紅き久遠−−Dear My Friend

 

 

 

 

 

 

エピローグ

【青き星の夢−−天壌無窮(てんじょうむきゅう) 】

 

 

 

 

 

 

 

学校からの帰宅途中、山岸マユミは、用事のあるケンスケに代わって、取りに
行くよう頼まれた写真を、フォト・ショップで受けっ取った。結構な枚数があ
るみたいで、かなり重い。

「ちょっとくらい見ても、怒られないわよね・・・」

ケンスケの仲間を見てみたい衝動にかられ、マユミは近くの公園へ足を向ける。
ベンチに座り、カバンの上に写真を並べながら一枚ずつ眺めていく。みんな本
当に楽しそうだ。キレイなお姉さんたち、かっこいいお兄さんたち、ナイスミ
ドル(?)な人、同じ年頃の人・・・。シンジの帰還祝いの時の写真だ。

「私も早くこの仲間に入りたいなぁ。あらっ・・・これは誰かしら?」

マユミは最後の写真に目を留める。野外で撮ったものだ。紅葉が奇麗な公園で
集合写真を撮ったらしい。ベンチに座るシンジとミサトを中心に、他のみんな
が周りを囲んで屈託無く笑っている。

直立不動の姿勢で立つ冬月の左後方に、めずらしい青い色の髪をした少女が写
っている。ほかの写真では見なかった娘だ。でも、大人びて落ち着いた表情の
中にも少女らしい、はにかみの微笑みが刻まれている。可憐、そんな表現がぴ
ったりだ。お友達になりたいナ、とマユミは心から思う。

そしてもう一人。シンジとミサトの後ろから二人の肩に手を置いて、その二人
を優しく愛おしげに見つめている大人の女性。背後の黄葉したプラタナスの葉
と同じ色のワンピースを着ている。紅く色付いた樹々と、彼女の紅い髪が織り
なす流紋の渦。紅い色が重なり合って溜め息が出るほど美しい。そして、とっ
ても素敵に微笑んでいる。

「素敵なひと・・・。私も大人になったら、こんな風になれないかなぁ」

そう、このちょっとした奇跡は、レイからシンジへの、祝福の贈り物・・・。
みんなが、この写真に気付くのは、もう少しだけ後のこと・・・・。

この写真の中では、みんなが−−−シンジが ミサトが リツコが マヤが
セイジが マコトが シゲルが 冬月が ヒカリが トウジが そして レイ
と アスカが −−− 本当に生き生きと、無上の喜びに満ちた笑顔を見せて
いた。死すらも彼らを分かつことは出来ない、そんな絆を信じたくなるような、
陽光に包まれて・・・。



あの運命の刻・・・。あまねく大地に舞い降りて、地球そのものに転化した
レイ・・・。そして20年後・・・天空へと還えり、地球とシンジたちを優
しく見つめるアスカ・・・。


−−−碧き永遠−−−、 −−−紅き久遠−−−。


二人の心は、今でも・・・これからも・・・。我等、ヒトと共に在り続けるに
違いない・・・。



<<おしまい>>

 

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