言うよりファイルサーバー作ろうかな。




4.使用感
 イヤー、効果の程を数値に表現出来ないのが残念です。本当に凄いですよ。個々の性能を考えれば、当然の結果でしょうけど。
シングルとデュアル時の能力差に関しては近く測定の上、報告しますね。
まあ、難を言えばうるさい事ですかねえ。ファンの数が増える程、当然騒音も大きくなりますから。スレーブ側のファンは常に運転する必要は全くないので、センサーによる制御を行いたいですね。この件に関しても対応して公開出来ると思います。

最後になりましたが、Dual化計画にご協力いただきましたKENDON様に御礼申し上げます。